中島公園に佇む白い外壁にウルトラマリン・ブルーの縁取りが鮮やかな「豊平館」。北海道開拓の礎を築いた開拓使直営の洋風ホテルで北海道の視察に来られた明治天皇の行在所として1881年(明治14年)に開館。日本の最高の伝統的技術を駆使して建造された明治初期の木造洋風建築で国指定重要文化財。札幌を代表する観光名所の一つです。
2021年11月20日(土)〜12月19日(日)までの間、札幌市では観光需要及び施設への需要喚起を目的として「さぁ!まわろうSAPPORO~見どころ施設無料化月間~」を実施しています。「豊平館」も含め、時計台、テレビ塔、もいわ山ロープウェイなどの札幌市内の人気観光地9ヶ所が対象です。本日はその一つ「豊平館」を訪問しました。内部を見学するのは同様のキャンペーンを実施していた昨年8月以来です。また帰路に立ち寄った彌彦神社では花手水が奉納されており併せて鑑賞させていただきました。
2021年11月20日(土)〜12月19日(日)までの間、札幌市では観光需要及び施設への需要喚起を目的として「さぁ!まわろうSAPPORO~見どころ施設無料化月間~」を実施しています。「豊平館」も含め、時計台、テレビ塔、もいわ山ロープウェイなどの札幌市内の人気観光地9ヶ所が対象です。本日はその一つ「豊平館」を訪問しました。内部を見学するのは同様のキャンペーンを実施していた昨年8月以来です。また帰路に立ち寄った彌彦神社では花手水が奉納されており併せて鑑賞させていただきました。
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地下鉄南北線「中島公園駅」から公園に入ったところ。イチョウ並木の葉がすっかりと落ちていました。いつ雪がおちてきてもおかしくない天気です。
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周囲にはたくさんのギンナンが落ちて香しい匂いを発していました。
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1958年(昭和33年)に北1条西1丁目から当地に移築された「豊平館」。
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「無料開館」の表示が出ていました。
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内部入館のエントランス。体温測定し連絡先を提出してチケットを入手。
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こちらから「豊平館」建物内部に入っていきます。
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1階ロビー。豪華なシャンデリアが目を惹きます。
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館内には8組のシャンデリアが設置されています。そのうち4組は建設当初から吊られていたもので残り4組は改修時に建設当初の器具を修理したものだそうです。
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シャンデリアの吊元にある天井中心飾は、漆喰を盛り付けコテで立体的に仕上げていくもので「コテ絵」と呼ばれる伝統技術だとか。当時の職人による洗練された漆喰芸術です。部屋ごとにモチーフを変えており、牡丹、菊、葡萄、椿、鳳凰、波に千鳥などが用いられています。 1階ロビーは「波に千鳥」。
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ロビーに設置されているホールクロック。昭和2年の公会堂開館時に市民の方から寄付されたというドイツ製の大きな時計です。
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1階の会食所はカフェとなっていてお茶することができます。
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ロビーから2階に上がる階段。上り口のすぐのところで矩(かね)の手に折れ上がる曲線の美しさや装飾など高い技術で仕上げられたものだとか。筋状に敷かれ金具で止められている絨毯は建設当時の姿を再現しているそうです。
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手すりの装飾も見事な彫り物です。
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同上。
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階段から2階フロアを見たところ。
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2階フロアのシャンデリア。
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こちらの「コテ絵」は立派な「鳳凰」です。
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2階大広間。豊平館では最も大きな部屋で1881年(明治14年)の明治天皇行幸の際は謁見所(えっけんじょ)として使われたそうです。
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同上。
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天井中心飾の「コテ絵」も二つありモチーフは「紅葉」と「大菊」。こちらは「大菊」。
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建設当時のシャンデリア。コックが付いていることからガス式灯具だったと考えられているそうです。
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大広間のカーテンの柄には日本伝統のデザインである「牡丹唐草」が用いられています。当時ようやく国産化に成功し京都西陣で織られた洋織生地が使用されていたとか。現在使われているカーテンは京都西陣でこれを再現して織られたものだそうです。
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大広間の暖炉。1982年(昭和57年)から1986年(昭和61年)の工事で復原されたものだとか。マントルピースは天板のみが大理石で他は大理石風にしつらえた漆喰塗で作られているそうです。伝統の優れた左官技術が活かされています。
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「豊平館」の揮毫は三条実美(さんじょう さねとみ 正一位大勲位公爵・元内閣総理大臣)と読めます。
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大正天皇の行幸時の絵画。
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2階ベランダ脇の窓から見た景色。雪が散らついています。
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2階梅の間。明治・大正・昭和天皇(大正、昭和天皇は皇太子時代)が行幸・行啓の際に滞在された部屋だとか。木部の塗装や壁構造も建設当初に復原され家具も当時の資料を基に再現したものを配置しているそうです。
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2階梅の間の寝室。寝台・洋服箪笥・洗面台などが配置されています。当時はボーイが毎朝、部屋を回り洗顔用のお湯を届けるなどのサービスが行われていたそうです。
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2階紫の間。行幸・行啓関連資料等の3代の天皇が使用されたとされる品々などが展示されています。
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玉座に洗面道具など。
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2階椿の間。結婚式場としての使用時の席が配置されていました。
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2階葡萄の間。建設当時の雰囲気を感じさせる家具が置かれています。
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こちらの「コテ絵」のモチーフは「葡萄」です。
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この葡萄飾りはとりわけ見事で立体的に実った葡萄が漆喰で表現されていました。以上で「豊平館」見学は終了です。
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彌彦神社。9月初めに来た際には「花手水」が奉納されていたので今回も「もしかしたら?」と期待してやってきました。この直前に訪れた「札幌護国神社」の手水舎は冬支度でしょうかカバーで覆われていました。
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手水舎を見ると花が奉じられていました。
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見事な花手水でした。
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大変結構な散策となりました。
今回も「豊平館」で関心したのは140年以上も前に建てられた建物が保存修理工事を経ているとはいえ外観、内観、調度品等が綺麗に保存されていること。とりわけ「コテ絵」をはじめとする漆喰職人の技量の高さに感嘆しました。明治の時代に天皇陛下を迎えるにあたって最高の職人集団の技を結集したのでしょう。そんな芸術品に身近に接することのできる機会になりました。「さぁ!まわろうSAPPORO~見どころ施設無料化月間~」は良い企画です。ありがとうございました。
「豊平館」
住所;札幌市中央区中島公園1-20
営業時間;9時〜17時(入場は16時30分まで)
定休日;毎月第二火曜日(火曜日が祝休日の場合は直後の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)
料金;個人300円 団体(20人以上)270円 中学生以下無料
電話;011-211-1951
(2021.11.25訪問)
住所;札幌市中央区中島公園1-20
営業時間;9時〜17時(入場は16時30分まで)
定休日;毎月第二火曜日(火曜日が祝休日の場合は直後の平日)
年末年始(12月29日~1月3日)
料金;個人300円 団体(20人以上)270円 中学生以下無料
電話;011-211-1951
(2021.11.25訪問)