先日はブログでもちらっと紹介したとおり、地元の夏祭りイベントのステージで演奏した。
もうかれこれ4回?ほど出演させていただいているので、ステージにはかなり慣れたが、やはりステージから見る景色というのは素晴らしい。
さてこの日も町の自治会の方たちはとても丁寧に対応してくれて、気持ちの良い和室の控室を使わせてもらった。
そしてある程度の準備をしようと荷物をいじっていると、後ろから不吉な台詞が聞こえた。
「あっ…しもたー…」
私ひで氏は忘れ物にかけてはプロの域なので、人の忘れ物も敏感にわかる。声を出したモトヒロ氏に向かって聞いた。
「何忘れたん」
するとモトヒロ氏が言った。
「ドラムスティック」
今回のステージはアコースティックセットの為、モトヒロ氏はジャンベという民族楽器を演奏する。
しかし、今回のセットの最後に、最近のブログでも述べた、映画「Zootopia」からの曲「Try Everything」を演奏する予定だったのだ。このTry Everythingは非常にビートの立った曲で、考えた末モトヒロ氏はこの日この曲のために別の太鼓を持ってきており、太鼓は持ってきたが肝腎のスティックを忘れた、という状態になっていたのだ。
モトヒロ氏は基本的に忘れ物はほとんどない人だが、ドラムスティックを忘れたのはこれが初めてではない。
昔、梅田のHEPファイブで朝からライブをした時に忘れ、そしてオープン前の近所の楽器屋のシャッターを叩いて販売してもらい、なんとか本番に間に合わせたという話がある。
今回はどうだ。
本番までは20分。
しっかりした木の枝でも落ちていないか…
素手で叩こうか…
色々と血迷った提案を出した挙句、モトヒロ氏がとった行動は…
持ってきたフロアタムの足を一本抜いて、その先にタオルを養生テープで巻きつける、というものだ。
太鼓の足というのはただの鉄の棒だ。木のドラムスティックとは大きく異なる。
そして細い。終始一定のリズムを刻む必要のあるTry Everythingでこの細い鉄の棒を太鼓の真ん中めがけて打ち続けるのは大変な精神力と体力がいることだろう。
何年も前にブログでも紹介したが、こういうとき、メンバーが「それは無理やで」と言ってもモトヒロ氏はかならず「いや、大丈夫やで」というのだ。
かくして本番が始まった。
最後の1曲まではジャンベを奏で、何の問題もない。
そしてついに、Try Everythingの出番だ。モトヒロ氏はおもむろにセッティングを変え、例の「先にタオルを巻いた金属の棒」を持つ。
ここから先は私ひで氏は見ていない。いくら私が常人の倍ほどの視界があるとは言え、曲が始まってしまえば後ろに居るモトヒロ氏を見るのは不可能だ。耳の記憶だけが残る。
歌とギターから始まり、いよいよリズムが入ってきたとき、確かにビートは刻まれていた。
思ったより軽快に、そして一定のリズムで。
少なくとも見ていたお客さん達は、それがまさか今叩いているドラムの「足」だとは思っていないだろう、というだけの音は出ていた。
そしてすべてが終わった時、メンバー全員がモトヒロ氏の方を見た。
モトヒロ氏の息は完全にあがっており肩で息をしていた。
いつになく深刻な暗い目をして、左手で右手の手首をじっと握り、体を折り曲げ腕を抱え込むようにして下を向いていた。
い…
息切らしてめっちゃ手痛そうやん!!
