改正地域交通再生法が施行 国主導で鉄道存廃協議 近く初事例への動きも
2023/10/01 13:17
国土交通省などが入る中央合同庁舎第3号館=東京都千代田区
(産経新聞)
利用者減に苦しむ地方の公共交通を持続可能なものにするための「改正地域公共交通活性化再生法」が1日、施行された。地方鉄道の改善策やバス転換などを含む存廃議論の加速化を目指し、事業者や自治体の要請に応じて国が協議会を設置できるようになった。国に対して近く設置要請の動きがあるとみられ、初事例となれば議論の行方に注目が集まる。
地方鉄道の存廃議論を巡っては、事業者側が協議を申し入れても、路線廃止や負担増を警戒する自治体側が応じなかったり、協議入りした場合でも議論が前に進まなかったりするケースがある。
改正法では、事業者か自治体いずれかの要請があった場合、国が「再構築協議会」を設置し、仲介役となって議論を円滑に進める。正当な理由がない限り、参加拒否はできないとされる。
設置対象となるのは①都道府県をまたぐ線区②1キロ当たりの1日平均乗客数が4千人未満の線区(1千人未満の線区を優先して議論)③JRでは特急列車や貨物列車が走行していない線区−。
国交省は協議会での議論について「廃線ありきではない」と強調する。
JR西日本は広島、岡山両県を走る芸備線の一部区間を対象に、近く協議会の設置を国に要請する。廃止や負担増に反発していた両県は参加を検討しており、実現すれば初事例となる見込みだ。(福田涼太郎)