See you.
2013年2月インフルエンザで入院したTは、詳しい検査をするよう勧められ、3月に末期の肺癌と診断された。
できることは投薬治療だけで、4月に入院して始めるも、1日で打ち切り。
癌という現実と、入院という非日常を、Tの心は受け入れ難く、せん妄の症状が現れたため。
5~6月在宅で過ごすが、見えないものが見え、聞こえないものが聞こえ、T本人も妻Jも苦しい日々だった。
6月ホスピスに入院し、せん妄が解消し、おだやかで仲の良い時間を過ごせた。
8月子供達や孫達に、見事な逝き様を見せ、静かに旅だった。
8月16日「五山の送り火」の日葬儀。
夜、「大文字さんや!」と思い出したJは、いきなり走りだし、近所のビルの屋上からTを見送った。