今回は、アメコミ版ではなく、小説版DARK TOWER (以下"DT”)の新作をゴールデンウィーク中に読み終えたので、レビュー。
今回の話The Wind Through The Keyholeは、一度は終了したDTシリーズを尊敬する作家Stephen Kingが、再び手鰍ッたもの。第8作目にあたる。話の順番としては4冊目のWizard of Glassと5冊目のWolves of Callaの間となる。King自身がこの作品を4.5と言っているのは、物語の順番が理由だ。
話の構成は主人公Rolandとその一行が大嵐(Starkblast)に襲われる話。そして、嵐から避難している間の時間つぶしのため、Rolandが旅の仲間達に話す昔話とその話の中の劇中劇。3つの話がサンドイッチになっている。
DTファンとしては、結構読み応えがある良い作品だと思う。5作目はともかく、6冊目、7冊目にもの足りなさを感じたファンもいると思うが、これはそれらとは違う。4作目の続きと言ってもおかしくない、温かい話だ。
まず、好きなところをアメコミのレビューのように気ままに列挙。昔話の中では、小説ではあまり活躍の場がない、Rolandの父親Stevenの活躍や、Rolandの仲間Jamie Decurryの登場シーンがある。Rolandの青春時代の頃の話はアメコミ版を含め大好きなのだが、Kingはそれらを再現してくれた。ありがたい。冒頭の謝辞は、アメコミ版の筋書きを考えているRobin FurthとMarvel Comicsのスタッフ宛となっているが、アメコミ版がなければ、生まれなかった作品なのかもしれない。
Rolandの昔話は、シェイプシフター(クマとかトラとかにどんどん変身していく化け物だ)退治が主軸。犯人探しを含め、手に汗を握る内容。さすがKing。しかし、この話の最大の見せ場は、Rolandの母親のRolandへの手紙。そしてその母親の願いに対するRolandの返事だ。涙がぐっと出て来たね。
Kingのファンとしては、どうして犯人がシェイプシフターになったかってところも注目だ。Desperationでも出てくる古代の神だかなんだかが1枚噛んでるんだよね。
それから、劇中劇の方は、Timという少年が、目が見えなくなった実の母親を助ける話。この話も良い。要所要所にDTシリーズでお馴染みの小道具が出てくる。
さて、どうもわからないのは、ここに出てくるMaerlyn(アーサー王の話に出てくる魔法使いMarlinがモデル。)が良い魔法使いなのか、悪い魔法使いなのかってこと。アメコミ版DTのRobinの解説では彼は、Rolandを虜にしたPink Grapefruitの創造に関わっていたはずなのだが。
それから、納得いかないのはMan in Black(”MiB”)の存在。Rolandの母親を陥れ、Rolandの故郷Gileadを滅ぼす手伝いをした悪の魔法使いだ。もしRolandがこの昔話を母親から聞かされたのだとしたら、母親だって、MiBが悪で、自分を騙しているってことぐらいわかりそうなものなのに。いや、勘の良いRolandであれば、父親に使える魔法使いのMiBがこの昔話に出てくる魔法使いと同一人物だってわかるでしょう。
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