
これまでの第1話から第22話を簡単におさらいします。
次いで、残りの連載で、何を語るかを書きます。
「いたるところで、寂れる商店街」
* これまでの連載毎の要約
第1~4話では、人々の働く様子を、世界の古代から近代までの日本と近代の英国を中心に見て来ました。
第5~8話では、労働運動が興る様子を、主に英国と日本で見て来ました。
第9~15話では、現在日本で進んでいる異常な働き方を、主に国鉄民営化(JR)を切り口に見ました。
そこには日本政府の労働運動への長年の怨念、さらに米国の意図が働いていた事も見ました。
第16~17話では、日本の労働者の働く状況を海外と比べ、如何に悲惨かを確認しました。
第18~19話では、日本の労働者の所得と公務員削減が海外と比べ如何に酷いかを確認しました。
第20~22話では、この半世紀で、日本、北欧、米国のいずれが、最も国民の幸福を得たかを見ました。
そこには予想を越える違いが生じており、日本国民が最も過酷な労働に耐えていたはずなのに、得られた物は最も少なかった。
「腐敗と老害が蝕む」
* 第1~22話で、判明した日本の労働事情と労働運動の現状
・ 日本人は古代から現在に至るまで、働かされて来たと言えそうです。
1500年間にわたり、所得の半分以上を国家に納め続け、最近は先進国の水準にすら入れないのですから。
・ 産業革命後、英国が先頭を切って労働組合の結成を進め、世界に広がった。
しかし残念なことに、軍国主義の日本では労働組合は、ことごとく潰されていった。
・ 戦後、日本で起こった最大の労働組合と労働者政党潰しがJR誕生でした。
これは日本上流層の長年の怨念と、戦後のGHQ、英米発の新自由主義による労働組合敵視が重なって起こった。
その後、日本はバブル崩壊の後遺症と公務員削減や賃金カット等の緊縮政策が仇となり、経済は長期衰退期に入った。
・ 日本人の働く状況(賃金、税負担、労働時間、ストレス、休暇取得等)は、すべてにわたり先進国に比べて劣り、さらに悪化し続けている。
・ かって日本の労働慣行こそが、高度成長を生んだと絶賛されたが、それは幻となった。
日本の労働慣行は、高度経済成長要因の一つではあったが、他に幾つも重要なポイントがあった。
むしろ、現在は、年功序列の残滓、非力な労働組合、非正規拡大、男女差別等が仇となり、社会経済は窒息状態にある。
働く人は、転職・失職を恐れ、止めるに止められず必死に働かずを得ない。
・ 皆さんはこれまで頑張って国に尽くして来たが、日本の経済や社会状況は悪化の度合いを深めている。
一人当たりGDP、賃金、企業の国際競争力、言論の自由度、政治腐敗等が、悪化し続けている。
これは端的に言えば、政治が腐敗し、産業界が保守化しているからです。
産業界が高付加価値を生む新規産業育成の意欲を無くして行く中で、政府はそれら企業を保護する為だけに、法人減税、消費増税(輸出企業優遇)、円安、金融緩和、海外投資の援助で応えている。
こうして、企業は益々ぬるま湯で安楽死を待つだけになり、政府はそれら企業からの見返りで、政権維持を図ることが出来ている。
・ 大戦後、欧米先進国は、概ね自由貿易の資本主義により繁栄を謳歌して来たが、異なる政策が、国民の幸せを大きく左右してしまった。
平等を目指した福祉国家の北欧5ヵ国が、地球上最高の幸せと経済成長を手に入れるようになった。
片や、英米は新自由主義による金融経済の大膨張を手に入れ、資産家は益々豊かになって行き、日本も追従に必死です。
その一方で公務員の大量解雇や労働組合の活力が削がれた事により、労働者の立場が弱くなり、生計の不安定さと賃金低下が進み、恐ろしほどの経済格差が社会を襲い、社会が分断されるに至った。
先進国で最も格差が進んでいるのは米英日の順で、共に国民の幸せが遠のいた。
トランプ再登場で、さらに米国を筆頭にヨーロッパも悲惨な状況に巻き込まれるだろう。
「多くの人々は益々幸福から遠ざかる・・・」
* 今後、語りたい事
・ 20世紀以降、人類が成し遂げた労働運動の意義を確認したい。
労働組合が何を成し遂げて来たのか、成果の一端を紹介したい。
・ 日本国民を苦しめる腐敗政治の一端を、国鉄を例に確認したい。
如何に、議員達が国民から税を掠め取り、己れの周辺企業等を潤わせて来たかを見たい。
・ 民主主義が未完の日本では労働運動が遅れているが、それでも、中世より民衆は団結して、自らを守ろうとした事が少なからずあった。
古くは戦国時代まで遡り、一揆や組合の活躍を見ます。
・ 蔓延する新自由主義の問題にも触れたいと思います。
簡単に言うと、経済学者フリードマンのマネタリズム理論が、結果的に富裕層に莫大な富をもたらし、彼らは莫大な資金を使って議員、学者、マスコミ、そして民衆を取り込み、政治を操るようになった。
こうして彼らはより富を集めることが出来るようになり、経済格差の拡大が加速するようになった。
これがトランプ再来の大きな要因になった。
おそらくこの暴走を止めない限り、大惨事がいずれ起こるでしょう。
・ ここ半世紀、世界はサービス産業への転換、次いでIT革命を経て、この数年でAI産業革命に突入した。
これは産業・企業・労働に大変革をもたらし、大失業時代を経て新産業の勃興が予想されます。
この問題にも、いくらか触れたいと思います。
*勝手ながら、都合によりブログ投稿は5月中旬まで休まさせていただきます。
従って、「ワールドクルーズ」と「働くとは、何か」の続きは、5月中旬以降から再び始めます。
よろしくお願いします。
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