2013年のドラフト会議が、
去る木曜日に行われました。
桐光学園・松井投手ら注目選手は、
それぞれの進路も決まり、
新しい世界に腕をぶすという状況でしょう。
各チームはそれぞれの戦略のもと、
指名を行いましたが、
その各チームのドラフトを採点しました。
≪2013年ドラフト会議・指名選手≫
~セ・リーグ~
【巨人】
1.小林誠司 24 捕手 日本生命
2.和田恋 18 内野手 高知高
3.田口麗斗 18 投手 広島新庄高
4.奥村展征 18 内野手 日大山形高
5.平良拳太郎 18 投手 北山高
~その他育成3人~
評価;60点
石川を逃したものの、1位でほしかった強肩の捕手・小林を指名できたのは成果だろう。石川を外した後は、残りのピッチャーでは現在の巨人軍に在籍する若手と比べた場合見劣りするという判断だったと思われる。2位で和田を指名したのは驚いた。3位は好左腕の田口、4位奥村、5位平良といずれも高校生の『素材型』の選手を指名。現状”すぐに埋めなければならない”ポジションが見当たらない巨大戦力を持つ巨人ならではのドラフト戦略。しかしこういう指名で、現在の『次から次に若手がわき出る』チーム状況を作ったのはさすが。今年はこの中から一人でも主力に育てば御の字との余裕のある構えを見せる【大巨人軍】である。
【阪神】
1.岩貞祐太 22 投手
2.横田慎太郎 18 外野手
3.陽川尚将 22 内野手
4.梅野隆太郎 22 捕手
5.山本翔也 25 投手
6.岩崎優 22 投手
評価;55点
どうしても欲しかった【即戦力】投手を狙い、大瀬良を指名したが外れ、柿田を指名したが再度外した。結果的に岩貞を指名したが、即戦力というには少し~?~マークがつく選手だ。例年であれば2位指名レベルの選手だと思われ、このドラフトが成功するかは、今後の育成次第。4位で全日本大学チームの主砲・梅野を指名。キャプテンシーにあふれた選手で、うまく主力に育てばチームを引っ張る選手になる可能性が大。高校生は2位の横田一人だけ。やや高年齢化がささやかれる阪神の戦力にあって、今年のドラフトは『チームを変える』高校生選手の指名がなかった。
【広島】
1.大瀬良大地 22 投手
2.九里亜蓮 22 投手
3.田中広輔 24 内野手
4.西原圭大 25 投手
5.中村祐太 18 投手
評価;90点
今年のドラフトの、現状においては『勝ち組』の最たるチーム。まずはローテの軸になるチャンスのある大瀬良を引き当てたのは、なんといっても大成功。広島のカラーに合う投手だと思われ、順調にいけば前田、野村らと若手のローテを組む素材だ。個人的には、大瀬良は高校時代に同じ県でしのぎを削った今村(清峰高校卒)と同じユニフォームを着るというのが、なんとも奇妙な因縁を感じる。投手王国を形成するため、毎年一枚づつコマを増やしている感じで、近年の広島のドラフト戦略は成功していると感じるが、10年経たないうちにFAで選手が流出してしまうのも広島の伝統だけに、そのあたりの引き留めが上手くいけばとは思うが。3位の田中、5位の中村は思い出のある選手。プロでの活躍は厳しい感じもするが、殻を破ってほしい。
【中日】
1.鈴木翔太 18 投手
2.又吉克樹 22 投手
3.桂依央利 22 捕手
4.阿知羅拓馬 20 投手
5.祖父江大輔 26 投手
6.藤沢拓斗 23 内野手
~その他育成2人~
評価;55点
近年にない『不作ドラフト』と感じていたのだろう。5球団競合しながらも、松井(桐光学園)を敢然と取りに行ったところに、谷繁-落合の新首脳陣の思惑が感じられた。その松井を外すと一気に方針転換。というか、これが『既定路線』だったのかもしれないが、1位の鈴木指名で『将来のエース候補』をゲットした後は、一人でも・・・・・ということで大・社の即戦力に狙いを絞っての指名を行った。4人の投手から何とか一人でも【即戦力】になってくれれば、との願いを込めた指名に見える。
【横浜DeNA】
1.柿田祐太 21 投手
2.平田真吾 24 投手
3.嶺井博希 22 捕手
4.三上朋也 24 投手
5.関根大気 18 外野手
6.山下峻 22 投手
~その他育成2人~
評価;65点
『相思相愛』の松井を逃がし、中畑監督が大コケ。なんとも逃がした魚は大きかったようだ。戦力に不安があるため、余裕を持ったドラフト戦略が立てられないのは分かるが、いつもながらに【スター候補】と呼べるような選手の選択はなし。『実質重視』路線に変わりはない。しかしその戦略、去年まではことごとく外してきているはず。今年も1位指名の柿田投手に、大きな期待はできないのではないかとみている。良くても7,8勝、悪ければローテに入れないかも・・・・というぐらいの現状での実力が妥当だとみているがどうだろうか。毎度毎度指名して数だけは増え続ける捕手、今年は3位で嶺井を指名。何とか一人前にしたいところだ。しかし全体を眺めると、今年も『なんとも夢のない』ドラフトだなあと感じてしまうのは、ワタシだけか。
