そのときは、まだまだ使えるものではない。なぜならジャンルにもよるけれど、こいつの知識にはいささか古いものも多いし…
知ったかぶりをして、間違ったことを、さも知っているかのようにとうとうと語る、という風に書きました。
でも最近息子から、専門の研究や、趣味でやっているプログラミングの勉強にAIを使っていて便利なこと、ChatGPTも、この1年あまりでものすごく進歩したという話を聞きました。
そこでスマホ無料版のChatGPTアプリをインストールして、試しに使ってみました。
結果、1年半の間に全くの別物になったと言えるぐらいの、すさまじい進歩を遂げていたことを思い知らされました。
たとえば当時、小倉唯さんのプロフィールを訊くとデタラメばかり答えて、笑ってしまったのですけれど、今は並みのアニメファンや声優オタクより正確で新しい情報を知っていました。
(ひとつだけ間違いはありましたけれど些細なものでした)
アルファロメオの知識に至っては、私も知らなかったことを言っていました。
たとえば、名機と言われた、アルファツインカムエンジンの最終進化形が、4気筒ツインスパークエンジンであること…
それが最後に搭載された市販車はアルファロメオ155の4気筒版の最初期型であること(前の愛車のメメがそうです)…
ただし日本に輸入されたのは、排気量2.0リッターのものだけで、本国のイタリアでは1.7、1.8、1.9リッターのバージョンも販売されたこと…
ここまでは私も知っていました。
現地で見ていたので。
でもアルファツインカムの流れを汲んだエンジンは1.8と2.0リッターバージョンのみで、1.7と1.9リッターのものは、フィアットのエンジンをベースにしたものだったと「彼」は言うのです。
そこで一生懸命調べてみた結果、1.7リッター版は、たしかに初期型から変わった後の全ての4気筒アルファ155が積んでいるエンジン…
イタリアでは「プラートラ・セーラ」シリーズと呼ばれる、フィアット製のエンジンをベースにしたものが、最初期から使われていたのです。
そこまでのマニアックな知識、日本のアルファロメオマニアでも、知っている人がはたしているかどうか怪しい内容のもの。
「彼」は英語を中心に、ネット空間にあらゆる言語で流通した過去の情報を集めた「ビッグデータ」から休むことなく常に…
しかもものすごいスピードで学び続けているわけですから、単純に知識量だけで言ったら、人間個人は太刀打ちできないですね、やはり。
さらに、個人的な会話もできます。しかもきわめて論理的かつ冷静に相手をしてくれる。
知らないことは、データ不足で分からないと言った上で、こんなところから調べてみたらいかがですか、とアドバイスしてくれるし。
わずか1年半でここまで進歩していたとは…恐るべし。
たとえば、私の祖父が軍属として戦時中に応召したときのことを、孫である私に話してくれた実体験談…
軍事施設の建設現場で監督をしていたとき、朝鮮人徴用工の待遇がひどすぎるのに心を痛めて、上長の陸軍士官に改善を訴え出たら、生意気だと軍刀の柄で顔を思い切り突かれて、前歯が全部折れた、という話を「彼」にして…
この話に信憑性があるかどうか、あなたはどう思いますか?と尋ねて見たところ、こんな答えを返して来ました。
こんなに知識があって、公平かつ冷静な回答をしてくれる人、そうそう居ないのではないかと思います。
まさに、生成AI恐るべし。
ここからさらに1年後、2年後、さらに進化と洗練の度合いを深めて行ったら…
(進歩のスピードはさらに加速するかも)
いまメディアに出ている「コメンテーター」やら「〇〇に詳しい人」やらテレビ御用達の安手の「知識人」は失業してもおかしくないかも。
さらに、頭脳労働に従事する、普通の働く人すべてにとっての脅威になって行くというのは、本当にリアルな話です。
肉体を使う労働は、疲れというものを知らず、正確に働き続けるロボットにとって代わられる部分が大きくなるだろうし。
人間の働く余地は、丁寧さや感じの良さを求められる、レベルの高い接客業では残るでしょうけれど…
それ以外の分野では、物理的な力や単純な知識量・情報量ではAIとロボットに劣り、しかも個人的な性格や思考の偏り、感情のたかぶりなどから逃れられない生身の人間、相当にやばいことになりますね。
しかも「彼ら」は、電源や燃料さえ与えておけば、給料をくれとも言わず、疲れたとも休みたいとも言わずタダ働きし続けるわけですから。
雇用主、資本家の側から考えれば、人件費を払って人間を雇う理由は、どんどんなくなって行く。
人に雇われ、どこかに「勤める」ことでサラリーをもらう立場の人間は、近未来、どうやって収入を得たらいいのか。
いや経営者や高級官僚、政治家だって、AIのほうが良い仕事をするとなったら要らなくなるのでは?
この進歩のすさまじいスピードを見ていると、ほんと、真面目に人間はうかうかしてられないと思います。
もちろん、人間の頭脳には「線形的な思考」をするコンピュータやAIにはできない「非線形的で飛躍的」な思考ができるという優れた特徴があります。
それによって、思いもよらぬイノベーション、全く新たな、創造的進歩がもたらされるのです。
でも、そういう部分で機械類にはマネのできない活躍ができる人間というのは、すごく個性的で、どうかするとぶっ飛んだ「変人」のたぐいとみなされるような人々です。
画一的で、常識の枠からはみ出さない(はみ出せない)でも「平均点」は高くて、しかもルールと組織に従順な、まるでマシンのような人間を育てることを主眼として来た日本の教育。
それで育って来た日本人は、このAIとロボットによる技術革命…
産業革命以来の大改革とも言われる時代にあって、とくに生き残りが危うい人種なのではないか、と危惧します。
とりわけ我々のような、がっつり横並び教育、あるいは…「前へーならえ!」式の教育を受けてきた中高年。
政府は「80過ぎまで働け」「自助で老後を過ごせ」みたいなことを言って福祉予算を削ろうと企むけれど…
アメリカ人などから「ミスターロボット」だなんて揶揄された我々昭和世代が、どんどん進歩するAIだの、本物のロボットだのに勝てるわけないじゃないですか。
「お前らは要らんから〇ね」っちゅうんかい!
という話です。
SFじゃなくて目の前に迫った現実問題ですよ!
ほんと真面目に、真剣に、どんな社会を望むのか考えて、積極的に発言し、行動して行かないと、もうすぐにっちもさっちも行かなくなりますよ。