先ずは、名古屋ボストン美術館「ヨーロッパ肖像画とまなざし」展へ。
金山総合駅に隣接する、全日空ホテルグランコートに併設した美術館だ。
ここは、かなりの赤字を抱え継続が危ぶまれていたが、名古屋経済界の援助もありかろうじて存続している。
平日の閉館時間も19時と公共の美術館としては長いが、中学生以下は無料でサービスとしてはいいと思う。
しかしながら、ボストン美術館の所蔵品を借りて運営することから、美術品の賃借料や保険の負担が大きい。
以前にも述べたが、ボストンの冠にこだわらず契約を解消して幅広い美術展示に転換したほうが良いと思っている。
また2層階にまたがる展示よりも、1層を貸ギャラリーにすることもひとつの方法だと考えている。
今回の展示も16世紀から20世紀の肖像画の展示だったが、玄人受けする展示で一般的にはなじみのない作家が多く、日本人受けの展示とは言いがたい。
次に向かったのは松坂屋美術館「与勇輝・人形芸術の世界」展こちらはパリのバカラ美術館で開催された、人形作家・与勇輝さんの個展のパリ開催記念展だ。
与さんの人形は、昭和の香りが漂う現代日本を再現しており日本人の郷愁を誘う。
また、一体、一体の作品の表情や衣装などに実に細やかな気配りを施し、人形の持つ冷たい質感とは相反する温度を感じる。
また、妖精などのメルヘンの世界や携帯電話のシリーズなどは、ノスタルジーな世界とは違う独特な世界観をかもし出していた。
10月2日まで無休にて開催されるので、ぜひご観覧をおすすめしたい。
最後は、名古屋駅の高島屋で開催された「手塚雄二・花月草星」展日本画家・平山郁夫先生に師事し、39歳の若さで日本美術院同人となった気鋭の人気作家の全貌展。
照明を落とした会場から、浮かびあがる静逸な作品。自然の情景をここまで幽玄に表現できる作家も少ない。
観覧した方は、日本画の一般的な概念を打ち破る迫力を感じたことでしょう。
私自身、美術商の仕事が、かつては日本画中心であったので、洋画と比べても日本画の世界は革新的な表現をする作家も登場しているので驚きはないが、手塚先生の仕事を見ると改めて日本画の可能性を感じる。
ともあれ、美術館のはしごは疲れるが、まったく異質なものを観覧することで時空を飛び回る感覚がり楽しい。
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