秋津蛉のモンスターリストⅡ

モンスターの生態情報に特化したブログです。咆哮、捕食シーン、生態行動、素材、防具、武器とその説明文まで全てを網羅!

古龍種の書 黒龍 ミラボレアス 上巻

2024-08-29 00:00:00 | 古龍種




「黒龍」
ミラボレアス
Fatalis
古龍種
古龍目 源龍亜目 ミラボレアス科
全長約4137.17cm
全高約1017.63cm/607.45cm(立ち時の肩までの体高)
脚の大きさ約235cm
・狩猟地
シュレイド城





・概説
異形なる巨体を漆黒に染めた禍々しい見た目から 「黒龍」 と呼ばれ、自然や生物を超越した圧倒的な破壊の力を持つ邪龍として恐れられてきた伝説の龍。
その名は遥か昔から語り継がれており、“龍”と呼ばれる生物の始祖の姿を、最も色濃く残す古き種族ではないかと推測される。
名うてのハンターが戦いを挑んだという話が伝わっているが、その真偽すら定かではなく、実体は確認出来ておらず、長きにわたり伝説の存在のままであった。
この伝説の龍についての生態は未だ謎に包まれているが、伝えられる限りで推測すれば、最も凶暴かつ強大なモンスターであるようだ。ゆえにハンターにとっては、いずれ倒すべき究極の目標となっているのであろう。




遥か昔、栄華を極めた大国シュレイド王国を一夜にして滅ぼし、その城に棲みついたとされる。 その事によりかの存在は実証されたが、調査者の誰もが帰還せず、遂には進入禁止区域となり、再び伝説の存在となった。
”地は揺れ、木々は焼け、 小鳥と竜は消え、日は消え、古の災いは消え。 これらが続いて数ヶ月後、シュレイドは消えた”
すなわち、断続的な小振動、度重なる森林火災。それらにより発した塵が常に太陽を覆い隠し、小動物をはじめモンスターの気配までもが消え、 古龍までもが姿を消す。
これらの現象を出現の予兆と記した伝承は、わらべ歌に乗せた御伽噺として1000年もの昔から存在していたという。
かの者の名は、ミラボレアス。 御伽噺の中にしか存在しない、黒い悪夢。一度姿を現せば最後、この生ける災いを討伐できなければ、生きとし生けるものは滅ぶと云われる。
伝説の黒龍と対峙し、運命の戦争に挑む狩人には、まさに世界の運命が託されるのである。

今から遡ることおよそ千年ほど前に、東西に分裂した古シュレイド王国。これについては、現在でも様々な憶測が飛び交っているが、最も有力な説として黒龍との戦争が原因とされている。この黒龍伝説については、名前や形を変えながら各地に伝えられているが、そのどれが正確なのかも不明であり、そもそも「黒龍など存在するのか?」という懐疑的な声さえあがっているのが実状である。
竜人族であれば、古シュレイド王国の分裂について何か知っている可能性があると言われているが、彼らは王国の中枢にいるわけもなく、そもそも人前に姿を現す機会自体も多くない。
そんな中、王国が誇る書士隊の書記官、ギュスターヴ・ロン氏によって、ひとつの解が導き出された。ここにその一部を抜粋する。
『これまでにも多くの者が、後に伝説の黒龍などとも呼ばれるようになったミラボレアスと、それにより分裂という悲劇に晒される事になった王国との関わりについて言及を試みてきたが、そうした書物のうちで確かな証憑に基づいていると言えるものは殆どなく、いわんや読む価値のあるものともなれば片手で数えるにも満たない。ミラボレアスという名はそのまま”運命の戦い”を意味する。我々の知る限りこの名が初出するのは、古シュレイド王国の創設者が裏切りのうちに命を落とした時、いずこかより現れた赤衣の詩人の詠じたという唄の中においてである。』

数多の飛竜を駆逐せし時 伝説はよみがえらん
数多の肉を裂き 骨を砕き 血を啜った時 彼の者はあらわれん
土を焼く者 鉄【くろがね】 を溶かす者 水を煮立たす者
風を起こす者 木を薙ぐ者 炎を生み出す者
その者の名は ミラボレアス
その者の名は 宿命の戦い
その者の名は 避けられぬ死
喉あらば叫べ 耳あらば聞け 心あれば折れ
ミラボレアス 天と地とを覆い尽くす 彼の者の名を
天と地とを覆い尽くす彼の者の名を 彼の者の名を
(大国史29-114)

『二度登場するミラボレアスという語の綴りが若干の相違を見せているという事実については、 古シュレイド王国時代の一種独特な文章表記の問題もあって複雑な議論を呼んでいる。
避けられぬ死という表現は、じつに言い得て妙である。古王国末期の混乱を予言するかのようなこの記述は、多くの神秘学者や宗教家のしばしば引用するところともなっている。 』

