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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

高校野球はタイブレーク時代へ。

2018年01月12日 | 高校野球

~日刊スポーツより~

日本高野連は10日、今春の選抜大会から導入することが決まっているタイブレークを、夏の全国選手権大会や地方大会でも一律に採用することを決めた。延長13回無死一、二塁から開始。決勝だけはこれまで同様に延長15回まで行い、同点の場合は引き分け再試合(再試合ではタイブレークを適用)とする。全国大会から都道府県大会まで、ほぼ全ての公式戦でタイブレークが実施されることになる。



ついに高校野球も、
タイブレーク制採用にかじを切りましたね。

もともと今春の選抜からは採用されることが決定していて、
既に春の地方大会や明治神宮大会といった、
『甲子園に直結しない大会』
では採用されていましたから、
違和感というものはありません。

まあそもそも、
少年野球などの世界では、
古くから「タイブレーク」あるいは「サドンデス」という名前で、
これらの『早期決着システム』は採用されていましたから、
意外に選手たちはすんなりと入っていけるのではないかと思いますね。

ワタシなんかも、
少年野球の指導をしている時代には、
なかなか点が入りづらい地区の上位の対戦になってくると、
必ず1大会に1回や2回、
タイブレーク(我が地域ではサドンデスと呼んでいた)の試合があって、
真剣にその対策を考えたりしましたもんね、実際。

そういった意味で選手たちは、
指導者以上に『体に染みついた感覚』としてタイブレークの戦い方を持っているかもしれません。


しかしながら古くから『プロ野球と高校野球しか見ていない』ほとんどのファンにとっては、
違和感のある制度かもしれませんね。

『延長って~のは、決着がつくまで続くからおもしれ~んだ』
なんて声がそこかしこから聞こえてくることは来るんですが、
ワタシの私見としては、
やっぱりこの導入は致し方ないことなのかなあ・・・・・
そんな感じで思っています。


ここ10数年の夏の異常な暑さ、
これだけを取ってみても、
高校球児の身体の安全面を考慮したとしても、
従来の考え方では対処できないでしょう。

最近は本当に、
子供に指導していても、
夏は『危険を感じる』こと、
多々ありますからね。
対策を取らなければならないと感じています。

むろん選手、特に投手の体調管理、ケガ・故障防止の面から言っても、
13回+αで試合を切り上げること、
必要ではないかと感じています。

引き分け再試合にしないということは、
翌日に試合を持ち越さないということであり、
それは選手の疲労を考える面と、
それから大会の運営にとっても非常に有効だと考えていると思います。


しか~~~~し。



やっぱり『高校野球ファン』という観点からモノを言うとするならば、
『本当に面白くない制度だ』
と言わざるを得ないですね。

既に観戦している中で、
何回もタイブレークのシーンは見ていますが、
タイブレークで点を取り合ったうえでの決着って、
なんだかモヤモヤしたものが残るというのも確かなんですよね。
読書で言うならば『何とも言えない、スッキリしない読後感』とでもいうんでしょうか。

そこまで好投していた投手が、
タイブレークで突如として点を取られて、
そこまでの好投が台無し。。。。。
そんなシーンが目の前で繰り広げられると、
『なんだか釈然とせんなあ・・・・』
そんな感じにとらわれます。

サッカーの高校選手権で、
80分が終わるとすぐにPK戦になる感覚と似ているかな。

『弱者の戦法』ではないですが、
後半のもう早い時間から、
明らかにPK狙いの守備を固めた布陣を敷いて守り切るという戦法、
ワタシはあまり好きではありませんね。

そんな戦法が、
野球でも行われる可能性、
十分にありそうです。


今はまだ、
三沢―松山商の延長18回の激闘やら、
箕島―星稜戦、横浜―PL戦など
語り継ぐ人がいるから忘却の彼方とはなりませんが、
これからはああいう『いつ果てるとも知らない』激闘は見られないということになりますから、
野球の見方も変わってきますね。

国際試合ではタイブレーク制が普通(常識とも言っていた)だから、
日本も『国際基準』に合わせなければならない。。。。。

そんなことを言っている人もいましたが、
それなら『引き分けなどは言語道断』のMLBの基準はどうなんだろうね?
そんなツッコミも入れたくなります。


まあ、
見る人とやる人の感じ方も大きく違うでしょうから、
『これ』という回答もないのでしょうが。。。。

ワタシは、
まだ春浅いセンバツ高校野球では、
大いにタイブレークを採用して、
故障やけがを引き起こさないようにしてほしいものだと思っていましたが、
高校球児すべてにとって『高校野球最後の大会』であり、
全員が『目指すべき大会』と位置付けている夏の選手権大会では、
どうか採用しないでほしいと思っていました。

