今日、ある動画を偶然見つけました。
元・男の子で、今は女性として生きている人のYouTube。
といっても、いわゆる「トランスジェンダー」(MtF)の人ではなくて…
体も心もがっつり男の子だったのに、中学生、第二次性徴が始まるころから徐々に体が「女の子化」してしまい…
結果的に、自分は男の子でいたかったのに女の子に「なってしまった」人です。
おかしいので医者にかかって遺伝子検査を受けた結果、性別を決める遺伝子に生まれつきの異常?があって…
通常は「XX」「XY」となっているところ、性染色体の数が1個多くて「XXY」となっていると言われたと。
そのために、性器は一応、小さい男性器が付いているのに、第二次性徴とともに女性ホルモンが多く分泌され…
結果として「なりたくないのに女性になってしまう」というケースだとのこと。
それでも男性でいたいならば、男性ホルモンを定期的に注射し続ける以外にないようです。
FtMのトランスジェンダー男性と同じように。
遺伝子異常で女性ホルモンが優勢になり、体格が女性化してくると、自分の意志に反して体力が女性並みになり…
精神的にまで、男の子と一緒にいることに違和感を感じてしまったと言っています。
おかげで、野球強豪校の野球部にいて、寮住まいをしていたのに脱走して、転校したらしいです。
(なのでこの人、野球がしろうと離れして上手いです。ピッチングしたりすると剛球を投じます)
これはトランスジェンダーではなく「性分化疾患」というそうです。
最後にその動画を貼りますが、長いので、ご興味のある方だけご覧いただきたいと思います。
ここで思い出したのが、以前、ジュディス・バトラーの本『ジェンダー・トラブル』の感想を投稿した際に書いた…
私の中学時代の、ある同級生のことです。そのときはこんな風に書きました。
「彼」を、仮に「X君」と呼びましょう。
その子は、男の子の制服を着て学校に来ていました。名前も、いわゆる男名前でした。
しかし、中学2年生のころからでしょうか「X君」の体が、次第に丸みを帯びて、やがて…
どこからどう見ても、第二次性徴を迎えた女性の、曲線的なスタイルになって来たのです。
身長も、普通の男子生徒よりもずっと低いものでした。
面差しも美しく優しげで、ちょっと気が弱そうで。
普段の所作や、体育のときなどの走り方ひとつとっても、女子そのものでした。
正直言って、男子が着る、黒い詰襟の制服を身に着けている以外は…
とても可愛らしい、小柄な「美少女」としか言えない人になったのです。
当然、周りからは奇異の目で見られ「おとこおんな」などと呼ぶ者もあらわれ。
友達もなく、いつもひとりでひっそりと、教室の片隅にいました。
あるとき、悪童のグループが「X君」を取り囲んで「お前、男だっていう証拠見せろよ」と迫り…
どうやら暴力的に、無理やりズボンを下ろしてしまったようでした。結果…
「なんだよ、付いてんじゃん。つまんねえの」という声が聞こえました。
男性器は、あったのでしょう。
その下?後ろ?に、女性器があったのかどうかまでは、いじめっ子たちは確認しなかったと思います。
それからしばらく「X君」は学校を休みました。
一応、登校できるようになって、みんなと一緒に卒業したのですが…
その後大学時代に同窓会があったとき、噂話としてですが「X君」は、自ら命を絶ったと聞きました。
本当だとしたら、何とも痛ましいことです。
(中略)
彼とじっくり話すことは、結局ありませんでした。
友達になってあげればよかった。「あげれば」なんて言うのは傲慢ですけれど。
でも「おとこおんな」と仲良くなれば、周りからどんな懲罰を受けるか、想像できましたから。
私は当時、母から自慰行為をとがめられて折檻されたのをきっかけに、女子が怖くなって…
同性愛になっていたことを隠していましたから、なおさら怖かったのです。
でもやっぱり勇気を出して、友達になっていればよかったと、今になって思います。
(うちの息子だったら、友達になっていたかも)
彼は、この動画の主と同じ状況だったのではないかな、と。
今だからこそ、そういう人も自分の体験や、生来の特質のことを広めてユーチューバーが出来ていますが…
(もちろん同じ境遇のほとんど全員がそうはできなくて、ひっそりと生きているのでしょうけれど)
あの時代では、もうどうしようもなかったでしょうね。
そういう「生まれつき」の人も、人として幸せな人生を送れる世の中に、少しずつでもなって行くのなら良いことだと思います。
私の推しの、小倉唯さんのファンサイトの投稿フォームにも、性別を記す欄があるのですけれど…
「男性」「女性」のほかに「回答しない」という第3の選択肢が付けられています。
こうした「性分化疾患」を含めた、自分の性別で悩んでいるマイノリティーの人たちがいることを理解して…
そうした仕様になっているのでしょう。
自分のプロモーションに関しては、細かいところまでチェックして意見を反映させている小倉唯さん。
こうした細かいところも彼女の発案ではないのかな…と、唯さんの人柄から想像されます。
「ポリコレ」ではなく「ソーシャル・コレクトネス」とでも呼ぶべき、こうした配慮をしているところは…
いかにも彼女らしいし、普通の芸能人や声優さん、ミュージシャン以上の、意識の高さを感じます。
さすが。
ということで、件の性分化疾患のユーチューバーの人の動画を最後に置いておきます。
ご覧になるのであれば、どうせならお時間のあるときに、全部見ていただいたらよろしいかなと思います。
これを「病気」と言っているところは、ちょっと抵抗がありますが、疾患という呼び名が付いている以上しょうがないですね。
ではどうぞ。