朝ドラ「とと姉ちゃん」で広く認知された「暮しの手帖」ですが、唐沢寿明が演じる編集長の花山伊佐次の登場で、物語はがぜん盛り上がってきました。花山伊佐次は、初代編集長であった鼻森安治がモデル。今回の本は、暮しの手帖の元編集長の松浦弥太郎によるエッセイ。
僕よりも年下の彼のエッセイを読んでいると、どちらが年上かわからなくなるような、落ち着きとモノに対する深い愛情を感じます。
登場する100のモノは、松浦の私物で洋服から日用品、本や食品など多岐にわたり、すべて自らが写真にとり、歴史や機能そして出会いと思いが語られる。その語り口は、尊敬する先生や親友に向けられる言葉として優しさにあふれてます。
読んでいて、懐かしさや思いを共有したモノもあるが、高嶺の花のようなモノもある。モノにあふれる今だからこそ、一生手元において、人生を共にするモノの価値を知る上で良書であると感じた。