SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

『100年目の高校野球』 歴史と新しい息吹が息づく大会

2015年08月22日 | 高校野球

本当に毎年、
高校野球の決勝の後は1週間ほど、
『甲子園ロス』に悩むワタシ。

まだまだ全く”立ち直れて”いないのですが、
頭と気持ちを整理するために、
今大会の総評などを少し。

それにしても、
良い大会でしたね。
『100年の高校野球』ということで、
大会前からとにかくNHK,朝日を筆頭として、
何しろ煽る煽る。

今年はサッカーのW杯やオリンピックもない年のため、
『何とかイベントを・・・・』
という”事情”があったのかなかったのか、
そのあたりも考えの中にはありつつも、
【高校野球オヤジ】としてはこの流れに、
『乗らないわけにはいかんでしょう!』
ということで。

7月から2か月間、
どっぷりと高校野球に浸かって、
楽しませてもらいました。

そんな大会でしたが、
思ったこと、感じたことをつらつらと。。。。


1.『100年の甲子園』に駆け付けたファンの数・・・・こりゃすごい。

まず何と言っても、今年の大会の連日の観客数、これに驚かされました。
何しろ4試合日には朝8時という早朝から第1試合が行われるにもかかわらず、『よくもまあ、これだけの人が・・・・』と思うほどのファンの数。驚きを通り越して、「大変だなあ」と心配にすらなりました。毎日中継が始まると、『お~今日もすごい』と驚くのが定番となりました。
最終的な観客の数は知りませんが、盛り上がったということは間違いありません。高校野球人気が凄く盛り上がったのか、それとも《100年》&『清宮』で煽られたからなのか・・・・・。そのあたりは来年の大会を見てみないと検証はできませんが、いずれにしても、やっぱり日本人の高校野球好きは変わらんということですよね。『KANO』という、嘉義農林の活躍の史実を描いた映画がちょっと前に公開されましたが、あの時(昭和6年)も本当に人々は熱狂して甲子園の試合を追っかけていました。80年以上前から、日本人に深く根差したこの【高校野球甲子園大会】が、今後もますます発展していってほしいと、強く願っています。
一度見ればその魅力、わかってもらえると思います。だって、四の五の言わなくても、掛け値なしに面白い大会だもの。



2.東海大相模。2枚看板と鋭い打撃で、激戦を勝ち抜いて45年ぶりのV。

大会は、『本命』と言われて2年、ついに”候補筆頭”の東海大相模が、栄冠を勝ち取りました。
昨夏も同じぐらいのチーム力がありながら雨中の試合で初戦敗退。そしてセンバツには、出場がかなわず。複数の”超絶な投手力”を擁しながら、全国の頂に手さえかけることがかなわなかった悔しさが、彼らを強くしました。相次ぐ『まさかの敗戦』の敗因は、まさに誰でもわかるもの。『中盤までの競り合いに我慢しきれず、打線が機能しない』というこの一点。ようするに、『競り合いでの勝負強さ』これが彼らに課された、『絶対に克服しなければならない課題』に外なりませんでした。
『その課題は果たして克服されたのか?』やや疑問を持ちながら突入したこの夏の大会でしたが、ワタシは個人的には、神奈川大会で横浜高校がものすごい勢いを持って決勝に上がってきたことが、東海大相模のナインに火をつけたと言おうか、彼らの成長に大きな一役を買ったのではないかと思っています。準決勝までの横浜高校のミラクルぶりは、すごかった。しかし決勝で彼らを迎え撃った東海大相模は、これまでの『ややこの対決では受けに回って、横浜に一気に付け込まれてしまう』というこれまでの歴史にあった戦い方では全くなく、門馬監督の提唱する≪アグレッシブベースボール≫を体現しての、完膚なきまでの完璧な勝利を収めました。ここが一つの転機で、さらに転機があったとすれば、甲子園での準々決勝でしょう。2・3回戦と、まったく気を抜けない、評判の高かった強豪との対戦(聖光学院、遊学館)に勝利して、若干気持ちを燃え滾らせないまま迎えた準々決勝の花咲徳栄戦で、思わぬ苦戦を強いられました。試合の主導権を握れないこの戦いの中で、『ズルズル負ける、相模の負けパターン』かと思われましたがこれを克服。この試合をサヨナラで何とか勝ちきったことで、この後優勝へ一直線で進んでいくことが出来ました。
決勝はまさに『力と力の戦い』となりましたので、苦戦はしょうがないこと。どちらが勝ってもおかしくないこの激戦を制して、45年ぶりとなる真紅の大旗をつかみ取ることが出来たのでしょう。


