クリントイーストウッド監督の名作をリメイクした日本映画「許されざる者」を観賞。
舞台は、明治維新の北海道。官軍に追われた幕府軍の残党である十兵衛は、アイヌ出身の亡き妻の子供たちと貧しい生活を送っていましたが、かつての仲間の馬場と共に賞金首の仇討依頼に加わることに。元討幕軍で、絶対的支配者である警察署長の大石により、無残な死を遂げた馬場の敵を討つためにと最後に一戦を交えると言ううものです。
渡辺謙の十兵衛の演技が厳寒の北海道に響き、佐藤の極悪非道な警察署長ぶりが、みなぎるような熱さを感じ、異なる緊張感が流れていきます。
そんな二人が生み出す緊張感を解きほぐすように賞金首に加わった一人、柳楽演じるアイヌの若者が、瞬間、瞬間で安堵感を与えてくれました。
今回の作品に登場する人物は、どの人物も今が旬の名脇役ばかりで、さすが、フラガール、悪人などの秀作を世に送り出した李相日監督の作品にかける意気込みが伝わってきます。若手もベテランもその存在をいかんなく発揮してどのシーンも飽きることのない仕上がりになっています。その点では、オリジナリティーの高いリメイク作品ではと思います。
二つの「許されざる者」は、イーストウッド監督の西部劇と李監督の時代劇。アメリカと日本の開拓時代の中で迫害された先住民と言う共通の背景の中で必然的に誕生し、二人の監督の中にある共通したアイデンティティにより結実したように感じました。