≪第105回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望4 東海地区 -
【静岡】(参加107チーム)
春の東海大会を制した加藤学園がジンクスを破り甲子園に到達か。日大三島は連覇を狙い、選抜出場の常葉大菊川も有力。
◎ 加藤学園 日大三島 常葉大菊川
〇 静岡 浜松開誠館
△ 聖隷クリストファー 東海大静岡翔洋
▲ 静清 藤枝明誠 知徳
毎度のことだが、「春優勝したチームは夏、甲子園には行けない」のジンクスが生きる静岡県の高校球界。それだけ毎大会覇権の行方が変わる群雄割拠な大会だ。今年も春は加藤学園が初優勝。勢いに乗って東海大会も制し本命の座に躍り出た。しかしながら、ここでジンクスが生きてくる。加藤学園が夏も春のような勢いを持続しているか?!春の加藤学園は、投の逃げ切りあり、接戦あり、そして打撃戦ありと、どんな試合展開にも対応する柔軟さを見せた。チームは長打をガンガン打つわけではないが、足を絡めて得点力が高い。投手陣も春を経て2本、3本と信頼できる投手が台頭。夏も制して甲子園に行っても、決して見劣りしない好チームだ。日大三島は昨年の春夏連続出場校。しっかりした戦いで今年も候補の一角。下級生中心で挑む今年は、2年連続の夏に照準を絞る。選抜出場の常葉大菊川は、層の薄かった投手陣の整備が急務。打線は自慢の打線と言われたが選抜では音なし。リベンジを果たすには県大会を突破しなければならない。名門・静岡は夏に強い伝統を持つ。今年は大黒柱のエース中野がチームに安心を与える存在。彼が大車輪で活躍すれば、2年ぶりの夏はグッと近づく。昨春県初優勝を飾った浜松開誠館は、昨夏はジンクスを払しょくできず敗れ去ったが、もともと力を持ったチームで今年その雪辱に燃える。エース近藤はなかなかの好投手。そのほかでは、昨春不可解な選考で選抜出場を前に涙をのんだ聖隷クリストファーが捲土重来を期す。東海大静岡翔洋は好投手・松永で勝負。昨夏準優勝の精製や藤枝明誠は、モチベーションが高い。
【愛知】(参加174チーム)
東邦と愛工大名電に、ドラ1候補・東松を擁する享栄が挑戦状をたたきつける。
◎ 東邦 愛工大名電
〇 享栄 中京大中京
△ 至学館 愛知啓成
▲ 中部大春日丘 豊川 誉
高校野球で日本一の大票田である愛知大会。昨年から出場チームは減ったものの、やはり大激戦の大会になることは間違いない。昨夏ついに夏の大会で甲子園を勝ち上がることができた愛工大名電と、選抜でその力の一端を見せた当方が双璧か。愛工大名電は昨夏甲子園8強、3連覇を狙う。昨夏も光っていた投手陣は今年も底上げされ、笹尾に大泉、伊東ら好投手の宝庫。それを自慢の足を使った打線が援護する。今年は昨年以上、全国4強をターゲットに、3連覇は譲れない。選抜で大型チームの片りんを見せたのが東邦。今年は秋春と県大会を制し、完全制覇で夏の覇権を奪う計画だ。石川、中村、真辺、岡本と続く打線は全国でも屈指の破壊力を持つ。投手陣では、選抜で今一つだったエース宮国の復調待ち。しかし春の東海大会で山北、岡本の両輪も好投を見せ、投手陣の底上げはできた。この夏は、ライバルに道を譲るつもりは毛頭ない。その両校に対し、敢然と挑戦状をたたきつけるのが、享栄のドラ1候補・東松だ。東松は左腕からMax152キロの速球を投げ、練習試合では大阪桐蔭相手にも好投。全国注目の好投手だ。打線では2強に一歩遅れを取るため、東松の好投が絶対条件だが、支える投手陣が頼もしくなってきたのは好材料。