『日本三大怨霊とは、菅原道真、平将門、崇徳天皇の3人を指す言葉です。平安時代の人物で、人々に深い怨みを残し、災いをもたらしたとされています。』
コロナ禍で外出が規制されていたとき、私は都内に在住していました。仕事も休みになっており、運動不足解消と気分転換を兼ねてウォーキングを楽しんでいました。
目的地を決めて、そこまでテクテクテクテク。
たまたま行ったのが、神田明神と湯島天神。歴史好きのアメリカ在住の BFにそのことを伝えると、「なら残るは崇徳天皇だけだね」と言われました。ん?と思って理由を訊ねると、「日本三大怨霊でしょ(笑)」
なるほど。ちなみに見出し画像は怨霊となった崇徳天皇です。では、三大怨霊を順番に。
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【湯島天神】菅原道真
あ!平安時代の人が写ってる!(笑)
湯島天満宮は、東京都文京区にある天満宮です。通称は湯島天神。ここの主祭神の一人が、菅原道真です。
菅原道真は、無実の罪で左遷され大宰府(現在の福岡県)に送られてしまいます。弁明などはまったく聞き入れられることなく、囚人同様の扱いで幽閉され、失意のうちにわずか2年で非業の死を遂げました。
その後、菅原道真に代わって権力を握った藤原時平は突如として亡くなり、さらに複数の貴族は落雷で命を落とし、菅原道真を左遷した醍醐天皇とその皇太子も続けて病で死亡。これらの災いは、すべて菅原道真の祟りだと言わたそうです。
そのため神様として崇められることになり、落雷をもたらしたことから雷神となりました。そして「天神様」となったそうです。祟ると神様になれるのですね。(笑)
さらに時が経ち、学問の才能に秀でていた菅原道真にあやかろうと、「学問の神様」として崇められるようになりました。現代では、湯島天神は学力向上や合格祈願で有名な神社となっています。
祟りだと恐れられて雷神様になるよりも、頭脳明晰で学問の神様になれたことの方が、きっと本人にとっては名誉なのではないでしょうか。
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【神田明神】平将門
神田明神を見ると、私はドラマ『VIVAN』を思い出してしまうのですが、私がウォーキングしていたのは、ドラマの放送よりも前の話です。
東京都千代田区にドドーンと構える神田明神は、ビジネス街という立地上、ビジネスの成功や技術の発展など、現代的な参拝者の多いことで知られています。『VIVAN』の主人公もお参りしていましたが、私が訪れたときもスーツ姿の人がお参りをしていました。
主祭神は平将門。平将門は、領地の相続を巡り、親族間での争いで圧勝しますが、この行為が朝廷への反逆とみなされてしまいます。そして平将門の追討令が出され、あえなく討ち取られてしまうのです。
平将門の首は京へと送られ、都の河原に晒されますが、無念の死を遂げた平将門の首には、奇妙な出来事の噂が絶えませんでした。そのことを人々は平将門の強い怨念として恐れました。ついに!その首は体を求めて関東へと飛んでいったのです!ワーオ。
目撃者までいるから怖いです。しかもかなりな距離です。
そして、飛んでいった先に建てられたのが、現在の東京都千代田区大手町の将門塚(しょうもんづか)。
東京の丸の内から徒歩数分、オフィス街に突如として現れるこの首塚…。
私は画像の入口から先へは怖くて近づけませんでした。コンクリートの中にポツンと佇む首塚が入口からも確認できるのですが、なんとなく背筋がゾ〜…。
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【虎ノ門 金刀比羅宮】崇徳天皇
金刀比羅宮は、東京都港区虎ノ門にある神社です。敷地内には、金刀比羅宮と複合施設の高層オフィスビルがあり、社務所や神楽殿がこの施設と一体化しています。まさに都会の神社ですね。
こちらには崇徳天皇が祀られており、万民泰平の幸運のご利益があるとされています。
崇徳天皇は、皇位継承争いで敗れて出家しますが、讃岐(現在の香川県)へと流され幽閉されてしまいます。閉ざされた空間の中で自ら仕上げた写本を「京都の寺に納めて欲しい」と朝廷に差し出すのですが、「呪いが込められているのではないか」と送り返されてしまうのです。ひどい話です。
その屈辱以降、崇徳上皇は「妖怪に生まれ変わって無念を晴らす」と誓い、死ぬまで髪と爪を伸ばし続け、鬼のような形相へと変わり、そのままこの世を去りました。
その執念、死後に怨霊となっても不思議ではありません。
崇徳上皇の死後、国を揺るがす事件が立て続けに発生しました。また、崇徳天皇と敵対していた後白河法皇の身内も次々と亡くなります。これら一連の出来事は、崇徳上皇の怨霊が引き起こす祟りであると考えられました。
そこで「崇徳院廟」が建てられ、罪人の扱いは取り消されますが、しかし!崇徳天皇の怨念はその程度のものでは消えません!
