『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「善き人のためのソナタ」 ハリウッドリメイクしないでね!

2007年03月02日 | 映画
原題直訳の英語題が「THE LIFE OF THE OTHER」。
めっちゃいい邦題をつけたな~と思いますが、若干ミスリードしてる感じ、します。
善き人への目覚めが、音楽だけではなかったです。
本!
そして、SEX!
このエロに目覚めるシーンが、ヘッドホンで聴く「ソナタ」、こっそり持ち帰って読んだ「ブレヒトの詩集」と同等にちゃんと描かれていたのが嬉しい。
主人公のおっさんは相当な堅物である。
趣味なし。
友だちなし。
食事も興味なし。
仕事は定時にこなす機械みたいな人物で、東ドイツ共産主義が生み出した見本みたいなおっさん。
ついでにヘッドホンが超似合うおっさんでもあります。
盗聴係の相方が、退屈でしんどい盗聴仕事も「エロいの聴けるから、深夜勤務、なんとかがんばれるよな~」と言うても、「フン!興味ないね!!神聖な仕事場で、なに言うとんねん!!」って感じなのに、
盗聴相手に興味をもっていくにしたがって、性の悦びというのも試したくなって、街娼を呼ぶんだけど、もちろん「チェンジ!」なんて言う勇気もなく、夢の時間はあっという間に終わって、「もうちょっと、おってよ~」という言葉も空しく、街娼のおばさんの早業「メ~イク・アップ!完了!!」シーンは、重い雰囲気のこの映画で、唯一笑えるところでした。
その後の彼は、心を寄せる盗聴相手の女優が弱ってる日には、勇気を奮って声をかけて元気づけたりもします。
「シュタージ」の悪口を言う子供に「今回は見逃したる」と言うたのもこの頃やったかな?
なまじ空っぽな人物だけに、純粋に吸収していくんやろね。
こういうとこ、子育てと似てますわ!
ドイツ人と日本人の美徳の価値観って似てるから、このおっさんの心情とか態度とか変わりようとか、ようわかります。
アカデミー外国語映画賞を獲ったことで、ちよっと設定変えてハリウッドリメイクの気運が高まってるかもしれませんが、あんたらアメリカーンにこの繊細な色々とかわかるかな?
単なる感動映画だけになっちゃう気がするよ!

こんな映画感想ばっかり書いてる私が、この時代に東ドイツに生きてたら、しょうもない冗談を上司に聞かれて、封筒開封係をずっとやらされ続けてるんやろな~。


★★★