※前回ご紹介した芹沢けい介の内容が不具合で消えていました。再編集してお届けします。
最近、若い世代に民藝ブームが起こっているそうです。民藝運動の拠点となった日本民藝館も、例年になく若い世代の人々でにぎわっているそうです。
先日テレビでも、そうした若い世代の夫婦の取材を観ましたが、どうも民藝を正しく理解している人は少ないようです。どうも、民藝を日本の和の一部ととられている方も多いのではと思います。民芸品の言葉も、実は民藝の造語して使われたそうで、こうしたブームも昭和ブームの延長の中生まれたのではと思っています。
民藝とは、1926年に思想家・柳宗悦により創設された美術運動で日常の暮らしの中で生まれた手仕事による生まれた用の美をさします。そのようにして生まれたものは、やきもの、染色、漆、木竹などの手作業によるもので、日本にとどまらず、朝鮮半島、東南アジア、中近東やアフリカと広い地域に及びます。
また、民藝の思想に共感して集まった陶芸家、工芸家、染色家などは自らも製作をしながら、古来よりある工芸品の蒐集を行ってきました。その代表的な作家の一人が芹沢けい介で、浜田庄司、棟方志功、黒田辰秋など名だたる作家が名を連ねています。
今回の静岡市立芹沢けい介美術館は、登呂遺跡跡に併設され、染色家として作品や民藝の思想の元に蒐集された作品を収蔵する美術館として1981年故郷の地に開館しました。
今回の展示は、開館から100回を数える記念展として当時を再現する展示で琉球紅型染の作品を中心に、染色、板絵、陶器の絵付けなど800点の収蔵品の中から選りすぐりの作品が展示されていました。次回の展示には蒐集家としてのコレクションが展示され民藝の思想を学ぶにも最適な展覧会となっています。
日本民藝館や大原美術館の工芸館など民藝運動を紹介する美術館や博物館は大小各地にあります。そうしたコレクションから審美眼を養いながら、日常生活の中に用の美を取り入れていくのも、民芸運動を知る上に最適な方法かなと思います。
館内から見える中庭。建築家・白井晟一によるもので、石、木、水を天然素材でできている。
移築された芹沢の自邸。
芹沢の日常を感じる部屋は、彼の愛したコレクションに囲まれた生活が偲ばれる。暮らしの中に民藝を取り入れる参考にもなります。