ミラボレアスなどという存在は、幻想や創作であるとの見方が一般的である。事実、ギルドでも一部の者にしか存在を信じられてはいなかった。
そのため黒龍のモンスターリストはその体を成しておらず、それ自体が御伽噺の童話として扱われている。
現在は、 黒龍を指す言葉としてミラボレアスの名が使われている。
しかし、言語学を遡ると、より広義な意味合いが見えてきた。 「運命の戦い」を意味し、黒龍とそれ以外の命のすべてを賭した戦いの顛末、その一連のなかで起こった現象を指して 「ミラボレアス」 と呼んだという。
現代を生きる我々にとって御伽噺に登場する魔王のような印象を受ける名称も、かの龍に対して当時の人々がどのように向き合ったのかが慮られるだろう。
周辺各地には、その存在が招いた惨劇の壁画も残されており、 竜人族の口伝においても禍々しい脅威として在り続けることから、ミラボレアスは実在したと考えられてきた。
曰く、 全ての命を脅かす災い。





「大きな角と翼を持った黒い古龍であった。地を四つ脚で這い、立ち上がるとその威容に足が竦んだ」 との伝承も残る。 我々の知る、 どの古龍とも異なる容貌がうかがえる。
脊椎を守る漆黒の甲殻は体表を覆う鱗の一部が成長したもの。隙間なく多層に重なっており、並の武器では歯が立たない。
後脚に見られる四指の形状から、似た脚を持つ竜人族との関わりを考察する者もいるが、それこそ飛躍が過ぎるのではないか。
歪に波打つ大小4本の角は黒光りする妖しい魅力を放ち、凄まじい強度を誇る。龍の力を宿すとも云われ、 これを破壊できればブレスの威力を抑え込めるという。





背中に生やした翼は、コウモリを想起させる形状。細かな鱗と皮膚のシワが目立ち、甲殻は少ない。皮膜の縁には、亀裂のように入り込んだシワがいくつも確認でき、厚鱗と共に幾星霜を生き続けてきたこの種の年齢を物語る。
胸部の甲殻には金属が焼き付いており、体温の異様な高さをうかがわせる。
「ねぐらに集めた武具が、 体温で溶けて皮膚に付着した」 と言い伝わるが、 真偽のほどは定かではなく、這いずりや倒れ込みで付着した可能性も否めない。
ミラボレアスの体内において、 龍属性エネルギーを宿す 「古龍の血」は検出されていない。
他の古龍種とは一括りにできない要因のひとつと言えよう。




・活動
現大陸においてシュレイド地方は古くから立ち入りが禁止されており、民間では僅かな書の内に記されるだけの幻の地として語り継がれていた。途轍もないモンスターが一夜にして焼き尽くしたとも言われているが、記録の多くが失われた現在ではおとぎ話の類――そう、思われていたのである。
とある討伐クエストでシュレイド城に赴いたハンターは、何やら計り知れないほど恐ろしい体験をしたらしく、 話を聞こうとしても耳を塞いで頑なに拒絶するばかりである。 かろうじて、「バリスタの照準器を覗いたら上空から巨大な火球が・・・・・・」 と、 消え入るような声で語った。
https://x.com/gagieru_seltas/status/1591298362439241731?s=19






出現は必然なのか。 雨天に広がる不気味な空模様と共に、此度シュレイド城に現れた黒い龍。 それが「ミラボレアス」なのか、かつてシュレイド城を壊滅させた「ミラボレアス」であるのかは定かでない。 仮に同一の個体と考えれば、優に数百年以上の歳月を経ていることになる。
ギルドが保有する公式の書簡を見るに、 最も近くに現れたとされるミラボレアスは1000年ほど前のシュレイド地方であった。
先の大戦後、シュレイド城に棲みついたとされるが、城内を寝床としていたのか、周辺の山岳地帯や地底などの洞窟に潜んでいたのか、その実態は明らかになっていない。
およそ1000年もの間、休眠状態にあったと考えるのも、いささか無理があるかに思えるが、そこはヒトの尺度で計るべきではないのかもしれない。かの者にとっては、ひと眠りに過ぎないと考えるほうが自然だろう。
一国を滅ぼした脅威として、伝説に名を遺す黒龍が、何処から、 どのような理由で現れるのかは不明である。シュレイド城に棲みついている、とは信じ難く、時間や空間をも超越した歪みに身を置く存在なのでは、と考える者もいる。
にわかには信じがたいが、何処かの砂漠において異世界との繋がりを示唆する者がいたと、そんな突拍子のない噂もある。 ただ、もし仮に同様の事象がシュレイドにも起きたとするならばと、考え悩むほどに傾倒も深まるものである。 黒龍の出現を機に、かの者を退けた世界線と、 それを成し得なかった世界線が生まれる可能性について。 史実を違える並行世界の存在を仮定すれば、それが御伽噺であれ腑に落ちる部分もある事も事実なのだ。

かつて、 ラオシャンロンと呼ばれる巨大な古龍が、ミラボレアスから逃げるような動きを見せていたという。 一方で、 ミラボレアスが他のモンスターを蹂躙したような話は残されておらず、ヒトが築いたシュレイド王国が標的となった理由なども、現在のところ不明である。
わらべ歌で唄われる 「キョダイリュウノゼツメイニヨリ、デンセツハヨミガエル」の一節は、時代により様々な解釈がなされてきた。
此度のミラボレアス出現は、赤龍と呼ばれる巨大なムフェト・ジーヴァの存在が引き金になったのだろうか。
黒龍は古龍らの持つ力、その全ての力を等しく平らげる存在であるからして、可能性は否定できない。

文字数制限の関係で、本記事は分割記事となります。続きは【古龍種の書 黒龍 ミラボレアス 下巻】をご覧下さい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