【第83回選抜高校野球大会】
~決勝~
東海大相模 002 120 100 -6
九州国際大附 000 000 001 -1
東日本大震災の直後に開催された今年のセンバツ。
思い思いに、非常に感じるところのある大会となりました。
大会は東海大相模の2度目のVで幕を閉じましたが、
普通に野球が出来る、それを楽しむということがどんなにかけがえのないことか、
肌で感じる大会となりました。
選手達も、
思うところがあったのでしょう。
どの試合でも、
最後まで気を抜くことのないプレーが続き、
そして敗れた選手達の顔になにか『やりきった』というような充実感を感じることが多かったと思います。
個人的な感想ですが、
今大会が開催され、本当によかったと思います。
誇張ではなく、
やはり若者達が全力でプレーするという姿は、
ひとときでもさわやかな風と勇気を与えてくれたのではと思っています。
大会の開催に尽力された方々には、
本当に頭の下がる思いです。
被災地から出場した東北高校。
敗れはしましたが、
厳しい状況の中、見事な戦いぶりだと思っています。
今年は夏に向けても厳しい状況が続くと思いますが、
あなた方ががんばったという姿と思いは、
絶対にこれからのチームに"伝統"として残っていくと思います。
今後語り継がれるであろう、"あのときの先輩"たち!
よくやった。お疲れ様でした。
さて、
そんな大会のフィナーレを飾る決勝戦。
まずは、東海大相模が動きました。
先発・長田。
庄司はあるのではということを思っていましたが、
まさか長田の先発があるとは思っていませんでした。
門馬監督いわく、『佐藤捕手と相談して決めた』この奇策ともいえる先発起用。
しかしチームのことをきっちりと把握している監督と主将の、
見事なコンビネーションが生み出した策でした。
この策にはまってしまったのが、
打線好調の九州国際大附属。
思えば九国は、
左腕の投手との対戦が少なく、
やや苦手にしているという印象を、
長田投手に対する各打者の対応を見て思わざるをえませんでしたね。
出塁率の高い1,2番、
そして中軸の後の『掃除』を任され結果を出し続けていた長距離砲の5,6番。
この4人が機能せず、
打線が分断されてしまった感じでした。
そして守りが落ち着いていたことで、
『いつもの相模の攻撃』
が徐々に発揮されてきました。
ここまでことごとく好投手を打ち崩してきた東海大相模の打線。
別の記事で書きますが、
見事に鍛えられた攻撃力を発揮しました。
あれだけの投手に対してこれだけのことが出来る打線。
冬場に鍛えられ、
これまでとは1枚も2枚も上の打線を作り上げることに成功しました。
そして投手陣でも、
冬場に近藤が怪我で離脱している中で、
高い意識で競争を繰り広げたであろう長田、庄司の左腕投手の底上げが見事でした。
守備も、
大会前は内野に人材が不足し、
渡辺、臼田、菅野の『鉄壁の外野陣』から誰かを内野にコンバートする案が練られている、
などという報道がありました。
しかし実際は、
ショートに定着して再三の好守備を見せた橋本。大会前はメンバーに名を連ねることも予想されていなかったサードの磯網など、どんどんと新戦力の台頭がありました。
内野陣の守備の安定度も、今大会No1だったと思います。
厳しいブロックに入って、
ワタシはこの組み合わせを見たときには正直、
『東海大相模の快進撃はないだろう』
と失礼な予想をしていました。
しかし、
その予想なんか簡単に打ち破り、
歴代優勝校の中でも大変に印象深いバランス抜群のチームでセンバツを制しました。
このチームの伸びシロは無限大かもしれません。
ひょっとすると昨年の興南に続き、
2年連続で春夏連覇のチームが出現する可能性だって、
あるかもしれません。
今後もますます楽しみなチームです。
準優勝の九州国際大附属。
試合後の閉会式で、
落ち着いたたたずまいの中にも時折悔しさをのぞかせた三好と高城のバッテリーが、
大変印象に残ったチームでした。
決勝は自分のペースを最後までつかめずに敗れ去りましたが、
攻撃力を前面に出しての戦いぶりは、
勇気と気迫を全国に送るに十分なものだったと思います。
『大型チームの魅力』十分な戦いぶりでした。
今大会は、
全般的に調整がうまくいったチームといかなかったチームのコントラストが、
ある意味非常に大きく表れた大会だったという印象があります。
決勝に残った両チームは、
見事なまでにチームを仕上げてきました。
そのほか、
21世紀枠の城南、初出場の静清等、
印象に残ったチームも数多くありました。
他には北海、加古川北、履正社、鹿児島実などは、
チームをうまく軌道に乗せていました。
反対に力があると思われながら、
その力をだすことなく敗れ去ったチームも多く見受けられました。
震災地の東北、水城、大館鳳鳴などは、
やはり『致し方ない』部分が多かったと思います。
そのほかでは、
横浜、天理、浦和学院などの試合ぶりは、
残念に感じました。
これらの有力チームは、
夏に向けてもう一段ギアを入れているところでしょう。
さて、
今日からすでに、
夏に向けての戦いは始まっています。
目標にされるチームになった東海大相模、そして九州国際大附属。
その包囲網を跳ね除けて、
また再び甲子園で『再会』を果たすことは出来るのでしょうか?
それとも、
虎視眈々とセンバツ組みを倒すべく牙を研いでいたチームが、
鋭く巻き返していくのでしょうか。
高校野球が最高潮を迎えるこれからの季節。
震災の復興と共に球音が東北をはじめとする全国各地で鳴り響いていくことを、
強く願っています。
東海大相模高校 センバツ2度目の優勝、おめでとう!
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