【東京ヤクルト】
1.杉浦稔大 21 投手
2.西浦直亮 22 内野手
3.秋吉亮 24 投手
4.岩橋慶持 22 投手
5.児山祐斗 18 投手
6.藤井亮太 25 捕手
評価;60点
去年1位・2位で大成功を収めたヤクルトのドラフト。毎年好素材を指名して、その選手たちは生き生きと活躍するのだが、どこかでケガか故障を発生させ、期待された中で何人もが『戦線離脱』になってしまうのが、近年のヤクルトの常。川島、村中、佐藤、赤川、中澤・・・・・いったいこの中で、1年間フルに働いてくれた選手はいるんだろうか。去年のドラフト1位の石山、2位の小川は期待を大きく上回る活躍をしてくれたが、来年はどうなのか、悪しき伝統に終止符を打てるのか。そう考えながら今年の指名を見ると、やはり即戦力に固まった指名を敢行。杉浦はなかなかの好投手。はまれば活躍の場も与えられそうな右腕だ。3位の秋吉も、サイドからの速球を武器にしているだけに面白そうな存在だ。しかし余裕がないのか、かつては『高校生を中心に据える』ドラフトを展開していたヤクルトが、6人中1人しか高校生を指名しなかったのは疑問。育成の手腕は確かなのだから、高校生の好素材をゲットしてほしかった。逆に言えば、それほど高校生に人材がいなかったからなのか。
~パ・リーグ~
【東北楽天】
1.松井祐樹 18 投手
2.内田靖人 18 捕手
3.浜矢広大 20 投手
4.古川侑利 18 投手
5.西宮悠介 22 投手
6.横山貴明 22 投手
7.相原和友 23 投手
8.相沢晋 26 投手
9.今野龍太 18 投手
評価;95点
5球団の激戦を制して松井を指名できたことで、ほぼ満点の成果だといえる。田中のポスティングでのメジャー移籍が現実味を帯びる中、次世代のスター候補生は何としても取っておきたかったというのが今年の楽天のドラフト戦略。しかも投手の枚数が足りないチーム事情もあり、高校生ながら『即戦力』にもなり得る松井の指名は願ったりかなったりだ。そして2位ではその松井とU18でチームメート、地元東北出身でバンバンホームランをたたき込む、こちらもスター候補の内田を指名できたのは重ねて大成功だといえるだろう。二人をセットに、若い力を全面に出して売り出してほしいところだ。下位では東北出身の選手を大量に指名し、地元球団としての威厳を保った。いずれにしても、これまでのドラフトの中でも最上位に位置づけられる、”成功ドラフト”だったといっていいであろう。
【埼玉西武】
1.森友哉 18 捕手
2.山川穂高 21 内野手
3.豊田拓矢 26 投手
4.金子一輝 18 内野手
5.山口嵩之 24 投手
6.岡田雅利 24 捕手
7.福倉健太郎 22 投手
評価;80点
『即戦力投手』という煙幕を張りながら最後に高校生野手NO1とも言われる森を1位入札で指名した西武。近年にない、実にいい戦略で臨んだという気がする。正捕手・炭谷銀仁朗は西武がそれまでの正捕手である細川を放出してまでも育てることに執念を燃やした捕手だが、来年にはFAの資格を取得し、球団を出ていく公算が強いと思われる。さらに、8年間育ててみて、西武が思い描いたレベルの70%程度までしか到達していないということも感じられ、西武はついに、『炭谷の後継者作り』に踏み出したということであろう。そして森の場合、捕手としての適性のほかに、あのバットスイングを見れば外野手などで使ってみたくなる素材であるのは明らか。そして出身が大阪桐蔭ということで、『このタイプの選手は育つ』ということを確信しての1位入札だったのだろう。個人的には、1年目からの1軍登場を期待している。ほかの指名では、3位の豊田が面白い。大卒で社会人5年目。すでにかなりの年齢が行った選手だが、球団としては【中継ぎの即戦力】という一点にかけての指名だと思われる。『ピースが1枚たりない』と言われた投手陣の穴埋めができる戦力となれるのか。そして大学生野手としては、そのスラッガーぶりが轟き渡っていた山川の指名にも踏み切った。『パワーはあるが、身体能力はどうなの?』という声には耳をふさぎ、長所を伸ばすための指名。プロで通用しない可能性もある代わりに、大ブレークする可能性もある面白い指名だ。全体に西武らしいバラエティに富んだ、冒険心にもあふれた楽しい指名だった。
【千葉ロッテ】
1.石川歩 25 投手
2.吉田祐太 22 捕手
3.三木亮 22 内野手
4.吉原正平 24 投手
5.井上晴哉 24 内野手
