東京アート旅の最終回は、東京都美術館で4月3日まで開催の「ボッティチェリ展」です。
近年、イタリア・ルネサンス絵画の人気ともにサンドロ・ボッティチェリの人気も上がっているように感じます。日本人になじみのある印象派人気は、以前から確固たるものがありますが、イタリア絵画が注目が浴びるようになったは最近のように思います。
今回のボッティチェリ展は、イタリア政府の全面サポートにより企画され、貴重な作品20点以上が東京に集った日本初の本格的な回顧展です。
数多くの聖母子像を描き細密な描写と赤や青、緑の鮮やかな色彩が施された華麗で気品に満ちた作品は、崇高な美の極致を感じます。また、聖書の一場面をダイナミックに描いた「東方三博士の礼拝」は、まさに傑作の呼び声高き作品で、右側に描かれた自画像から作品の自負を感じ、中央の聖母に素直に祈りを捧げる気持ちになりました。
また、弟子たちとの共同制作による工房作品には、師と弟子たちとの力量の差を感じるものの、主たる人物を自らが描ききることで、全体のバランスをたもっているように感じました。
今回、ルネサンスの巨匠たるボッティチェリの作品と共に、師匠のフィリッポ・リッピに子でありボッティチェリの最大の弟子にしてライバルであったフィリッピーノ・リッピの作品も20点あまり展示されています。フィリッピーノの人物像は、ボッティチェリの影響を強く受けながらも、着衣の柔らかな質感を色彩の微妙なコントラストで表現され、ボッティチェリとのライバルとしての実力を物語る作品です。
残すところ数日となる本展。東京での開催のみの貴重な展覧会は美術ファンにとって必見の価値を持っています。」
こちらは、国立西洋美術館の所蔵作品。秀作ではあるが、今回の展覧会での作品と大きく違いがわかります。ルネサンス絵画を多数所有する同館の常設展示もおすすめです。