SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

観客と選手

2013年10月02日 | テニス

テニスの東レ・パンパシフィックオープンで、
クルム伊達選手が観客の『ため息』連発に、
会見で憤りの思いを表しました。

ワタシはその試合、
見ていないので何とも言えないのですが、
そのニュースを聞いていろいろと思うところはありますね。

何だかその日、
調子がイマイチだった伊達選手。

明らかに試合中からいらだった様子だったようですが、
それでもさすがは実力者。
第2セットはタイブレークまで持ち込みました。

そのタイブレークで、
大事なポイントをダブルフォールト。

その瞬間、
7,000人の観衆からため息が巻き起こり、
それに伊達選手、
切れてしまったようです。

曰く、
『日本人の観客は欧米の観客と比べ、試合を見ることに慣れていない?』
とか、
『ため息にエネルギーが吸い取られていくようだった』
とか言ったみたいです。


実はワタシも学生時代、
テニスの競技者でした。

試合中、
周りにギャラリーがたくさんいたこともあります。

もちろん、
イージーなミスにため息を漏らされたこともしばしば。

更に団体戦では、
自分のミスにさんざん相手側から”歓喜”されたことも・・・・。

『その時、どんな事思っていたかなあ?』

そんなことを思い出しながら、
伊達選手の心情を考えてみました。


そして・・・・結論。

『ああ、伊達らしいなあ。』


日本の選手として、
初めてと言ってもいいくらいの実績を残し、
海外で大活躍した伊達選手。

しかし大活躍し始めた20代の前半~中盤のころ、
伊達選手は『難しい選手』としてつとに有名でした。

何がって?

インタビューしたり、
会見したりすることがですよ。
気難しいってことです。

マスコミ嫌いで通っていたこともありましたね。


しかしこれって、
超一流の海外で活躍するアスリートにはよくあること。

あのイチロー選手だって、
オリックス時代は本当にとんがっていて、
まともにインタビューに受け答えしていませんでしたもんね。

また、
サッカーの中田選手も。
あからさまにインタビュアーの不勉強に、
嫌な顔をしてたった一言しか発せずに帰ってしまうこともしばしばでした。

伊達選手も、
まったく同じような感じでした。

しかし、
これはある意味致し方のないこと。
これくらいでなければ、
海外に打って出ていくことなんてできません。

それから、
彼らが社会経験の少ない20代前半という年代もキーワードですね。

それが年を重ねてベテランになったり、
あるいは引退したりすると、
『インタビューする人たちも、自分の仕事をしているんだ』
ということと、
『インタビューアーに応えているのではなく、その後ろにいる何百万、何千万のファンに答えているんだ』
ということにはたと気づくようで、
段々とインタビューなどでも饒舌になったり、
言葉によってたくさんの発信をしていくようになります。
いうこともなんとなく丸みを帯びてくるものです。
(”わかる人だけわかりゃいいんだよ”から、”競技に精通していない一般の人にもわかりやすく”、言葉を選んで伝えるようになってきます。)

それが『人間が練れてきた』ということですね。
(最後まで練れない、変人と呼ばれる選手も少数ながら、いることはいますが。)

伊達選手もあらかたの大会での活躍を終えた20代後半で電撃的に引退して、
それからはテニスにかかわる仕事を生業とし、
コーチとかクリニックなど、
たくさんの人たちに『テニスの楽しさ』を伝える伝道師として、
各地を飛び回るような生活を続けていました。

その中で、
初心者を含めた素人にテニスの楽しさを教える傍ら、
『テニスの試合を見に来てほしい』
ということも言っていたことでしょう。

日本における、
スポーツ界でのテニスの地位、
昔も今も、
さほど高いものではありませんから。

大きな大会をやっても、
さほど会場が満員になることもありませんしね。

そういった『第一人者』による”営業活動”、
競技にとってはとても大切なことですからね。


そういう自分も含めた長年の努力を、
何だか自分で投げ捨てるような今回の発言だったと、
思わざるを得ませんね。

『ヨーロッパと比べて、観客が練れてない』
と言いましたが、
そりゃ、そうでしょう。

そこまで人気のあるスポーツじゃないもの、日本のテニスって。
いったい世間に、
テニスの試合を見に行ったことのある人って、
何%ぐらいいるんでしょうかね。

あまちゃんの視聴率ぐらいいれば、
苦労はないんだけどね。


『マイナースポーツの悲哀』
を少しでも感じているのであれば、
出る発言じゃないですね。

そんなマイナースポーツに、
決して安い金額ではないチケットを購入して見に来てくれているファンに、
『あなた方は、テニスを見る資格がない』
と言っているようなもんですね。

失礼千万は、あなたの方ですよ。


ずっとテニス普及の活動を自分でやってきた、
40を過ぎた人が、
こういう言葉を苛立ち紛れに吐いたことに、
ちょっとショックを受けています。


もちろん、
何年か前にゴルフの石川遼選手見たさに、
選手がアドレスに入っているのに動いたり、携帯を鳴らしたり、カメラのシャッターを切ったりというような、
いわゆる『マナー違反の観客』には、
厳しい態度で望んでしかるべきだと思います。

しかし、
今回はミスをした時の『ため息』が腹立たしくて、
その態度が許せないと言われちゃあ、
観客の方々も立つ瀬がないですよ。

今回のことで、
『伊達のテニスはもう見に行かない』
と思った観客の方、
結構いたんじゃないかと思いますね。


40になってもまだ、
分かっちゃいないなあ・・・・・・

と思った、
伊達選手のお話でした。


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