3.8度目の挑戦も・・・・。東北の期待を背負った仙台育英は無念の決勝敗退も、東北勢の強さは際立つ。

仙台育英が平成元年に続いて2度目の決勝進出。前回は大越投手の”魂の投球”が快進撃の原動力だったのですが、今年の仙台育英はまさに『勝つべくして勝ってきた強豪』そのものの素晴らしいチームでした。県大会では心配されたエースの佐藤世が今大会では見事に立ち直り、素晴らしい大黒柱ぶりを見せてくれました。打線はもとより素晴らしい。東海大相模との決勝は、まさに『あと一歩』の戦いでした。この仙台育英、数年前から弟分である秀光中等中が中学野球の世界で輝きを放っており、このメンバーから何人もがこの仙台育英のメンバー入りをしています。新たな野球部の強化策を打ち立てているということで、その流れに沿って、今までよりも一段上のチーム作りが出来るようになってきています。『悲願の大旗』に手が届くのは、もう完全に時間の問題となっている気がします。そして花巻東、秋田商といったところが、今大会では上位に進出してきました。これらの学校、ほとんどの選手が地元出身。ここに今までの”東北勢の快進撃”とは違った勢いを感じることが出来るのです。今までは『他の野球強豪地域からの野球留学性』が引っ張るチームの上位進出が主でしたが、そこにこういった『地元中心』のチームも参画してくる流れになってきて、要するに『地域に沢山の有力校が点在する状況』を形作っているということなんです。
ワタシはこれまでは、『甲子園に出てくる学校の中にはものすごく強い学校がいるものの、全体のレベルとしては、他の強豪地区と比較するとまだまだかなあ』と思わなくもありませんでしたが、ここ3,4年ほどは、『底辺からの野球の底上げ』が著しいと感じることが出来るようになって、『いよいよ東北勢の甲子園制覇が現実味を帯びてきた』と思っています。
必ずここ3~5年の間には、『東北勢の全国制覇』が現実になると思っています。今や東北地区は、『押しも押されぬ全国強豪地区』になっているのは明白。高校野球の戦力地図、完全に塗り替えられています。


4.清宮フィーバー。『作られた狂騒』と思いきや、予想を覆すポテンシャルを目にして、びっくり。

大会が始まる前から、空前の『清宮フィーバー』が巻き起こりました。早実の清宮幸太郎選手、彼の一挙手一投足に、ものすごい注目が集まり、東京のスポーツ紙などでは連日のように彼の動静が報道されていました。ワタシは清宮クンの試合は西東京大会では準決勝、決勝と2試合みましたが、正直そこまですごいとは思いませんでした。両試合とも1安打ずつ。決勝で打ち上げたファールボールの高さに彼のポテンシャルの高さを感じましたが、正直なところ『甲子園では”現実”を思い知らされるかもしれんなあ・・・・』と思わないでもありませんでした。初戦の今治西戦。勝ちはしたものの、清宮クンの印象は地方大会時と変わるところはありませんでしたが、2回戦の広島新庄戦からの彼は、まさに『マスコミが期待した超絶なスラッガーの姿』に大変身したみたいで、そこからはもう、改めて書くまでもない『ものすごい姿』を見せてくれました。2・3回戦&準々決勝の彼のバッティングは、彼がなぜアメリカで『和製ベーブルース』と呼ばれたかということが実感できるほどのすごさでした。あのリストの強さと遠くに飛ばす力は、1年生としては『破格中の破格』と言えますね。原辰徳も清原も、松井秀喜も中田も見てきましたが、1年生の時点で比べるならば、間違いなく清宮がNO1なのではないでしょうか。しかしながら、前述の彼ら、名うての『練習の厳しい強豪校』で、3年間自分を磨きに磨いてきて、どんどんそのステージを上げてきました。一方、清宮クンが所属するのは早稲田実業。勉強にも妥協できない環境で、練習時間は強豪校と比べると短い、自主性を重んじる学校。そこらあたりが若干の不安ではあるのですが、そんなことは実際には【大きなお世話】。大きく育ってくれて、日本を代表する打者へ成長を遂げてもらいたいものです。本人は阪神ファンだそうですが、巨人は彼のこと、獲得したいだろうなあ・・・・。気の早い話だけど。そして【松井秀喜監督】が、自身の経験を踏まえて『師匠と弟子』として、育てていくというストーリーを思い描いてるんだろうなあ。。。。。気の早い話だけど、ね。そういえば松井選手も、大の阪神ファンだったよなあ。その彼もドラフトで巨人に指名されて、そこでの長嶋監督との出会いが、すべてでしたね。清宮クンも、将来松井秀喜という”名指導者”に、出会ってほしいなあ。。。。。



5.それにしても、僅差の好勝負が多かった!

