アルファロメオと小倉唯

母が弱りつつあるようです

施設に入ってすぐは「もう明日、家に帰る」と騒いでいた父は、少し落ち着いたようです。

ただ「すぐ帰る」とは言わなくなったものの「なぜお母さんと会えないんだ。会えなくちゃ意味ない」ということは…

連日電話をかけてきて、言い続けています。そのたびに説明して、そのときは納得するのですが、翌日にはまた忘れてしまいます。

母の妄想性障害=倒れるまで嫉妬妄想があったことについては説明しても、ピンと来ないようです。

都合の悪いことはすべて忘れて、思い出さない方向にぼけ続けているわけで、それを無理に思い出させるのも残酷なので、そのままにしています。

「ずっと仲の良い夫婦だった」という記憶を持って残りの人生を過ごさせてあげるのが思いやりでしょうね。

その母は、今日施設長と面談して分かったのですけれど、最近食が細って、以前は完食できた食事が2~3割しか食べられなくなっているそうです。

体重も減少。喘鳴が出てきてもいるそうで、癌の肺への転移を疑っている、と医師でもある施設長は言っていました。

以前はわがままを言ってあれを持ってこいこれを持ってこいということで、しょっちゅうかかってきていた電話が、このひと月全くなくなっていたのは...

体の具合が良くなくて、わがままを言う気力がなくなってきたからかもしれません。

施設長からは「どの段階で病院に移すのか、決めてください」と言われ。

大病院で精密検査をして、癌だと分かったとき母は「体はなんともないからどこにも移りたくない」と言い張っていて...

今でも施設長にそう言って、診察を受けるのを嫌がっているということなので...

本人が入院したいと自分から言うか、もしくは救急搬送が必要になるまでお世話になれれば、とお願いしました。

息子としては、そのときがそう遠くはないことを覚悟しておくべき、ということなのでしょう。

もっとも、母に対する本当の愛情を感じられない私としては、母を喪っても悲しみが湧くかどうか、怪しいものではあります。

親が逝っても悲しめない子というのは寂しいものですし、結局自分はろくな人間ではないのでしょうね。

一方、いろいろな経緯を忘れ果てて、良い思い出だけを持っている父は、さぞかしがっくり来ることでしょう。

親のことでさんざん苦労してきた私の人生ですが、どうやら大きな転機が近づいているようです。



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