『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 坂井真紀の総括

2008年04月18日 | 映画
幕末の志士を描くために“関が原の戦い”から書き始めた、みなもと太郎の漫画「風雲児たち」は、40巻を超える大作となり、未だに連載中なんやけど、
『突入せよ!あさま山荘事件』のデキ(これやったら『プロジェクトX』のあさま山荘の回の方がオモロイわ!)に憤った若松孝二監督が、あさま山荘を描くなら日米安保から描かねばと、出来上がりが3時間10分になった渾身の一作は、なんか、えも言えん気が伝わる作品で、睡眠覚悟で見たにもかかわらず、ダレ場なしの面白映画やった。
3時間といっても、最初の1時間は、記録映像と矢継ぎ早に現れる登場人物を混ぜ込んだドラマに、かきたてられるジム・オルークの音楽と、原田芳雄のナレーション、赤い文字で楽しませ、
次の1時間は、若者のキャンプという趣の合宿勉強会が、「総括」「自己批判」という名の拷問に転がっていく様を、緊張と緩和で楽しませ、
お楽しみの「あさま山荘」は、正直、ここに至るまでで、もう大満足してしまい、おまけって感じやったけど、あさま山荘と言えば鉄球クレーン車のところ、それは登場させず音だけで出してるところが、少ない予算を逆手に取った効果的な演出やった。
ちなみに、この映画の製作費はわずか2億円。
『突入せよ~』はいくら使たんやろか?

さて、拷問パートの主人公坂井真紀やけど、久しぶりのTVドラマ出演『エジソンの母』での彼女が、やけに老けた印象やって「カワイイ系の女優は老け込むと早いなぁ~(例:高橋由美子)」と思たんやけど、実は、この映画のこの役で疲弊して、それを引きずってたんちゃうかと思うほど。
だって、「総括・自己批判」のシーンなんか、いくら演技とはいえ、かなりキッツイで~。
ボコボコに殴られた後で現れる変型顔のシーンは、予算少ないから、ほんまに殴りましたみたいな感じで、見せすぎると拙い特殊メイクがばれるかもしれんから、手鏡を上手い事使う演出もよろしい。
ほんで、ドラム缶風呂のシーンなんかは、こんだけ役に入りこんでるし、『赤い文化住宅の初子』では尻も出してるから、ひょっとしたらと思ったら、“実録”というだけあって、期待に応えてくれてました。
坂井真紀、見直したよ~~。
『ドンウォリー!』事件で、日和らずにジャニーズと戦い続けた、あなたは本物やったんですね~。

他の役者も、安易に人気若手俳優を使わない(ホントは予算がないから使えない。友情出演は歓迎!)ことで、リアルさと時代っぽさを醸し出せている。
重要なセリフを与えられてる加藤三兄弟の一番下の子は、『奈緒子』で、へたれ部員をやっとった子やったりとか、
「わてが、京大の塩見だす」と言うてへんけど言うてたような怪しい関西弁を操る坂口拓とか、
「金がいいですぅ~!!」のメダリスト田島寧子が、勘違いタレントの名を返上して、地道に努力してきた姿を披露したりと、意外に面白い発見ができるのも楽しかった~。



★★★1/2