と私ひで氏が言い終わる前に、やはり彼はこういったのだ。
「いや、大丈夫やったわー」
ライブ後、毎年恒例の私ひで氏宅でのバーベキューでもモトヒロ氏はほとんど肉を口にせず、口数も少なめだったのは間違いない。
<写真はその1時間前、鉄のスティックを完成させて満足げなモトヒロ氏です>
セットリスト
It's Not So Bad
Looking At You
蛍
Try Everything (from the movie "Zootopia")
もうかれこれ4回?ほど出演させていただいているので、ステージにはかなり慣れたが、やはりステージから見る景色というのは素晴らしい。
さてこの日も町の自治会の方たちはとても丁寧に対応してくれて、気持ちの良い和室の控室を使わせてもらった。
そしてある程度の準備をしようと荷物をいじっていると、後ろから不吉な台詞が聞こえた。
「あっ…しもたー…」
私ひで氏は忘れ物にかけてはプロの域なので、人の忘れ物も敏感にわかる。声を出したモトヒロ氏に向かって聞いた。
「何忘れたん」
するとモトヒロ氏が言った。
「ドラムスティック」
今回のステージはアコースティックセットの為、モトヒロ氏はジャンベという民族楽器を演奏する。
しかし、今回のセットの最後に、最近のブログでも述べた、映画「Zootopia」からの曲「Try Everything」を演奏する予定だったのだ。このTry Everythingは非常にビートの立った曲で、考えた末モトヒロ氏はこの日この曲のために別の太鼓を持ってきており、太鼓は持ってきたが肝腎のスティックを忘れた、という状態になっていたのだ。
モトヒロ氏は基本的に忘れ物はほとんどない人だが、ドラムスティックを忘れたのはこれが初めてではない。
昔、梅田のHEPファイブで朝からライブをした時に忘れ、そしてオープン前の近所の楽器屋のシャッターを叩いて販売してもらい、なんとか本番に間に合わせたという話がある。
今回はどうだ。
本番までは20分。
しっかりした木の枝でも落ちていないか…
素手で叩こうか…
色々と血迷った提案を出した挙句、モトヒロ氏がとった行動は…
持ってきたフロアタムの足を一本抜いて、その先にタオルを養生テープで巻きつける、というものだ。
太鼓の足というのはただの鉄の棒だ。木のドラムスティックとは大きく異なる。
そして細い。終始一定のリズムを刻む必要のあるTry Everythingでこの細い鉄の棒を太鼓の真ん中めがけて打ち続けるのは大変な精神力と体力がいることだろう。
何年も前にブログでも紹介したが、こういうとき、メンバーが「それは無理やで」と言ってもモトヒロ氏はかならず「いや、大丈夫やで」というのだ。
かくして本番が始まった。
最後の1曲まではジャンベを奏で、何の問題もない。
そしてついに、Try Everythingの出番だ。モトヒロ氏はおもむろにセッティングを変え、例の「先にタオルを巻いた金属の棒」を持つ。
ここから先は私ひで氏は見ていない。いくら私が常人の倍ほどの視界があるとは言え、曲が始まってしまえば後ろに居るモトヒロ氏を見るのは不可能だ。耳の記憶だけが残る。
歌とギターから始まり、いよいよリズムが入ってきたとき、確かにビートは刻まれていた。
思ったより軽快に、そして一定のリズムで。
少なくとも見ていたお客さん達は、それがまさか今叩いているドラムの「足」だとは思っていないだろう、というだけの音は出ていた。
そしてすべてが終わった時、メンバー全員がモトヒロ氏の方を見た。
モトヒロ氏の息は完全にあがっており肩で息をしていた。
いつになく深刻な暗い目をして、左手で右手の手首をじっと握り、体を折り曲げ腕を抱え込むようにして下を向いていた。
い…
息切らしてめっちゃ手痛そうやん!!
と私ひで氏が言い終わる前に、やはり彼はこういったのだ。
「いや、大丈夫やったわー」
ライブ後、毎年恒例の私ひで氏宅でのバーベキューでもモトヒロ氏はほとんど肉を口にせず、口数も少なめだったのは間違いない。
<写真はその1時間前、鉄のスティックを完成させて満足げなモトヒロ氏です>
セットリスト
It's Not So Bad
Looking At You
蛍
Try Everything (from the movie "Zootopia")
一歩間違えば捕まりかねない行為ですね(笑)
太鼓を忘れてたらどう乗り切ったのか、とても興味深いです!
最後の画像は偶然部屋に入ったら見たらあかんヤツ見ちゃって殺されるアレですやん・・・
「沈黙の戦艦」で、冷蔵庫の残り物で爆弾を作るスティーブン・セガールを思い出しました 笑
そうなんです、細いだけに本番に手から抜けて飛んで行ったらどうする、みたいなことを真剣に言ってました笑。
>おすぎ
ゴルフクラブで撲殺される系ね。
>ronger
土曜日はよく言い含めておきます!笑
>にいやんさん
思い出す方向がおもしろすぎます!セガール!!