≪第104回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望4 東海地区 -
【静岡】(参加107チーム)
秋と春で上位の陣容がらり。中日メソッドで東海大会制した浜松開誠館に夏は来るか?!
◎ 浜松開誠館 日大三島
〇 静岡 常葉大菊川
△ 掛川東 聖隷クリストファー
▲ 加藤学園 静清 東海大静岡翔洋
「春優勝したチームは夏、甲子園には行けない」のジンクスが生きる静岡県の高校球界。毎年10校以上が覇権争いに顔を出す戦国時代の様相は今年も続きそうで、その中でどこが最後に栄冠をつかむか。春の県大会を制し勢いに乗って東海大会をも制した浜松開誠館は、元中日の小池、小島コーチが仕上げる投手陣がいい。静内、山口、広崎の3人はどこでもマウンドに上がり好投を見せることができる。打線もここ一番で快打が出る好打線で、実力から言えば甲子園に届いて何ら不思議ではないチームだ。あとはジンクスをどう破れるか。秋の東海大会を制して甲子園に出場した日大三島は、エース松永が大黒柱。永田監督が自信を持つこの戦力で、春夏連続の甲子園出場が大目標だ。この2校に僅差で迫るのが連続出場を狙う静岡。吉田、法月、鈴木侑の3本柱は、誰が投げてもそん色ないレベルの高さ。打線は大物打ちこそいないものの、しっかりとオーソドックスな攻めで得点を奪えており、弱点にはなりえない。そしてスキを突きたいのが常葉大菊川。エース右腕の安西は安定感抜群で、零年夏にしっかりと上げてくる打線が絡めば4年ぶりも見えてくる。さて、センバツには不明確な選考で落とされ出場できなかった聖隷クリストファーはどうだろうか。エース弓達が春先にマウンドに戻ってきてようやくチームの形が整ってきた。秋に東海大会で見せた粘りの野球が健在ならば、夏はひと暴れしてくれるだろう。そのほかでは甲子園の土を踏んだ加藤学園は打線が看板。静清、掛川東ら春に実績を残した各校も夏の頂点をしっかりと見据えている。
【愛知】(参加180チーム)
いつもの4強が夏に向けてたたき合う。豊川、星城ら新顔も狙いは一つ。
◎ 享栄 愛工大名電 東邦
〇 中京大中京 豊川 星城
△ 至学館 誉
▲ 中部大春日丘 愛知啓成 愛産大三河
全国最大の激戦区となった愛知。今年も「私学4強」の争いは変わらない。しかし今年はその序列が少しだけ変化している。秋は享栄が制し、その享栄は春コロナ禍で8強で出場辞退の憂き目にあった。しかし戦力的にはトップを走っており最右翼か。いずれも2年生の左腕東松と右腕磯部はいずれも速球で勝負できる本格派。そこに安藤、中井、藤本らが絡む投手陣は全国的に見てもトップレベルという事が言える。大藤監督もそろそろ結果が欲しいところ。この大激戦を制して、久しぶりに甲子園で勝どきを上げたいところだ。東邦も平成最後のセンバツを制して4年、令和では甲子園に届いていない。今年も147キロを投げるエース三浦を軸に春の県を制覇。伝統の強力打線も健在で、享栄に肉薄している。昨年Vの愛工大名電も、今年もいいチームを作ってきている。昨年同様に複数の投手がしっかりと投げ切ることができる投手陣のレベルは高く、打線も当たりを取り戻してきていて、2強に引けを取らない戦力だ。今年は4強から外れノーシードの戦いとなった中京大中京も、夏は仕上げてくるはず。投手陣が3強にやや劣るも、強打は健在で、大会でいい波に乗れるか。この4強の優勝争いとみてまず間違いないだろうが、スキを突く各校も実は戦力はなかなかいいものを持っている。豊川は春は中京大中京に競り勝ち4強入り。夏もその再現を狙う。星城も秋、春ともに4強入りと安定した実力を誇る。自慢の打線が火を噴くか。そのほかでは、秋に決勝まで進んだ至学館は左をそろえる打線が看板、誉も主砲イツアの大爆発があれば上位を十分にうかがえる戦力だ。
