「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
2023/03/19 07:15
「ロッテリア」はどこでしくじったのか 売却に至った3つの理由
(ITmedia ビジネスオンライン)
ロッテホールディングス(ロッテHD)傘下のロッテリアが運営するハンバーガーチェーン「ロッテリア」のゼンショーグループ(以下ゼンショー)への売却が決まった。
「『ロッテリア』って久しぶりに聞いた」「しばらく行ってない」──。そんな人も多いのではないか。無理もない。店が少ないのだ。ロッテリアの店舗数は、ピーク時の524店から大幅に減り、今や358店。マクドナルドの「8分の1」(2月末時点で2960店舗)、モスバーガーの「3分の1」(2月末時点で1274店舗)にも満たない。
近所に店がないから行かない。客が来ないから閉店せざるを得ない。「負のサイクル」の繰り返しで、競合との差は大きく開いた。かつては「マクドナルド」に次ぐ存在だったはず。凋落したのはなぜか。マクドナルドばかり見ていたからだ。
●強すぎたマクドナルドへの対抗意識
競合であるマクドナルドへの対抗意識が強すぎた。マクドナルドの銀座三越出店に対抗し、ロッテリアは1972年、日本橋高島屋に1号店を出店。84年には、マクドナルドのセットメニュー「サンキューセット」(390円)に対抗し、「サンパチトリオ」(380円)を発売した。その後、2社は激烈な価格競争に突入する。コストがマクドナルドより高いロッテリアにとって、参入してはいけない戦いだった。
●漁夫の利を得た「モスバーガー」
低価格化は、ハンバーガーを敬遠していた中高年層を取り込み、市場の拡大をもたらした。漁夫の利を得たのが、モスバーガーだ。
ハンバーガーに抵抗感がなくなった中高年層は、価格競争に「参戦」しなかったモスバーガーにも訪れるように。「少し高いけどおいしい」。味が評判になり、認知度が向上する。店舗数がじわじわと増える。87年には「瞬間風速」だがマクドナルドを超えた。
一方、価格競争で疲弊したロッテリアは業績が振るわず、衰退していく。価格が高いわけではない。味が悪いわけでもない。「シェーキ」は大変な人気だったし、「絶品チーズバーガー」などヒット商品もある。だが、マクドナルドほど安くないし、モスバーガーほど高品質でもない。
「マクドナルドとモスバーガーの間の店」。いつの間にか、そんなイメージが定着してしまったハンバーガーチェーン。それがロッテリアだ。
●挽回は可能だった
ここ数年のロッテリアの業績は芳しくない。2018年(3月期)から21年までの4年間、黒字となったのは20年(純利益「100万円」)のみとされている。他はすべて赤字だ。固定資産・固定負債とも減少傾向であり、成長投資をしているフシがない。
「勢いが無く、衰退している企業」。ロッテリアの決算情報からは、そんな印象を受ける。
(※2022年3月期は7億5千6百万円に黒字転換しているが、コロナ関連協力金・助成金等の可能性があるため、本稿では度外視した)
挽回の可能性はある。「シェーキが人気」と先に述べた。これは、ある意味、当たり前だ。親会社ロッテHDは「モナ王」「雪見だいふく」「レディボーデン」などを製造・販売する冷菓事業を抱えている。
本業とのシナジー効果(相乗効果)は極めて大きい。現在、一部の店舗限定で販売している「コアラのマーチ焼」も人気が高い。冷菓以外でも本業とのシナジー効果が期待できる。
にもかかわらず、ロッテリアを売却するのはなぜか。理由は3つ。1つ目は、ロッテ本体の収益が悪化したこと。2つ目は、菓子ニーズが変化したこと。そして3つ目は、競合が多様であることだ。1つ目の「ロッテ本体の収益悪化」から見ていく。
●ロッテ本体の収益悪化
私たちになじみのある「『お口の恋人』ロッテ」は、ロッテのほんの一部に過ぎない。ロッテHDは、「メリーチョコレート」や「銀座コージーコーナー」などの国内企業、そして「韓国ロッテグループ」(韓国ロッテ)を傘下に抱えている。
以下略ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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