
先月来たアメコミを読み終わらないうちに、今月のアメコミがアメリカから到着してしまった。まずはAmazing SPIDER-MAN (ASM)の残りを急遽片付けることにした。今回はASM 883(82)と884(83)号についてレビュー。
883号の筋書をSaladin Ahmed、画をJorge Fornesが、884号の筋書と画をPatrick Gleasonが、それぞれ担当。Fornesの画は883号の話にピッタリ。この人BATMANを描いていたみたいだ。市井の人の日常なんかを描かせたら凄いんだろうなと想像ができる。一方のGleason。文句なし。得意技の蜘蛛糸で描いたコスチューム、言うなればGleason節が爆発。今回の二人のアーティストが描いた画の品質。これまでの話の画も悪くなかったが、急に加速して最高レベルまで到達した。
添付画像は、Arthur Adamsが描いた883号の通常の表紙。この1枚で物語になっている秀作。数あるvariantを差し置いてこれを買って良かった。
次に粗筋。883(82)号ではMay伯母さんがDoctor Octopusのお陰で昏睡状態から抜け出したPeter。周りの患者がどんどんいなくなっていく。Mary Jane (“MJ”)が事件に挑む。884号ではSpider-sense(第六感のような能力)を抑えることができずリハビリを躊躇するPeter。
好きなシーンや台詞等を紹介。883号の話はStephen Kingの短編、The Little Sisters of Eluriaを彷彿とさせる内容。(Gunslingerシリーズの一話でMarvelから漫画版も出版されている名作。)”terribly sorry” “special circumstances”といった言葉を繰り返す不気味な看護師が、気味悪い。前述のようにFornesの画がその不気味さをさらに際立たせている。Peterが犯人に連れ去られるシーンで、何気なしに置かれた手術用の照明は実は伏線なのにはやられた。
光が苦手な怪物に、スマホのカメラで立ち向かうMJが”Say Cheese.”とフラッシュをたくのはベタだが面白い。
”Someday you’re going to learn how to rest.” MJ のPeterに対する愛のある台詞は物語の終わりとして非常に良い。今回の作品はFill-in(物語と物語の間のつなぎ)っぽいが、一つの作品としてよく出来ていた。
884号。Peterの夢の中の話なのか、そうでないのかが最後までわからない話。ナースコールのボタンを押す、Peterの顔は痣だらけなので、現実に彼が病院を抜け出しHarley Quinnのような泥棒にボコボコにされたのだろう。
一旦はSpider-senseを黙らせることに成功したPeter。それが彼の役割にはどうしても必要だと気付いた後の台詞。”I can’t feel you. But I want to. I need to whatever the cost. I can take it.” 最後のitはcost(代償)のこと。良いねこれ。だけどその前にSpider-senseのオンオフを勝手にできるのかという根本的な疑問は残るけどね。