6.二木康太 18 投手
~その他育成1人~
評価;75点
なんといっても、シーズンの終盤で投手陣の駒不足に泣いた今年のロッテ。期待された先発候補が不調や故障に悩んだため、なんとしても即戦力の投手を獲らなければということで、長く追い続けていた松井を回避し石川に入札。しかしその石川を巨人も指名し抽選となったが、念願かない指名にこぎつけた。石川は当面は先発ローテの投手ということでの起用になってこよう。2位の吉田は、大学球界では屈指の捕手ということで、伊東監督がご執心だった様子。3位の三木はセンスあふれる内野手であり、上位の指名はポジション的にもバラエティに富んでおり、穴を埋めるという意味でも成功のドラフトといえるのではないだろうか。ただ、ほぼすべてを大・社の選手で埋めたというのは、若干バランスを欠くという気もするが・・・・。いずれにしても、この中で2,3人は開幕のベンチに入っていることが、首脳陣の願いだろう。
【ソフトバンク】
1.加治屋蓮 21 投手
2.森唯斗 21 投手
3.岡本健 20 投手
4.上林誠知 18 内野手
~その他育成4人~
評価;50点
松井、杉浦を外し、想定外のドラフトになったようだ。加治屋は正直あまり知らない選手。SBがいままで成長させてきた数々の選手を見ると、球威があって力でねじ伏せるタイプなのかなとも思うが、1位というネームバリューは、正直なかった選手だ。2位の森、3位の岡本も、中央球界で名前の通った選手とは言い難い。しかしSBに言いたいのは、指名を4人で打ちきって育成が4人なんて、『どう考えてもおかしくないかい?』ということ。育成というとどうしても『安いコストで使い捨て』というイメージが沸いてしまうワタシなので、『4位で指名打ちきるぐらいなら、あと2人ぐらいは育成じゃなくて本指名してあげろよ』と言うこと。
【オリックス】
1.吉田一樹 24 投手
2.東明大貴 24 投手
3.若月健矢 18 捕手
4.園部聡 18 内野手
5.吉田雄斗 18 外野手
6.奥浪鏡 18 内野手
7.柴田健斗 24 投手
8.大山暁史 25 投手
~その他育成1人~
評価;95点
ほぼ目論み通りの、満点に近いドラフトではなかったかと思う。先発投手陣が足りないというチーム事情の中で、社会人NO1と言われる吉田を無抽選で引き当てたのは、これ以上ない成果だ。吉田は間違いなく先発ローテの一角を担うことができる逸材だと思う。オリックスにとっては、待望久しい投手と言えるだろう。金子に次ぐ存在になり、今年の則本(楽天)小川(ヤクルト)並の活躍を見せられれば、来年はオリックスがペナントレースの台風の目になりそうな予感も漂う。そしてもう一人、アマ時代に大舞台を経験している東明も期待できる選手だ。桐蔭横浜大時代は明治神宮大会などで見事な投球を披露しており、度胸満点の投球をするのが特徴。3位・4位は高校の長距離砲を指名。若月は鉄砲肩と送球スピードの速い万能型の一面も持ち、高校球界屈指の捕手との評価だ。5位の吉田は、走攻守のバランスが抜群で、早いうちに一軍でのデビューがあるかもしれない大型野手だ。
【北海道日本ハム】
1.渡辺諒 18 内野手
2.浦野博司 22 投手
3.岡大海 22 内野手
4.高梨祐徳 20 投手
5.金平将至 26 投手
6.白村明弘 23 投手
7.岸里亮佑 18 内野手
8.石川亮 18 捕手
評価;65点
栗山監督がくじを引くも、3回連続でのハズレ。3人の即戦力投手を外し、結局指名は高校生野手の渡辺に。しかしこの渡辺、身体能力も高く、おまけに飛ばす力もあり、『残り物に福』と言える素晴らしい選手だ。そして2位でセガサミーの剛腕・浦野を指名。結局のところ、バランスのとれたドラフトになった。昨年、一昨年のような”サプライズ”はなかったものの、堅実にチームの底上げが出来たドラフトだったと評価できる。6位の白村は、当初は1位指名もあるのではという評価もされた逸材。岸里は大谷の1年後輩で、投手・野手兼任の『リトル大谷』と言える存在の選手だ。
さて、
各球団とも、
知恵を絞ってドラフトで選手を指名しました。
しかしこの中の選手のうち、
誰が育ちチームを支えるスターになるのかは、
神のみぞ知ります。
今の評価なんて、
『誰もプロの世界に飛び込んだわけではない』
時点での、
あくまでも”仮”のもの。
本当の評価は、
5年や10年経たないと、
分かりません。
『あ~あの時のドラフトが、俺の運命を変えたんだよな~』
と、
いい意味で懐かしく思えるような選手になってくれること、
どのファンも望んでいます。
頑張って自らを鍛え、
今度ファンの目に留まるときは、
しっかりとしたチームの一員として、
活躍する姿を見せてください。