明治13年(1880年)明治天皇の北海道行幸の際の休憩所として建築された「清華亭」。明治の気品あふれる和洋折衷デザインで今も建築当時と同じ一角に建つ札幌市指定の有形文化財です。建物内部の見学は現在自由に可能ですが本年5月より耐震工事のため1年以上閉館となります。
本日は明治天皇行幸時の休憩所「清華亭」です。先般「旧永山武四郎邸」を訪問した際にボランティアガイドの方から同時期に建てられた「豊平館」や「清華亭」との比較なども興味深く聴かせていただきました。その「清華亭」が工事のために間もなく一時閉館になるとのこと。前回「清華亭」を訪問した際には「旧永山邸」等と比較鑑賞するような視点も無かったので今般改めて閉館前に出かけることとしました。場所は「JR札幌駅」北口より徒歩5分ほど、「北海道大学」キャンパスと道1本(北8条通)を隔てた南側です(地図)。
「清華亭」入口。道路1本を挟んで北側が北大キャンパスです。
「清華亭」は1880年(明治13年)の明治天皇の北海道行幸の際の休憩所として建築。同時期の明治開拓期の代表的な建物の「時計台」や「豊平館」は当初の場所より移築されているのに対し「清華亭」は建築時と同じ場所でその姿をとどめているそうです。
「明治天皇札幌御小休所」の碑。
建物を南の庭側から見たところ。
洋室部分に大きな張出し出窓が広がります。外観の装飾となり建物に重厚感を与える効果があるそうです。明治初期の建築では珍しいもので「旧永山邸」にも見られます。
十字形の妻飾りと「五稜星」上の棟飾りは「豊平館」「旧永山邸」にも見られる北海道における初期和洋折衷建築の特徴的な屋根のデザインだそうです。
「清華亭」の庭園に面して広がるガラス戸の大きな開口部。庭園は欧風の芝生と日本古来の築山もある和洋折衷のつくりとなっているそうですが雪で確認できませんでした。
西向きの玄関部を正面から見たとこと。
西面に突出する玄関部も含め建物には良質な木材(主にトドマツ)を使用していることから、厳しい北海道の気候の中でも建築時のまま140年余りを耐え抜くことができているそうです。
玄関部にも切妻屋根で十字形の妻飾り、五稜星、棟飾りが見られます。
現在はまだ内部が公開中です。開館時間は9時から17時。入館料は無料です。
玄関を入ると土間があります。こちらで靴を脱ぎます。
土間上の灯り。
「清華亭」の見取図です。西側が洋室、東側に和室があり直接つながる和洋折中の建築様式です。
西側の洋室。白い壁に赤い絨毯が敷かれ正面に開放的な出窓があります。
天井のシャンデリア。基部には漆喰(しっくい)で天井中心飾(メダリオン)が作られ内部には「桔梗」の彫刻。「豊平館」や「旧永山邸」にも見られる漆喰を盛り付けコテで立体的に仕上げていくもので「コテ絵」と呼ばれる伝統技術です。おそらく同一人物または同じ職人グループの手によるものと考えられているそうです。
黒田清隆・第3代開拓長官が命名した「清華亭」の扁額。
出窓、カーテンバーに上げ下げ窓。明治初期の和洋折衷建築の特徴を良く表しています。
洋室の東隣は和室。「旧永山邸」と同様に直接つながっています。
また開口部に木枠が設けられているのも「旧永山邸」と同じですが扉はこちらは両開きです。
縁側のある和室。床の間の前は明治天皇の座所とかで炉が設けられています。ここで休憩時にお茶を召し上がられたということです。
床の間には明治天皇の御製の和歌の掛け軸。
ただ御製和歌のいわれは良く分かっていなそうです。
庭に広く開かれた縁側部分。
明治天皇の御座所辺りから見た和室と玄関方向。以上で建物内の見学は終了し玄関に戻ります。
玄関には「清華亭休館のお知らせ」が貼りだされていました。本年5月から来年度末までの予定だそうです。耐震工事終了後は新たな展示等も加えて公開を再開する予定だそうです。しばらく見学は出来ませんので関心の向きはお早めに。
以上、一時閉館前の「清華亭」でした。ありがとうございました。
「清華亭」
札幌市北区北7条西7丁目 011-746-1088(警備員詰所)
営業時間9時〜17時 定休日年末年始
料金 無料
(2023.3.7訪問)
札幌市北区北7条西7丁目 011-746-1088(警備員詰所)
営業時間9時〜17時 定休日年末年始
料金 無料
(2023.3.7訪問)