埼玉県教育委員会は29日、昨年度県立学校に在籍していた生徒に対して、いじめ防止対策推進法の重大事態に当たるいじめがあったとする調査報告書を県のホームページ(HP)で公表した。生徒は昨年度30日以上欠席する不登校となった。
報告書は学校と弁護士でつくる対策委員会が作成。報告書などによると、生徒は昨年度まで2度にわたり、持ち物が被害に遭うなどのいじめを受けた。校内の生徒による可能性が高いが、特定できなかった。また、別の生徒の身の回りで問題が続けて発生した際、保護者に連絡しないままこの生徒を聴取し、生徒や保護者に「犯人扱いされた」と感じさせた。
報告書は、教員の聴取については「不確かな情報を基に、生徒や保護者に十分な説明をせず、緊急性がないのに実施し、不安を感じさせた」と対応を批判。持ち物の被害についてはいじめを認定し、生徒の不登校の一因になったと結論付けた。
生徒の保護者は報告書に付けた所見で「教員や被害生徒の証言など一部内容に誤りがある」と主張。不適切な対応があった教員には「被害から立ち直り、学校生活に復帰するため、生徒本人に謝罪することを求める」と述べた。
報告書は今年3月17日付。県教委は8月にいったんHPに掲載したが、個人情報などの黒塗りが外せる状態になっており、掲載を取りやめていた。公表した報告書は校名や個人情報のほか、いじめとされた具体的な出来事や期間もすべて黒塗りされており、県教委は「学校や被害生徒の特定を避けるため」と説明している。(飯塚大輝)
埼玉県庁© 東京新聞 提供