今大会は、本当に僅差の好ゲームが多かったですね。
2日目の東海大甲府と静岡の凄い打ち合いから始まり、敦賀気比と明徳の好勝負、関東一を壮絶に追い上げた高岡商とか、5回も”抑え”の田中クンをマウンドにあげて相手を抑えた石見智翠館とか、初戦から印象に残った試合が多かったですね。本当に好試合が多かった。
2試合目からも、好勝負が続出。九州国際大附vs大阪偕星の試合も壮絶でした。3回戦では健大高崎の壮絶な足での追い上げをかわしきった秋田商の戦いや、関東一と中京大中京の”サヨナラアーチ決着”もありました。興南と鳥羽も、いい試合だったなあ。準々決勝の東海大相模vs花咲徳栄の好勝負や、関東一vs興南の試合は、ワクワクドキドキの試合でしたね。それにしても、好勝負が多かった【100年めの夏】、高校野球の魅力がいっぱいに詰まった戦いだったと思います。


6.東高西低が極まった大会。西日本勢の、来年の巻き返しを期待。

北海道・東北、関東、東海・北信越を東と規定するなら、今年は本当に、東のチームが躍進した年でした。東北・北信越勢が実力を伸ばすに従い、近年は東西の勢力図が劇的に変わってきた印象があります。まんべんなく上位に顔を出す東日本の各地区と比較して、西日本勢では近畿と九州の強豪は上位に顔を出すものの、かつて強豪の地区として名高かった中四国地区が振るわず、東西の格差は広がってきているといわざるを得ません。今年も中四国勢は全く振るわず。四国は初戦で全校が敗退し、中国勢でも2校が初戦を突破したものの2戦目で敗退。2勝9敗という戦績に終わりました。そして今年は、頼みの近畿勢が振るわなかったため、8強の中に西日本勢は九州の2校のみとなってしまいました。近畿勢では、智弁和歌山と天理の両校の初戦敗退が想定外。いつも、どんな大会の流れになっても孤軍奮闘してくれる”高校野球界の盟主”大阪桐蔭が地方大会で敗退したのが、何とも痛かったように感じる大会でした。

 

7.地方大会も含め、時代の変革を感じる名将の退任。

神奈川県大会で、横浜高校の渡辺監督が退任したのをはじめ、慶応の上田監督や横浜商大の金沢監督など、名将が相次いで退任を発表しました。そして甲子園では、天理のベテラン・橋本監督が退任を発表したのと同時に、『甲子園最多勝監督』である智弁和歌山・高嶋監督も近々の退任を表明。たぶん来年の大会が最後となるのではないかと言われています。『昭和の名監督』が相次いで退任を発表するところに、100年を迎え新しい時代に入った高校野球の変革を、感じざるを得ません。一方では30代、40代の”名将”もたくさん出てきて、新しい息吹を感じることも多い近年の甲子園ではあります。新しい監督たちが、伸び伸びと甲子園をわがものとして駆け回る姿は、清新さを感じますね。特に印象に残ったのは、春夏でまったくの初出場ながら、甲子園最多勝の高嶋監督率いる智弁和歌山に対して、堂々と自分の野球をやり切って快勝した津商などに、新しい息吹を感じました。いいチームでしたね。


8.そんな今大会のベストシーンは、この場面!

そんな今大会で、印象に残ったシーンは、関東一がらみが多かった。3回戦のオコエ選手の”ザ・キャッチ”は、震えるほどの素晴らしいシーンでした。そしてそのオコエ選手は、準々決勝で9回に決勝ホームランを叩きこみました。このシーンも忘れられません。しかし・・・・・・ワタシが選ぶベストシーンは、3回戦の関東一vs中京大中京戦での、中京大中京・上野投手と関東一・鈴木捕手の対決でした。中学時代にバッテリーを組んでいた二人。試合前からこの対決は注目されていましたが、0-0というしびれる試合の中、この両者の対決が、まさにしびれましたね。場面は7回の関東一の攻撃。2死1・3塁というチャンスで回ってきた鈴木捕手。上野投手との”旧友対決”に、気合バリバリでした。対する上野投手も、目いっぱいの自分のベストピッチを続けて12球。虚々実々の駆け引きもあり、まさに”ザ・勝負”といった風情の名勝負でした。凄い戦いの中、両者の表情が、本当にしびれるほどかっこよく、ワタシの”高校野球観戦史”の中でも、長く思い出に残るような名勝負でした。凄くて、素晴らしくて・・・・・・・ため息が出ました。



そんな素晴らしかった今大会。ワタシが選んだ今大会のMVP。

-今大会のMVP-

【チーム】  東海大相模 
        やはり素晴らしかった。感動を与えるチームでした。

【個人】  オコエ選手(関東一)  
        ザ・キャッチに決勝アーチ。さらに1イニング2三塁打の激走。全てに凄い選手でした。

【最高試合】  東海大相模 vs 仙台育英 (決勝)
        凄い決勝でした。球史に残る、名勝負でした。



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