恣意的なルール上の『得点を入りやすい状況』などなしの戦い、
そんな戦いで『自分の高校野球の決着』をつけさせてやりたい、
そう強く願ったりしていました。

そして、
『延長15回引き分け再試合』というのこそなくし、
『延長15回サスペンデッドゲーム』こそ、
採用すべきなんじゃないかと思ったりしていました。

そうすれば選手の負担も、
一定程度緩和されるのではないかな?
そんな気がしていたのですが、ね。


まあ、いずれにしても、
13回のタイブレークが近づいてくるとともに、
『戦術的な動き』が加速されるということになり、
それはサッカーやバスケットなど、
『時間制限のあるスポーツ』のそれに(競技者のマインドが)近づいていくことになるんじゃないかと、
思っています。

野球って、
『時間制限がないからこそ、面白いんだよ』
ってことこそが、
長く言われていたことだと思っていたのに。。。。


翻って考えてみると、
延長が18回から15回になって、
激闘もすごく減ったなということが実感されていたことも確かです。

箕島vs星稜 であったり、
横浜vsPL であったり、
ワタシの心の大きな部分を占める『真夏の大激闘』と比べて、
早実vs駒大苫小牧 の対戦は、
決勝戦という舞台で、しかも引き分け再試合になったにもかかわらず、
なんだかワタシの中に『激闘感』の少ない、
心に深く刻み込まれた試合としての記憶が、
薄い印象があるんですよね。

斉藤やマーくんが涼しい顔をして淡々と投げているからかもしれませんが、
なんだか『まだまだ余力を残して、試合が終わったな』という感じがぬぐえなくて、
この試合を『もう一度見たい』と思ったこともないし、
人に口角泡を飛ばしながら『あの試合はすごかった』と語ったこともありません。

ワタシはやはり、
延長の規定が18回から15回に変わったことが大きいのかなあと、
感じていました。

そんな感覚が、
どんどんこれからは増えていくかもしれませんね。

高校野球ファンとしては、
一抹どころか、二抹も三抹もの、
寂しさを禁じ得ません。


しかし時代とともに変わっていくのが、
こうしたスポーツの常。

新たなる世紀に向かって、
【100年経過後の高校野球】
を見守っていくしかありませんね。



【追記です】
タイブレーク導入の意義を殊更高野連などは説いているように見えるが、
それを入れるのであれば、もう一つ同時に考えてもらいたいことがあります。

それは、
夏の地方予選におけるコールドゲームの廃止です。

金属バット導入以降、
特にボールがよく飛ぶようになったと言われている平成の中盤以降において、
7,8点差の逆転なんていうゲームはもはや絵空事ではなく、
現実に起こり得るゲームです。

数年前の星稜の石川県大会決勝での大逆転を見るまでもなく、
それはいつ何時でも起こり得るものとして認識すべきでしょう。

今回のタイブレーク導入が、
【プレーヤースファーストの結果】
というのならば、
どうか夏の選手権予選におけるコールドゲームは、
廃止を検討してほしいと思います。

運営上『1試合を2時間か2時間半で終える』ペースで試合が進行しないと厳しいというホンネが隠されていることはわかりますが、
高校球児にとって、特にほとんどの3年生にとっては、
『この試合が高校野球、いや、野球人生最後の試合になるかもしれない』
という大会だということを、
認識してあげてほしいのです。

野球本来のルールには、
【イニングは9回まで】
と書いてあるのでは?

それならば、
たとえどんな試合展開になろうとも、
9回という試合を全うさせてあげてほしいと思ってしまうわけです。

高体連の中にも、
いろいろな競技があるとは思いますが、
『大差がついたからすぐそこで試合を切る』
なんて競技、ないと思いますよ。

コールドゲームって、
言ってみれば陸上の長距離で、
『はいっ、キミは周回遅れになっちゃったから、ここまでね』
と係員がトラックに出てきて、
途中でその選手の競技を、
強制的に止めてしまうようなもんでしょ。

そんな感じで止められてゴールもできずに引退してしまった選手、
気の毒だとは思わないのかな?

当たり前のように高校野球で行われている『コールドゲーム』というものも、
『タイブレーク』の導入と同時に、
見直してみたらいかがかな?!


そんなことを、
考えてしまいました。

 


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