久しぶりの甲子園に向けて、負けられない今年の夏だ。4強の一角である中京大中京は、今年も戦力的にはそん色ない。今年覇権で実績を残せていないが、そこは名門だけに、夏になるとガラッとチームが変わってくるのはお約束。上の3校に負けない野球で甲子園を目指す。秋春ともに県準優勝まで駆け上がっている至学館も候補の一角。エース伊藤の安定感は出色で、ロースコアゲームを取っていきたい。この夏で勇退を表明している麻王監督に、甲子園というプレゼントを贈れるか。そのほかでは、春4強の愛知啓成、強豪キラーの中部大春日丘、エース黒野が注目の誉、そして8強常連の豊川らが波乱を狙う。
【岐阜】(参加66チーム)
夏3連覇狙う鍛治舎・県岐阜商。接戦に強く負けない野球が浸透。選抜出場の大垣日大は、傘寿の名将・阪口監督が率いる。
◎ 県岐阜商
〇 大垣日大 中京
△ 市岐阜商 帝京可児
▲ 岐阜城北 岐阜第一 岐阜
大ベテランの老将二人が、今年もバチバチのライバル関係で夏の覇権を争う。まず夏3連覇を狙う県岐阜商。智将・鍛治舎監督の狙いは全国制覇。そのために戦力を整えてきた自負があるだけに、県大会で負けてはいられないというのが本音だ。今年も山口・森らチームのベースになる投手陣の質の高さは見事。そう簡単に点は取られない。そして打線は得意のノーステップ打法らを取り入れて粘っこくしつこい野球が浸透。トーナメント戦でも簡単に負けない好チームだ。一方傘寿を迎える老将・阪口監督率いる大垣日大は、選抜にも出場し、まだまだ元気にグラウンドで采配を振るう。今年のチームも打線は底上げされており鋭く、エース山田がやや不調だったが、復調なると投打のバランスが取れてくる。秋優勝、春4強の中京は、好チームだが2強に比べると何かが足りない。エース菅沢は好投手だけに、上位での直接対決に向けて、秘策を練っているところ。ここ2年の夏の準優勝校、市岐阜商と帝京可児も圏内か。さらに名門進学校でもある岐阜も今年は秋春ともに4強入りし、名門復活を狙っている。エース鷲見は注目の好投手。純白のユニフォームが甲子園で再び躍動するか。
【三重】(参加61チーム)
秋春の優勝校、三重、いなべ総合に準優勝の津商が3強。津田学園や海星などの強豪も上位に参戦か。
◎ いなべ総合 津商 三重
〇 津田学園 海星
△ 宇治山田商 木本
▲ 菰野 白山 近大高専 皇学館
3連覇を目指す三重は夏にグッと力を伸ばし県大会を連覇中。三重県では初の大会3連覇に向けて、上々の態勢だ。前田、伊藤らの投手陣を自慢の打線が今年もしっかりと援護したい。春の県大会を制したいなべ総合は、打線のチーム。それだけに少し戦い方に不安定さは残るものの、何しろその打線の破壊力で叩き潰す。しかし東海大会では愛知の至学館を相手に、簡単にひねられてしまった。立て直すのか、それとも底上げ?投手陣はやや不安定さが残るため、夏も打って打って勝ちを拾っていく野球だ。津商はエース松田を軸に、秋春ともに準優勝。最後の一つの壁は夏にとっておく・・・・・という感じで戦いに臨めばおのずといい結果が得られる。投打ともにしっかりとした戦力が整っており、弱点のないチームだ。ここ数年県の高校野球を引っ張ってきた津田学園は、今年も春4強。強打が自慢で、一気に夏の覇権を狙いに行く。海星はしっかりと4強に輝いており、この壁を破れば甲子園が見えてくる。こちらも打線が看板だ。大会は順当に進むことが多い三重の夏。しかし白山が一気に駆け上がった年もあるように、波乱がないとは言えない。各校ともにしっかりと戦力を充実させていきたい。