映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、家政婦のミタでもおなじみの人気脚本家、遊川和彦初監督作品「恋妻家宮本」です。
女王の教室、家政婦のミタ、朝ドラの純と愛などを手掛け、現在も過保護のカホコが放映中の人気脚本家・遊川和彦の初監督作品は、毒のある主人公とあっと驚く演出に印象的ですが、今回は、打って変わってコメディー仕立てのホームドラマです。
主演は、コメディー作品では欠かせない存在になってきた阿部寛、そして遊川作品に欠かせない存在となった天海祐希の二人が夫婦として共演。書斎に隠されていた妻の離婚届を見つけたことから、子育てを終えた夫婦の新しい生活に波紋が起こり、夫の妻への愛情と疑念が渦巻く男心をコミカルに描いてます。
また、監督のキャリアを物語るように、菅野美穂、工藤阿須加、佐藤二朗、富司純子など多趣彩々の個性派が脇を固めていて、人間ドラマに笑いの厚みを加えています。
また、吉田拓郎の「今日までそして明日から」の今回の作品のテーマにぴったりでした。
今回の作品は、夫を取り巻く生活環境や関わりある人々により、妻への揺れ動く心模様に親近感を持つ人も多いなと思います。主人公の不器用な性格も、コメディー作品としてはストレートで、監督自身が描く主人公とはまったく違うところと初監督作品に重松清の原作を選ぶところが、ドラマとして遊川ではなく、映画としての遊川の見えない未来を提示しているようで、逆に次作は、どんな手法で挑んでくるか楽しみです。