後白河法皇が亡くなるまで災いは続き、崇徳天皇の怨霊はその後の天皇にも恐怖を与え続け、明治時代以降の天皇も崇徳天皇の鎮魂の行事を執り行っているほどです。
天皇家を呪い死んでいった唯一の天皇。そう考えると崇徳天皇が一番恐ろしいかもしれません。
「祟る(タタる)」のか、「崇める(アガめる)」のか、
漢字が似ていて間違えそうです。
とても面白くてぐいぐい引き込まれるお話でした!
allyさんが日本史の先生だったらよかったのに。
高校の日本史の授業は正直つまらなくて、いつも白昼夢を見ていました 苦笑。
だから、こちらで勉強し直し!
BFは本当に詳しいのですね、「日本三大怨霊」をご存知とは。
わたしは初耳でした。
それにしても、祟る、と 崇める。
本当に字形がそっくり!!!
これも漢字の歴史を辿っていくと意外な事実がわかるかも。
篆書だとどんな字になるのか興味がわきました。
調べてみようっと。
わたしがフォローしているブログ「漢字の音符」に、
祟ると崇めるの漢字の歴史について記述があったので、
リンクしますね。
崇めるが、
https://blog.goo.ne.jp/ishiseiji/e/4aaed753c28a4dbcbf9374174c768467
祟るが、
https://blog.goo.ne.jp/ishiseiji/e/e30cacf9958b5fcf2fc9c1eda6cef51d
祟る
すっごく面白いです!ご参考までに。
『帝都物語』が面白かったので、平将門について少し知っているくらいです。
この中で行ったことがあるのは、湯島天神です。友人が受験を控えた彼氏のためにお参りしたいと言って。懐かしいです。
漢字の違いも面白いですね!
最近読んだ本では、今まで神様として崇められていたのに、年と共に誰も祀らなくなって忘れられた「何か」が呪いになった話がありました。逆のパターンですね。
>祟ると崇める... への返信
こんにちは。
私のBFは、長年アメリカに住んでいるからなのか、サムライが大好きなんです。それに付随して歴史にも詳しくなったのではないでしょうか。(笑)
私なんて中学や高校の授業というのは、おしゃべりをする時間か手紙を書いている時間なのだと思っていましたよ。どーりで先生によく𠮟られたわけですね。^^
>漢字の音符... への返信
おおお!
山が真っすぐ高くそびえて、崇める
神の出す罰で、祟る
ということは、祟って神になるのではなく、神に近い存在の人の怨念だから「祟り」なのでしょうか。一般人だったら「呪い」という言葉になりそうですね。
と、漢字の話から脱線してしまいましたが、やはり漢字って面白いですね。
実は、私はブログを書きながら「祟り」と「崇める」が似ていると気が付きました。あとで調べてみようと思っていたところだったので、教えていただけて良かったです♪
>こんにちは... への返信
こんにちは。
あら!彼氏の受験のためにお参りをするご友人。ちょっと素敵な思い出ですね。
「神」が忘れ去られて・・・その逆パターンのお話も面白そうですね。さすがいろいろな読み物をご存知ですね。神が降格して人々を呪うというのも凄いパワーがありそうです。
「祟」「崇」似たような漢字なのに、まるで逆の意味というのが面白いですよね。でも結局のところは一つのところを意味するのかもしれませんね。と、また根拠のない意味不明なことを言ってしまいました。(笑)
storytellerさんのリンク先の漢字の音符も
読んでしまった…
今まであまり使っていなかった
左脳が動いた感じがしました
祟りも崇めるも紙一重…じゃなくて
神一重! なのかもしれないです
追伸:allyさんのブログを読み進めて行ったら、将門さんの説明の時
いきなり PC画面が真っ黒になりましたよ
おおおお!と思ったら、すぐに戻りました
確かに平将門さんの首塚は本当に心して
行かないと イケナイ! って
何人かの方に聞いたことがあります
(私は3か所とも行っていないです)
>なるへそ!... への返信
ワーオ。
やっぱり平将門恐るべし!ですね。
私はあとから知ったのですが、将門塚は遊び半分では行ってはいけないらしいですね。周りのビルも背を向けないようにとか、窓から見下ろしたりできないようにとか、あらゆるは配慮がされているとか…
ごめんなさい。
シャインさんには重い内容だったかもしれませんね…