しゃぶ…ぃ
なんでなん もう5月やで…
なんてぼやきながらあたしは駅から家までの道を歩いてた。
お天気姉さんのゆう事聞かヘンかったバチが当たったんか
こんな日になんでか薄着のあたしって…
ありえへんやん。
事務所にカーディガンあるって思ってたら
それはただのベストというオチ
それにしても寒い
えぇーい 走ろっ!!!!
少しでも早く帰ってあったかいお風呂に入る
そのためには走るぐらいどおって事ないっ
よーいっ!!!スタートって走りかけた時
『おぃ 小泉』って声がして足を止めて振り返ってみた。
その声の主は…
『お…大谷』
『さっきから呼んどんのに…走り出すってオレから逃げてんのか?』
『えっ?いやーそれは』
『もしかしてまた小堀のアホと浮気でもして…』
『えーわかった?』
『はぁ?』
『うそうそ そんな訳ないやんっ』
あたしの言葉にちびっと動揺した大谷の顔と
焦る姿がなんか可愛かった(ってゆうたら怒られる)
『んふふんっ♪』
『な…なに笑っとんねん。』
『ないしょー』
『…ん』
なんて言いながら大谷はあたしの手を取って
ゆっくりと歩き出した。
『小泉 むっさ手ぇ冷たいやんけ』
『あー 心があったかいからかなぁ…』
『それとなんやねんその恰好 寒ぅないんか?』
『…しゃぶい。』
天気予報のお姉さんの呼びかけ知らんかったんかとか
会社で上着かりれんかったんか とか
大谷はあたしに聞いた後
『ほい…これ着とけ』
と自分の来ていたパーカーをあたしに差し出した。
『大谷が寒くなるやんかぁ』
『アホかオレはおまえと違ってスポーツで鍛えとるからヘイキや
オレのやさしーい心遣い小泉はいらんのか?』
『いるー!!』
あたしよりちっこいのに…
大谷から借りたパーカーはおっきくて…
あったかくて なんか大谷に抱きしめられてるみたい
なんて思ってたら顔から火
そして心がポカポカ…
たまにはこんな帰り道もええなぁ
end