昨年12月30日、
電光石火の速攻で2階級制覇を成し遂げた、
WBO世界Sフライ級王者の井上尚弥が、
5月に予定されていた防衛戦を延期することを発表しました。
その12月30日の試合で痛めた、
拳の回復具合が思わしくないとのこと。
無類の強打者の宿命ともいえる拳のケガですが、
なんだか少し不安になってしまうニュースです。
井上チャンプ。
まばゆいばかりの光を放つこのボクサー、
彼こそ白井、原田、具志堅をも超えていく、
『不世出の大ボクサー』
になる要素を備える逸材と思うだけに、
『拳のケガで3か月先の予定をキャンセル』というニュースに、
何だか不安を感じてしまいました。
『パンチが強すぎて拳を痛めた』
というので思い出したのは、
現帝拳ジム代表の浜田剛史氏。
ものすごいパンチ力の裏には、
常に拳を痛めるリスクを内包していたと、
何かで読んだことがあります。
それゆえに浜田氏は、
世界に挑戦するのも遅れ、
そして世界を獲った後も短命に終わりました。
しかしその強打は、
いまだに目に焼き付いて離れません。
『記憶の中ではいつもNO1ボクサー』
だともいえます。
しかし井上選手には、
もっともっと上の、
記憶にも残り、記録も超一級のスーパー王者を目指してもらいたいので、
このニュースは本当に心配です。
今のボクシング界。
階級が本当に細かく刻まれて細分化しているうえ、
4団体が乱立。
しかもその団体の中に、
正規王者、暫定王者、そしてスーパー王者まで、
『いったい何人【世界チャンピオン】がいるの?』
と突っ込みたくなる状況です。
それゆえに、
いろいろな思惑絡みで世界チャンプが『作られる』ことも多く、
今やボクシング世界チャンピオンというだけで、
世間に『凄い』と思われることはなくなったといってもいいかもしれません。
『タイトルを獲った、守った』というだけではなく、
『どんな相手と、どう戦ったのか』
ということが問われている世界となっています。
そういう意味では、
プロレスに近くなっていると言えるかもしれませんね。
プロレスほど、
『タイトルを獲った』
ということよりも、
『どんな相手と、どんなファイトをやったのか』
が問われる競技もないですもんね。
人々の印象に残る試合、
はたまた『こいつは掛け値なしに強い』と思われるファイトをしない限り、
ファンに訴えることはできませんからね。
そんな中にあっての、
『本物中のホンモノ』
井上尚弥チャンプの戦いは、
本当に魅了され、期待させてくれる数少ないものです。
そんな井上選手の故障が、
選手生命を脅かすもの、
あるいは今後の戦い方に影を落とすようなものでないことを、
祈っています。
ナルバエス戦でのあの衝撃。
これから時代が『井上時代』に向かい、
彼がマニー・パッキャオのような『世界のビッグネーム』になる第一歩を記す大事な年が始まった矢先のことだけに、
心配でなりません。
次の試合は『年内』とのことですが、
その時はまた、
更にビルドアップした井上選手の戦いが見られること、
期待して待とうと思います。
その間に、
同じ大橋ジムの松本選手と弟の井上拓真選手の『世界奪取』に、
期待しています。
井上尚弥チャンプ!
焦ることなくしっかり治して、
また『ものすごいファイト』見せてください。