伏見ミリオン座での連続観賞2本目は、巨匠ジャン=リュック・ゴダール最新作「イメージの本」を紹介します。
フランスでヌーベルバーグの旗手として活躍した巨匠ゴダール。沢田研二の勝手にしやがれは、ゴダールの作品がモチーフになってます。
今回の作品「イメージの本」は、カンヌで彼のために特別に作られた「スペシャルパルムドール」を授賞。88歳の巨匠による暴力、支配、不和に満ちた世界に対する怒りのメッセージ。
5章からなる構成は、絵画、映画、文章、音楽を巧みに切り取りながら、監督自身のナレーションによるもので、映画をアート作品として仕立てられています。まさに、その様は映像による現代美術です。
美術に関わる仕事をしている僕にとっては、様々な素材をコラージュし、ゴダール独特の色彩と現代美術におけるメッセージ性を明確に表していて、映画の未来性を感じる作品でした。
人類史の中で、生まれた差別や環境破壊に対して、多角的に映し出し誰もが許容できるように多くを語ることなく、端的にメッセージで示す手法は、監督だけがなしうる円熟味を感じました。
映画として観るのではなく、アートとして感じてほしい作品です。