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中国製のターボプロップ機「新舟60」は2011年5月にインドネシアで25人が死亡する墜落事故を起こし、今年5、6月にもインドネシアとミャンマーで3件の事故を起こした。ミャンマー航空当局は「機体に問題がある可能性が高い」として、同型機の運行停止措置を取った。
事故原因の究明も十分でないなかで、中国は7月、トンガに新舟60を無償供与した。トンガ政府は設立されたばかりの航空会社「リアルトンガ」に貸与し、8月から国内線の運行が始まった。
これに強い不満を示したのがトンガと関係の深い近隣のニュージーランドだ。マカリー外相は「新舟60には重大な安全懸念がある」と指摘し、問題が解消するまでトンガの観光促進に使われる約820万ドル(約8億円)の援助を停止すると表明。政府のホームページで、渡航する国民に対し新舟60の利用を控えるよう注意喚起を始めた。
一方、トンガのバイプル副首相は「金で命令することはできない」と反発。「国際民間航空機関に加盟する中国で飛んでいるのだから国際基準は満たしているはずだ。中国機の安全性は中国に言うべきだ」とメディアに不満をぶちまけた。
とはいえ、新舟60は、09年以来の事故が11件にのぼる「世界で最もひどい安全記録を持つ飛行機のひとつ」(テレビ・ニュージーランド)。中国の国有軍需関連企業傘下の西安飛機工業が00年に開発し、途上国に無償や低利融資を含めた供与がなされてきたが、厳しい審査を課す先進国への納入実績はまだない。
事故の続発には供与の多いアフリカでも懸念が出ている。カメルーンからの報道によると、同国では欧州の航空会社との提携に支障が出るなどの心配から、予定していた3機の旅客機導入を保留した。
新舟60の無償供与は中国にとって相手国との関係強化の象徴でもある。人口約10万人の小国トンガがニュージーランドに強く出る背景には、1998年に外交関係を結んでから年々強まる対中関係がある。道路や公共建築物の多くに中国の援助や融資が入り、米紙ウォール・ストリートジャーナルはトンガの対外債務の6割以上は中国に負っていると伝える。
トンガ指導層と中国政府の癒着の噂も渦巻き、豪メディアは中国から王族系企業に不透明な金が流れているとの疑惑を報道。新舟60の供与を見越したリアルトンガの設立によって、ニュージーランドの航空会社がトンガから撤退せざるを得なくなったことも、今回の問題に影を落としている
事故原因の究明も十分でないなかで、中国は7月、トンガに新舟60を無償供与した。トンガ政府は設立されたばかりの航空会社「リアルトンガ」に貸与し、8月から国内線の運行が始まった。
これに強い不満を示したのがトンガと関係の深い近隣のニュージーランドだ。マカリー外相は「新舟60には重大な安全懸念がある」と指摘し、問題が解消するまでトンガの観光促進に使われる約820万ドル(約8億円)の援助を停止すると表明。政府のホームページで、渡航する国民に対し新舟60の利用を控えるよう注意喚起を始めた。
一方、トンガのバイプル副首相は「金で命令することはできない」と反発。「国際民間航空機関に加盟する中国で飛んでいるのだから国際基準は満たしているはずだ。中国機の安全性は中国に言うべきだ」とメディアに不満をぶちまけた。
とはいえ、新舟60は、09年以来の事故が11件にのぼる「世界で最もひどい安全記録を持つ飛行機のひとつ」(テレビ・ニュージーランド)。中国の国有軍需関連企業傘下の西安飛機工業が00年に開発し、途上国に無償や低利融資を含めた供与がなされてきたが、厳しい審査を課す先進国への納入実績はまだない。
事故の続発には供与の多いアフリカでも懸念が出ている。カメルーンからの報道によると、同国では欧州の航空会社との提携に支障が出るなどの心配から、予定していた3機の旅客機導入を保留した。
新舟60の無償供与は中国にとって相手国との関係強化の象徴でもある。人口約10万人の小国トンガがニュージーランドに強く出る背景には、1998年に外交関係を結んでから年々強まる対中関係がある。道路や公共建築物の多くに中国の援助や融資が入り、米紙ウォール・ストリートジャーナルはトンガの対外債務の6割以上は中国に負っていると伝える。
トンガ指導層と中国政府の癒着の噂も渦巻き、豪メディアは中国から王族系企業に不透明な金が流れているとの疑惑を報道。新舟60の供与を見越したリアルトンガの設立によって、ニュージーランドの航空会社がトンガから撤退せざるを得なくなったことも、今回の問題に影を落としている