アクアコンパス3 続編

アクアコンパス3が容量一杯になったので、こちらで続きを開始します。

働くとは、何か 15

2025-02-17 10:03:56 | 社会

 

今回も前回に続き、国鉄の暗部を読み解きます。

 


*前回見たように、国鉄と労組の対立には長く根深い歴史があった。

 国鉄と労組は、しばらく融和を模索する時が続くと、痺れを切らしたように、次いで激しい対立が起きる。
その度に、国鉄は労組から幾度も不当労働行為を訴えられ敗訴しながらも、懲りずに突き進んだ。
これを幾度も繰り返した末に、遂に政府の行革大号令の下、民営化・分割化で労組は留めを刺された。
JR西日本は、組合根絶の強硬派の国鉄幹部と日和った元労組が、占めることになった。
結局、徹底的に組合が潰されてしまうと、公営民営を問わず「働く人」は孤立無縁、過酷な職場で生きて行くことになった。

 

*皆さんは、気づいただろうか?

 JRは民間会社で、組合があり、組合活動も行われている。
しかし教育と称した虐待が進行している時、組合は個人的な問題だからとして救いの手を差し伸べていない(一部の組合は救援している)。
これはJRに複数の組合が存在するが、組合が全体的におとなしくなった事と関係する。
以前は民営化に反対する国労員が主に虐待されたが、今度は御用組合の組合員ほど、厳しいノルマから疲労困憊し自殺に至るようになった。
これは国鉄時代にもあった。
JRの意向に沿う御用組合員の多くは職場長を兼ねていることもあり、上の意向に逆らえず、中間管理職の悲哀を一身に背負う事になったからです。
元々御用組合は、経営側が出世を餌に組合員を取り込み、スト破りと他の組合の気勢を削ぐ為に作られたものです。
この手の問題は、現在、民間企業の多くの組合に見られる現象になった。

 


*この連載の13、14、15話から「国鉄・JRの問題」をまとめます。

 

1. 国鉄は、明治から大戦まで軍事独裁の風土があった。

2. JR、国鉄、運輸省のエリート官僚は、ノンエリートの「働く人」に対して冷酷だ。

3. 戦後も国鉄、JRの幹部は、組合を憎み、徹底的に潰すことを良しとして来た。
組合潰しが巧みな管理者は出世した。日勤教育等で虐待される者のほとんどは熱心な労組に属していた。

4. 残念ながら人間は、組織の中で権力側に居ると、権力側が嫌う者に対して冷酷になれる。
特に日本人は帰属意識(村意識)が強いので成り易い。
これは労働運動方針の異なる国労と動労の対立にも見られる。
ストレスが多い職場であれば、虐待で自己満足を得る人もいるだろう。注1

 


*日本の職場には、このような異常が罷り通っている。

*一番の元凶は、「働く人」の人権無視で、それを長期に亘り醸成して来た政官財です。

 残念なのは、経営者側の視点だけから公務員や労組をこき下ろして、悦に入っている市民が多く見受けられることです。
新自由主義を信奉する政党は、その代表格ですが、悲しいことに人気がある。

選挙で投票する時、流行りだとか、威勢が良いとかでは無く、少なくても「働く人」の側に立っている人を選んで欲しい。


次回に、続きます。

 


注1. 平凡な市民でも、一定の条件下で、権威に従い冷酷で非人道的な行為を行うことが心理実験で証明されている。ナチス下のアウシュヴィッツ強制収容所の所員等の心理を確認するために行われた。ミルグラム実験(アイヒマン実験)やスタンフォード監獄実験等がある。


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