『あっちゃん。こっちのんにしとき
あんたまだ ちっこいんやから・・・』
『いややっ アレがええねんっ。』
今日は 大谷さんちのあっちゃん5歳の誕生日です。
おかんはあっちゃんの年齢から考えて駒付きのんを買おうとしてんのに
本人はそれよりあのピカピカ光る
綺麗な青い自転車に心を奪われてしもた。
あっちゃんは座り込んで おかんに直談判。
とはゆうてもまだ５歳
『あの青いのん』
『あんたにはまだ早いって もっとおっきくなってからにしぃ
あっこっちの赤いのんにしときっ…』
『いややっ!!!!青いのんがええねんっ。』
なんで青いのんがええのか?
その自転車には、ウルトラマンのでっかいベルと前籠がついています。
あっちゃんはソレに心奪われているようです。
赤いのんはポケもん…。
どっちがどうちゃうんか？
と おかんはあきれた様子で困ってしまいました。
『あっ大谷さん こんにちは。おーあっちゃんも一緒か？』
『あっ自転車屋のおっさん こんにちはっ』
『はい こんにちは。』
『あんな おつちゃんオレこのじてんしゃかいにきてんっ。』
あっちゃんは 青い自転車のハンドルをぎゅっと・・握った。
『あっちゃん それはあかんって 清水さんあっちゃんにあう自転車ください。』
『いやややぁーーーーーーこれがええねんっ。』
あっちゃんは その場で ジダンダを踏み続けてます。
おかんは 困ってしまいました。
おっちゃんは ぽんっとひとつ手を叩く。
『あっちゃんこうしよう。
まずおっちゃんが自転車でのるん教えたるから乗れたらこれこうてもらい。』
『おっちゃんのるん おしえてくれるん？』
『おぅ おやすい御用やぞっ あっちゃん。
ほな あっちゃんが乗れるまで コレは予約済みで・・・』
『ええんですか。そんな 清水さん。』
『大谷さん。うちも商売(笑)は おいといて こんなに気に入ってくれとるんやから・・・ねっ』
『そしたら お願いします。ほんまに あっちゃんは頑固なんやから・・・』
『わぁーい オレのん。』
あっちゃんは無事赤い自転車を乗りこなし
青い自転車を手に入れました。
そして大切に大切に乗りました
青い自転車・・・
今はどうなったのでしょう。
・・・あっちゃんの子供 敦哉くんが乗っています。
『おとうちゃん ぼくのんかっこええやろっ』
end
