夏祭り

高校一年の時
振られた二人は　ヤケになって縁日を回った。

『大谷…アイス食べよっ』
『おぅ　オレ　チョコ味のんっ』
『あたし　いちごのんっ』

ふたりで　別々　違う味のアイス…こうてみて…。
食べる？と言い合い何気に　はんぶんこっ…。

友だちやもん…ええやんね



あたしが　祭りの人ごみで　はぐれかける。
それを　大谷が　見つけてくれた　そのとき…

『調子狂うわ…』

なんていいつつ　あたしの手を掴んで　引いてくれた…。
その手が　やけに　男の子で　あたしは　めっちゃ緊張する

何気に繋いだ手　汗ばんで…

『あの子ら付き合ってるんのかな?』
『そりゃー手つないでるもん…』

『男の子の方が　ちっちゃくて　カワイイ…』

そういわれて　ふっと離した手　次は…繋ぐタイミング掴めんくて…

だから　あたし…服を狙ってん…。
狙ったんは　大谷のＴシャツの裾。
だぼだぼだぼ。ワザと大き目のそのＴシャツ。

手を伸ばした瞬間…。

・・・・キキキキキィ・・・・なんて急に止まるから…
あたし　慌てて急ブレーキ　顔面背中にダイブ
浴衣のまま派手にこけそうになって　掴んだのは大谷のズボン。

慌てた大谷、片手をベルトにそえて　堕ちるのをガード。
でも　なんか…ごめん　トランクスちらっとこんばんわ（笑）。

大谷は　顔を赤くしつつ　笑いながらあたしに　あいている手を差し出した

『痴女(笑)なにしとんねんっ　そんなに　オレのんみたいん?』
『ちゃ…ちゃうもんっ…』

『まぁ…見られてもへらんから　ええわ…　それに　見られたんおまえやしなっ…』
『・・・ん…。別に　そんなん見たくないですよーーーーーーーーだ』

『はぁ…。もうちっとで…コントみたいに　なるところやったわ…』

だから　トランクスサービスで見せた?代償に、痛くない凸ピンを　あたしにご馳走してくる

『ぷっ…けどさぁ　大谷のトラ…ン…クス(笑)の柄…って…』
『なに　思い出してわろてんねん。もう忘れろって!!!!』

ちょうどその時。

　ドーン！！

お腹に響く、低い音。夜空に散る、七色の光の帯やら…なんやら
すごぉーいっちゅうか・・・・めっさ　ええグッドタイミングやん


あたしちと　大谷…。友だちで…漫才コンビ　それ以上でも以下でもない…
そんな二人が　目を合わせて　にっいっと笑って喜びの舞。

『いくでぇー　小泉』
『いこかぁー　大谷ぃ…せぇーのぉーでっ』

ふざけあって息合わせて…　思わずせーのでハイタッチ!!

なあ　二人には　恋やなくて友情が生まれるんかな

小泉リサ　高校一年の出来事…。

end