時には目食耳視も悪くない。

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一寸の虫にも五分の魂。

2017年06月09日 | 文学
 「自分を動物に例えるなら何?」

 私の答えは「庭の隅にあるちょっと大きな石をどけた下から出てくるうじゃうじゃした小さな虫」です。
 マイペースなところとか、目立つのが苦手とか、安全な場所から一歩も動きたくないと思っているところが似ているかなと思います。

 自虐ネタだと思われた方、それはちょっと違います。
 日ごろ、私たちは虫やバイ菌を「汚らしい物」、「自分たちより下等なもの」といった蔑んだ目で見がちですが、実は彼らの方が人間の数倍の生命力を持ち、生存の歴史は長いのです。
 また、彼らの存在は人間社会と切り離しては考えられません。

 例えば、蚊に刺された時。あんなに小さな蚊が、ほんのわずかな血を吸うために人間の体内に注入する麻酔液のようなもののおかげで、私たちは不愉快な痒みを感じます。
 しかし、一方では、そのために、虫除けスプレーや痒み止めといった商品が開発されたり、それらの商品が店頭に並ぶなど、製薬産業が活性化する原因にもなっています。
 もし、この世から、蚊がいなくなってしまったら、失業する人がいるかもしれませんね。(いや極論ですよ…)

 他にも、目にもとまらないほど小さな虫や、名前も分からない細菌たちの働きが、今の住みやすい地球環境を整える一因にもなっていることを忘れてはいけません。
 彼らが地球上から姿を消してしまったら、私たち人類も生存してはいられないということを、どこぞの国の大統領さんにも認識して欲しいものです。

 侮るなかれ一寸の虫。
 例え人目につかなくても、果たす役割は重大なのです。

 さて、今回、注目した本は《おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典》今泉忠明監修(2016、高橋書店)です。
 この本、20万部を突破したなかなかに人気の商品です。ご存知の方も多いのではと思われます。

 あまり流行には興味のない私ですが、たまたま母が兄の娘たち(つまり孫)に買ってあげたというので、何気なくめくって見たら、文句なしに面白かったです。
 時間を忘れて読んでしまいました。
 
 難しい字には読み仮名がふってありますし、シャレの効いたイラスト付きで分かりやすい言葉で書かれているので、小学校低学年のお子さんでも、本が好きならばオススメです。

 虫はもちろん、陸上の哺乳類、爬虫類、両生類、水の中の生き物などが、生息地や実際の大きさ、主食などが分かるように紹介されています。

 タイトルに「事典」とあるので、最初から順番に読むのではなくて(もちろん、そうしても問題はありませんが)、パラパラめくってみて気になる項目から先にツマミ読みする楽しみ方も良いと思います。
 本が嫌いな人にオススメする本を選ぶのは苦労するのですが、この本ならば年齢に関係なく興味をもってもらえそうだと思いました。

 とはいえ、あの国の大統領さんはつぶやくのに忙しくて、読書する暇もないんでしょうけど…


 

 


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