映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。綾野剛主演、呉美保監督、佐藤泰志原作の話題作「そこのみにて光輝く」です。
本作はモントリオール映画祭で最優秀監督賞を受賞。アカデミー賞外国作品賞に出品が決定している作品で、綾野剛主演の話題作として昨年の4月に公開されました。
原作者の佐藤泰志は、1949年生まれで1981年に文壇にデビュー。5回の芥川賞候補に挙がるも落選。41歳の若さで絶命しています。今回の作品も三島由紀夫文学賞候補に挙がっていました。
北の町を舞台に過去の仕事にトラウマを抱えて主人公・達夫が、パチンコ屋で出会った青年、拓児とその姉、千夏と出会いの中で繰り広げられるひと夏を描いています。
達夫は、発破技師の過去を持ち、拓児は保護観察の身。千夏は売春婦。それぞれが抱える過去と向き合いながら三人が惹かれあう時間が抒情的に進んでいきます。空虚な時間を過ごす達夫が千夏と出会うことで熱情を取り戻していく姿を綾野剛のクールな雰囲気に合い、若手の中で汚れ役を演じたら右に出るものものはないと思っている池脇千鶴演じる千夏と重なることで、主人公の存在感感が増していくのを感じました。
今やこのような作品が日本映画の真骨頂となりつつある昨今、失われていく日本の原風景を様々な形で表現していってほしいと思っています。