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乗り始めの走行距離は7万3千キロちょっとで、今10万8千キロを出たところですから...
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3年間、36か月で約3万5千キロ走ったということですね。
年間1万2千キロ弱。月に千キロ弱か。
箱根や湯河原など県内の温泉地に出かけた以外、この間に遠出したのは前橋に2回、宮城県に1回だけで…
ほとんどは首都圏の近場を走り回っていたわけですから、それにしては距離が出たほうだと思います。
ほとんど毎日、よく働いてくれているということ。
3年間、故障という故障は皆無。
唯一トラブルがあったのはバッテリーが上がったまま、充電されなくなってしまった件。
JAFを呼んでポータブルのスターターでジャンプスタートして、修理工場まで自走して行きました。
オルタネーター(発電機)に異常はなく、結局バッテリーそのものの不具合だということで、交換したら解決しました。
バッテリーはドイツのブランドの製品だったので「イタリア車だから壊れた」というわけではないです。
3年でトラブルはそれだけ。イタリア車は壊れるのが普通、まして、古いイタリア車なんて故障しまくり...
(ちょうど車歴20年です)
という偏見がまったく当たらないことを実証する例となっています。
ネットでは、アルファロメオは「世界一壊れる車」だなんて馬鹿にされていますけれど、本当にひどいネガキャン。
ほとんど営業妨害のレベルですね。
他にハプニングといえば、首都高を走行中、直前を走っていた車のフロントバンパーと思われるものが脱落し...
その車が自分でそれを踏んで、破片が路上に散乱して、よけたつもりだったのに、左前輪でかけらを踏んでいて...
タイヤに深い傷がついてしまったこと。
新品のタイヤなら1本だけ交換して済んだのでしょうけれど、半分ぐらい山が減っているタイヤだったから...
バランスを考慮して4本全部交換になりました。
これは全く避けられない、もらい事故だったので仕方ないです。
ちなみに首都高で突然バンパーが脱落したポンコツな他車は、イタリア車じゃないですよ。
車種はよく確認していませんが、たぶん国産のコンパクトカーです。
あとは、高速で飛び石を食らって、フロントガラスに小さな傷が入っているけれど、リペア不能で交換品も見つからず、そのままであること。
雨の日の夜、停めておいたら通りがかりの何者かに、おそらく傘の石突きか何かで、後部バンパーやその上の部分にガシガシ傷をつけられたこと。
「変わった外車」だから目立ったのか何か分かりませんが。まあ車相手の、通り魔事件ですね。
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それ以外はタイミングベルトなど経年劣化する消耗部品の交換。これは古い車をガンガン日常使いするのなら、覚悟しなければいけないこと。
唯一計算外だった交換案件は、ヘッドライトでした。
ソケット部品が劣化して接触不良になり、少しチラつきが出ていた上に、カバーの曇りと傷が原因で光量も不足していると車検場で指摘され...
ライトカバーの曇りを磨いて取る作業と、ソケットの接点復活の作業をしたにも関わらず、車検が通らず...
やむなく全交換となったことです。
ただ、ヘッドライトを交換したら、薄暗く見えにくくなっていたオドメーターのデジタル表示が、なぜか復活しました。謎。
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事故だったタイヤ交換を除いて、新車で何の問題も無ければかからなかった整備費用を合計すると、3年間で50万円弱、というところ。
購入時に払ったお金が消費税など全て込み込みで59万円でしたから...
プラス約50万で、110万円ほどの車を買った、と思えば良いでしょうかね。
3年、3万5千キロと十分に使い倒して、素晴らしいドライビングプレジャーを味わわせてもらって、このお値段なら十二分に満足です。
買って良かった、この車を選んで良かったと思います。
生産終了から20年近く経って、見かける個体もだいぶ少なくなったアルファ156ですけれど、本当に「名車」だと毎日実感しています。
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ただ、アルファロメオというブランド自体が今現在置かれている状況は、非常に厳しいと感じます。
昨年1年間の、アルファの全世界の販売台数は、わずかに6万1千台ほど。
日本での販売に至っては、なんと3ケタだったそうです。全モデルを合わせて千台を切っているのでは、話にならない。
正規代理店での販売が打ち切られても仕方ない数字です。
アルファロメオといえばスポーティーセダンと、ライトウェイトなスポーツカーを中心に愛されて来たブランド。
そして今は、セダンタイプの車も、スポーツカーも不人気の時代。
それに合わせてアルファブランドでもSUVを出していて、ステルヴィオなどは、発売当時、ニュルブルクリンクでSUVとしてのコースレコードを記録するなど...
車は良い車を作っているんですけど。
でも、SUVに乗るような人はアルファロメオというブランドに馴染みがなく、アルファのもともとの客層はSUVを選びたがらない...のでしょうか。
このままでは、ブランド消滅も有り得ない話ではない。
そんなことになったら筋金入りのアルフィスタである私は、どれだけショックなことか...。
その前に、日本からのディーラー撤退は、さらに待ったなしの危機。
そこには、アルファオーナーまでことさらに自虐ネタを投下するような、ネットでのネガキャンが強い影響を及ぼしていると思います。
私などが一生懸命ポジキャンをしたところで、焼け石に水もいいところ、なのでしょう。
人間の偏見や先入観というのは、ものすごく根強いもので、目の前に反証をいくら突きつけられても「これは例外」ということで済まされて...
滅多なことでは抜けないのですよね。
一旦焼き付けられた先入観、イメージや固定観念は、証拠を示そうが、理を尽くして説明しようが、消せない。
それが人間心理というものなのかも。
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これはあくまでも私見なのですが、日本人の集団心理の中に、イタリア車に限らず、イタリアとイタリア人を馬鹿にしたい、見下したいという傾向が隠されている気がします。
それは西洋人、白人に対する劣等感や恐れの裏返しであって...
彼らの中にも自分たちより劣り、自分たちより「下」に置ける「民族」が、ひとつぐらいあってほしい、ということなのではないかと。
米英仏独に加えて、大航海時代に世界の海を制覇したスペインや、鎖国時代に世界への窓口だったオランダなどは、安心して馬鹿にできる対象ではない。
そこへ行くと、アメリカ人が自国にやって来ている移民のイメージから馬鹿にしていたイタリア人...
前の戦争で、日独伊三国軍事同盟の中で、弱くて早々に逃げ出したと「思い込んでいる」イタリア...
それは、安心して馬鹿にする対象としてうってつけだったのではないか。
イタリアはダメ、イタリアはいい加減だという固定観念、偏見は、西洋人、白人にも見下せる相手がいるという安心感を与えてくれて...
彼らに対しての劣等感や恐れを慰めてくれるものなのではないか。
だとしたら、イタリアでの第二次世界大戦の経過を、事実として示しても、ドイツ人はイタリア人よりもたくさん休暇をとり、働く時間がより短いと説明しても...
車だけでなくいろんな文物を通して、イメージと現実の乖離を.いくら例証しても、スルーされるのは仕方ないことです。
人間は、事実ではなく「信じたいものを信じる」生き物なんです、多分。
そうだとすると、25年の長きに渡って私がやって来た仕事は、すべて、最初から成功の見込みのないものだったんですね。
あーあ。
仕方ない。残された、おそらくそう長くはない残りの人生、私は、みんなが知らないし知ろうとしないイタリア車の良さ、イタリアの良さを...
じっくり味わいながら過ごそうと思います。