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札幌・円山生活日記

「へそまがり日本美術」@「北海道立近代美術館」

中世の禅画から現代のヘタウマ作品まで日本の美術史上に点在する「へそまがりな感性」に着目し、「稚拙」「素朴」「苦み」や「おとぼけ感覚」といったテーマで約100点を紹介する美術展「へそまがり日本美術~禅画からヘタウマまで~」。7月17日(土)~9月1日(水)の予定で北海道立近代美術館で開催中です。“常識を疑い、平凡さを超える力を与えてくれる展覧会”だとか。そんな奥深~い精神と美術品が楽しめます。

今日は「北海道立近代美術館」で開催中の「へそまがり日本美術~禅画からヘタウマまで~」の鑑賞です。当初は【近美コレクション】展「コレクション・ストーリーズ エコール・ド・パリ」を鑑賞予定だったのですが美術館前の「へそまがり」ポスターを見て妻が「地下鉄内で見て面白そうと思った」ということで急遽予定変更です。「へそまがり」の精神に誘因されてしまったのかも知れません。

地下鉄東西線「西18丁目駅」で下車、4番出口から徒歩約5分で「北海道立近代美術館」に到着。いつもの通り入場時にコロナ対策として体温測定と連絡先届が求められます。

「へそまがり日本美術」のポスター。
“日本で古くから受け継がれてきた「きれい」で「立派」な造形作品の数々は、今も多くの人の心をとらえ続け、美術史を輝かしく彩っています。その一方、日本美術のふところは広く、決してきれいとは言えないけれど楽しく心地よい作品や、不格好で不完全だけれど心に残る作品が点在しています。それらを生み、受け入れてきたのは「へそまがり」とも言える感性で、現代においても「ゆるい」「ヘタウマ」な表現になぜか心惹かれてしまうという経験をもつ人は少なくないのではないでしょうか。・・(中略)・・きれいでも立派でもない-けれども、輝かしく、そして悩ましくも素晴らしい作品の数々からは、ありきたりの美術史観とは異なる、日本美術の新たな味わい方、楽しみ方が見えてくるはずです。”


「へそまがり日本美術」の入口。行列整理用のモールが設置されています。当日には人出がそこそこありました。「へそまがり」の魅力でしょう。


会場内は写真撮影禁止なのでチラシの写真で展覧作品の雰囲気紹介です。こんな作品が展示されています。

同上。

会場内は、順路に沿って①「別世界への案内役 禅画」、②「なにかを超える ⅰ俳画と南画 ⅱ稚拙みとヘタウマ ⅲお殿様の絵」、③「突拍子もない造形」、④「苦味とおとぼけ」をテーマに作品が展示されています。

最初の「禅画」は難解です。「禅画」は「禅」の世俗を超越した悟りの境地に達する精神性の高さを画に表したもので、世俗的な「美しい」か否かや、「上手い」かどうかなどの凡人の価値判断を超越した精神の世界のようです。

それでも長沢蘆雪「菊花仔犬図」(部分、オリジナルポストカードより)は18世紀後半の作品ながらも現在に通じる「かわいい」表現で難しさを忘れます。

そんなことで今回の美術展は見応えがあり過ぎて深く考えると頭がパンクしそうなので、見た目の楽しさや意外さにも着目し鑑賞してきました。禅問答が「判ったような判らないようなやりとり」とされるのと同様に「凡人」には判った気になれば良いのかとも思いました。

そのような観点からこちらは秀逸(部分、写真はオリジナルポストカードより)。徳川三代将軍の家光公の作品で譜代藩に長く伝わってきたものとか(ちなみにウサギが切株の上に乗った絵です)。拝領した当主はたぶん「何これ?」と思ったでしょうが現代的に見れば女子高校生受けしそうな感じ。上様は先々の世の人気までお見通しだったのでしょう。


こちらの曽我二直庵「猿図」(部分、同じく写真はオリジナルポストカードより)も「へそまがり」の可愛さを感じる作品でした。

展示会場外のフォトスポット。カエルの「ゆるい」造形もゆかいです。

ロビーの関連商品販売の特設コーナー。こちらも人気でした。 当初予定の「近美コレクション展」も見ようと思ったのですが「へそまがり」で時間がとられ午後の予定の関係から次回に回すこととしランチへ向かいました。

仲々楽しい美術展でした。最初は難解だった面もあったのですが見回るうちに興味深く鑑賞してしまいました。派手さはありません。でも「へそまがり」に「奥深さ」を感じる一服の清涼剤のようでした。「へそまがり」な方にお勧めします。ありがとうございました。

「へそまがり日本美術~禅画からヘタウマまで~」
会場:北海道立近代美術館
会期:2021年 7月17日[土]– 9月1日[水]
前期:7月17日[土]– 8月9日[月・振休] 
後期:8月11日[水]– 9月1日[水]
主催:北海道立近代美術館、北海道新聞社、STV札幌テレビ放送
後援:北海道、札幌市、札幌市教育委員会
企画協力:府中市美術館
協力:キュレイターズ
特別協力:STVラジオ

観覧料:

一般 1,600(1,400)円、高大生 800(600)円、中学生 600(400)円、小学生以下無料(要保護者同伴)
*近美コレクションとの共通券 一般 1,900円、高大生 850円(当日券のみ)
(2021.7.24訪問)




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