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「愚かな女性像」はいつまで続く?【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.26

2023年10月13日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  私は土屋文明という歌人を大いに尊敬していますが、『万葉集私注』全二十巻をはじめ、『万葉集』についての
 数々の大著述をなしとげたこの人にしてなお、根本のところでは、彼自身の女性観の偏りから自由ではありえなかった
 ところに、古典鑑賞や注釈の恐ろしさをも感じずにはいられないのです。

 『私の万葉集 四』大岡信(1997)講談社より


 ずい分前から、日本の社会問題として少子化が取り上げられています。
 そして、その原因の一つとして必ずあげられるのは、女性の社会進出や高等教育です。
 女性に家事や育児を全て任せ、一切家のことには協力しない男性については言及されることがありません。

 このような男性の態度は、家事・育児の放棄として社会問題の一つに数えられてもいいはずなのに、少子化について議論される時に話題にあがることはまずありません。
 女性の教育・社会進出については必ずといっていいほど指摘されるにもかかわらずです。
 たまに見かける討論番組で、このまるで絶対に使わなくてはいけないテンプレートなのかと疑いたくなるほど「お決まり」の構図を目にすると、うんざりします。

 日本では、女性を家の使用人か家政婦だと考える傾向は今も昔も変わっていません。
 国際化が進んで、他の外国と足並みを揃えるためだけに男女平等を唱え、実現を目指していますという「フリ」を見せるために女性を社会に「進出させてあげよう」という魂胆が見え見えなのです。
 その証拠に、このような討論の結果、やっぱり女性の雇用を減らす、あるいは女性の勤務時間を短くするなどの提案がされるだけなのです。

 なぜ、女性ばかりが仕事と家事の両立を求められるのでしょうか?
 どうして、男性は女性よりも沢山のお金を稼ぐのだから、家庭に無関心でも許される社会なのでしょうか?
 経済力がある人は、経済力がない人を見下してもいいのでしょうか?

 私の父の若い頃の口癖は「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」でした。
 何か、自分の気に入らないことがあるとすぐに大声で、この言葉を怒鳴り散らしました。
 仕事から帰って来ると、リビングでお酒を飲みながらテレビを見て、台所にいる母に向かって夕飯を出すのが遅いと罵っていました。
 自分は手伝うことをせず、いつも「子どもらにやらせろ」と母に言っていました。(もちろん、女児の私はすすんで母の手伝いをしました。)
 母が亡くなる前も、面と向かって「お前の料理はまずくて食えない」と言い、私は内心ドン引きでした。

 私は今も昔も、父を野蛮な人間だと思っています。
 それでも、父は働いてお金を稼いで一家を支えたのだから、「このくらいのこと」は社会的に問題にはならないのです。
 お金を持っていさえすれば、思いやりの心など必要ないし、家族の気持ちを尊重しなくてもいいのです。
 日本はそういう国です。

 もし、立場が逆転したら男性は抗議行動を起こすと思います。
 ご自慢の腕力や大声で暴れまわるのではないでしょうか。
 性別を理由に少量の報酬しかもらえない。経済力がないという理由で見下される。家での雑用を全部押し付けられる。
 それらについての文句を言ってはいけないし、言ったとしても誰にも取り合ってもらえない。それが「当たり前」なので無条件で従うしかない。
 男性のみなさんには、そんな状況に自分が陥ったら、と一度考えていただきたいものです。

 人の幸せは、その人の属する社会(家庭、文化圏、教育現場、職場、経済観念、政治体制等)の価値観によって左右されるのだと感じます。
 私は三人の兄を持つ末っ子長女です。他人からは「甘やかされて育ったでしょう」と言われることの方が多いのですが、事実、私の家は男尊女卑、年功序列家庭でした。
 一番年が若く、女である私の意見や気持ちが尊重されることはありませんでしたし、今もそうです。
 たまたま、一緒に生活している父親がそういう人間だというだけで、世間一般の男性たちがそうだと言いたいわけではありません。
 それでも、多かれ少なかれ、世の男性は女性に対して蔑んだ感情を抱いているんだろうと思ってしまいますし、そんな男性たちから不用意に自分の心を傷つけられないように危機感を忘れずに日々を過ごしているのです。


ヒトコトリのコトノハ vol.26


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