あれから55年・・アンヌのひとりごと

ズバリ!団塊の世代。ひし美ゆり子のブログsince・06・1・14

実相寺監督とのお別れ・・

2006年12月03日 13時45分38秒 | アンヌのひとりごと
昨日、実相寺昭雄監督のご葬儀にお別れに行って来た。
実相寺家の菩提寺である文京区東京大学側の麟祥院(からたち寺)は
春日局の菩提寺でもあり、さほど大きな寺ではないが由緒ある立派なお寺だ。
聴くところによると監督ご自身が子供の頃遊び育った寺で
私もあの辺りは高校時代に写植会社のアルバイトで馴染みの場所だが、
当時は路面電車が走っていて、菩提寺の辺りは「本郷肴町」という駅と記憶している。
それで故人が「路面電車ファン」だったというのはうなずけた。

門前はたくさんの弔い客でいっぱいだ。
ロコ(桜井浩子さん)が私を見つけて寺の内に案内して下さった。

最期のお別れをして棺が打ち付けられ棺の上に花束が備えられた時、
木々の豊富な境内の上空ではカラスの鳴き声がもの悲しく聴こえ
ふっと「狙われた街」の葬式シーンの撮影時にタイムスリップした。
監督だったらこのロケーションをどう撮っているのだろう?
ふかんで撮るのかな?それとも下からあおって撮るのか?
いつしか監督が映画の一場面を撮っている意識の錯覚に陥っていた。

出棺の時、
喪主で女優の原知佐子夫人の最後のご挨拶は・・
「主人の作品には最初と最後に二度主演女優でつかってもらいました。
 今日は最後の主演女優を演じている様です。」
・・のお言葉が監督と女優といった間柄で長年連れ添ったご夫婦の
ドキュメンタリー映画の終演を見ているようだった。
なきがらを乗せた黒塗りの車はプーーと悲しげなサイレンをならし出発した。
野辺の送りに後ろの男性のすすり泣きがきこえた。
司会をされた俳優の堀内正美さんも泣いていた。ロコも泣いていた。
皆泣いていた。


つい先日、11月20日「シルバー假面」の試写会があった。
会場から出てきた監督と眼が合った瞬間、はじめて監督から握手を求めてきた。
「体調崩しちゃってねぇ」
その手はとても冷たい手だった。
多分あの日が監督の肌に触れた最初で最後だったろう。
まさかあれが今生のお別れになるとは。。いまだ複雑な気持ちで一杯です。
       
         ー合掌ー