今回の展覧会は、種まく人や晩鐘など農民の生活を描いたミレー。そのボストン美術館のコレクションに、その後に続くバルビゾン派の画家たちの20作家、64作品が並ぶ内容です。
ミレーの代表作「種まく人」にサロンの初受賞作「刈り入れ人たちの休息」そして修復後初公開となる晩年の大作「羊飼い娘」の3点の大作が一堂に介するのは日本初で、ミレーと親交のあったアメリカ人コレクターによる築かれたボストン美術館のミレーコレクションは、どの作品も見ごたえのある作品で、ミレーのバルビゾン村とそこで暮らす農民への愛を感じます。
それまでの神話や物語の一部を空想的に描いた来たフランス絵画の世界から、ミレー続く、コロー、ルソー、クールベなどのバルビゾン村に集った画家たちは、新しい風景画の世界を開いていきます。その作風は緑深い森の風景や広大な大地を耕し懸命に命の源を作り出すの農民たちの姿を
描いています。その風景画の数々を眺めるたびに、心が豊かになる感覚をもちます。
印象派の画家たちのような鮮やかな光りの輝きはなくとも、その画面の奥底に輝く深い自然への敬意を感じる展覧会でした。8月31にまで開催されるボストンのミレー展。種まく姿や農民たちの平凡でありながら生命力あふれるミレーの農民たちに出会いを楽しんでみませんか。