【岐阜】(参加67チーム)
大垣日大、岐阜一、中京が競り合う展開。鍛治舎監督率いる県岐阜商が大外から一気を狙う。
◎ 大垣日大 中京 岐阜一
〇 県岐阜商
△ 帝京大可児 大垣商 市岐阜商
▲ 岐阜城北 関商工 美濃加茂
阪口監督率いる大垣日大は物議をかもしながらセンバツに出場。打線の破壊力は今一つながら、エース五島に三松も成長。戦える態勢は整った。一方の中京は、秋に県大会を制覇、春も順調に歩を進めていたが準決勝前にコロナ禍で無念の出場辞退となった。この影響がどう出るかというのが県関係者の注視するところ。しかしエース左腕の瀬戸に吉永、花川と揃う投手陣は圧巻。打線次第ではあるが、十分に頂点に立つ力はある。春は間隙を縫って県大会を制覇、東海大会でも決勝に進出した岐阜一は打線の爆発力に手ごたえを感じている。投手を含めた総合力では大垣日大、中京にやや譲るものの、爆発力はNo1か。この3校のたたき合いが見ものの大会だが、忘れてもらっては困るというのが県岐阜商。20年春、そして昨年春夏と甲子園を独占してきた自負は強く、今年も当然県大会を勝ち抜く腹積もりだ。鍛治舎監督は4人の投手を使い分けて頂点まで戦い抜く計算で投手陣を整備。だがこれまでの甲子園ではすべて打てなくて負けたという歴史を繰り返しており、打線の整備も急務だ。帝京大可児は投手力が看板のチーム。ロースコアのゲームを拾って初の頂点を目指している。大垣商は春8強。昨夏決勝で競り負けた市岐阜商は捲土重来を誓う。その他では岐阜城北の打線、関商工の粘り強さ、美濃加茂の全員野球などがきらりと光る。
【三重】(参加64チーム)
津田学園、津商、三重が3強か。菰野、いなべ総合、白山ら夏の覇権を奪った各校が追いかけて混戦を演出?!
◎ 津田学園
〇 津商 三重
△ 菰野 いなべ総合 白山
▲ 宇治山田商 海星 近大高専 皇学館
昨年同様の優勝予想になった。まずは筆頭候補だが、ここには津田学園を推す。昨夏からの3大会で準優勝、3位、準優勝とあと一歩の壁が敗れない大会が続いているが、その分ナインは優勝を渇望している。チームはどちらかというと打線頼みのチームだが、ここにきて投手陣の整備が整い”最後のワンピース”が埋まったとの見方もある。一方で秋準優勝、春優勝と着実に歩を前に進めているのが津商だ。2015年のセンセーショナルな甲子園デビュー以来、着実に強豪への道を歩み続ける津商にはファンも付き始めており、今年甲子園に出られれば今後の歩みも盤石になる。投手陣は3本柱で相手に的を絞らせず、トップの牧戸は鋭い攻守でドラフト候補となっている。その両校を凌駕して昨年甲子園に出場したのが三重。今年も昨年と同じく秋優勝し春沈むという歩みを見せており、今年も昨年の再現を狙う。甲子園経験者が多数揃うのは大きなアドバンテージか。この3チームが一応の3強だが、追ってくる後続陣との差はあまりない。まずは県屈指の右腕と言われる杉浦を擁する菰野。彼の右腕に08年以来の夢を託す。まさかの甲子園出場を飾ってから4年、白山も2度目の夏を狙う。4年前から比べても戦力的には十分に上回っており、関係者の期待はかなり高い。いなべ総合や宇治山田商などの「狙える強豪」の躍進も見ものだし、近大高専、皇學館らの新顔の大暴れにも期待の大会だ。