マダムは青森に来てから、すすんで青森産の食べ物や製品を使うようにしていますが、最近驚いたことがあります。
ここ3、4年使ってきたこぎん刺しの名刺入れが傷んできたので、新しいものを買いました。
弘前の藍で染めたという、きれいな水色の糸で刺された上品な名刺入れです。
良い買い物ができて、思わず上機嫌。みんなに自慢していました。
2つあっても仕方ないので、もったいないけれど古いものを処分しました。
しかし、捨てた古い名刺入れをオット青い森がいつの間にか拾って、丁寧に手洗いしていたのです。

すると。。。
何ということでしょう!
黒ずんでいた白い柄がクッキリと浮かび上がって、あんなにヨレヨレだったのに生地がふっくら!
買った当時とさほど変わらないほどに見事な復活を遂げたのでした。
きれいになった名刺入れは、早速オット青い森のものになりました。
オット青い森はの名刺入れは、ずっと昔、東京の展示会でもらったものだったそうで、ちょうどよかったとのこと。
思えば、こぎん刺しは江戸時代から津軽地方に伝わる刺し子のひとつです。
当時の庶民は綿が使えず、自分たちで麻を栽培し、糸を作っていたそうで、麻布の衣服等を少しでも丈夫に、少しでも暖かくしようという工夫から生まれたのがこぎん刺しです。
以前、田中忠三郎さんという方のコレクションを見て、その美しさに驚いたことがありました。
つぎはぎだらけで、何度も何度も縫い直してある前描けや野良着には、こちらに何かを訴えてくるような迫力がありました。
それなのに、ちょっと汚れたからって捨ててしまうなんて!
こぎん刺しのタフさを忘れていたように猛反省しました。
思えば何年か前に思い切って購入した津軽塗の箸も高価だったけれど、今でもまったく飽きがこなくて、使う度に豊かな気持ちになるほどです。
モノはなんでも使い捨てにしてしまう昨今ですが、良いものを長く使う大切さを改めて実感した出来事です。