アカデミー賞作品賞ノミネート作品レビュー最後は、ギレルモ・デル・トロ監督の「ナイトメア・アリー」です。
シェイプ・オブ・ウォーターでオスカー監督となったギレルモ監督、魚人との恋愛を描いた美しくも儚い作品でした。今回の作品はオリジナルではなく、1946年に出版されたノワール小説を原作にブラッドリー・ジョーンズ演じる野心的な男スタンがカーニバル一座の興行で読唇術を学び、成功をおさめながらもやがて転落へと進むサスペンススリラーになっています。
主演のブラッドリーの他に座長役にウイレム・デフォー、一座の一員で後にパートナー役にルーニ・マーラ、心理学者役にケイト・ブランシェットなど豪華な俳優陣が顔を揃え、ノスタルジーな時代を舞台に主人公に絡み合っていきます。前半から中盤にわたって、長尺な作品で間延びするシーンで、観方によっては退屈な部分もありますが、ラスト30分の衝撃的な結末の伏線となり、意味を持っていることに気づかされます。
この作品の鍵を握る存在として心理学者リッター博士を演じたケイト・ブランシェットの謎めいた妖艶さが光ってました。ブラッドリーもダンディーな野心家の主人公を演じていますが、そうした男に共通するどこか田舎っぽい雰囲気もブッラドリーのキャラクターに合ってました。
さて、ノミネート10作品のうち公開された9作品を鑑賞しての作品賞の予想ですが、大半な予想では、パワー・オブ・ザ・ドッグが有力でしたが、ここに来て僕の気持ちの中に「ベルファスト」が急浮上してきました。それは、ネットフリックスオリジナルへの反動とロシアのウクライナ侵攻が絡んでいます。
自信よりも個人的な感想として「ベルファスト」が強く印象に残り今の社会に強く影響を与えそうな雰囲気がありました。監督賞は、ここ数年の傾向として女性監督やマイノリティー監督が受賞してるので作品の評価と共にジェーン・カンピオンが受賞すると思ってます。
作品を観ての個人的な評価としては、主演男優賞はベネディクト・カンバー・バッチ、主演女優賞は、マイ・ドーターのオリビア・コールマンと観ていますが、評論家の下馬評では、ウイル・スミス、タミーフェイの瞳のジェシカ・チャスティンが有力と見られてます。
ともあれ、28日午前9時からスタートのアカデミー賞授賞式が楽しみです。