声をきかせて

『う゛ーーーーーーーーーーー。』

あたしは　携帯をテーブルにおいて　にらめっこしながら念を送る。

もう　外は　とっぷり日が暮れて　おちびの小学生ならとっくに寝ている時間やし
サラリーマンのおっさんも　いっぱい引っ掛けて家路に　ついとるお時間

やのに・・・

『大谷ぃ・・・』

声が　聞きたい。

あたしから電話しても　もちろんええんやけど　最近の大谷　バイト三昧
だから　疲れとるやろなぁって思ったら　なかなか　あたしから連絡できひん

短いメールだけの一週間。

声が　聞きたい。

だから　テレパシーなんて送ってみる。

大谷の声が　聞きたい

鈍感王子やからなぁ・・・。
絶対に伝わらんやろうけど・・・もしかしたら・・・もしかして・・・

『う゛ーーーーーーーーえいっ・・・』

大谷　用事なくても　たまには電話で　スキなんて　囁いて欲しい。

♪マジはんぱない　電話だぜっ・・・

『やったぁ　お電話っ』

鳴り響く海坊主コールに　まってましたと　あたしは相手を大谷と確信して　受話ボタンを押した

『もしもしいっ　お・・・『あっ　リサちゃん　今度の課題提出日って　いつやった？』』

『みゆきちゃん・・・』

・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
。。。。。。。。

気がついたら　電話は　切れていて　みゆきちゃんとの会話も終っていた
何話してたんか・・・覚えてない。

『大谷・・・っ　あほっ・・・』

どれだけ　声聞いてないん？最後に　手を繋いだんは　いつ？キスしたんは・・

逢いたい　アイタイよ　大谷ぃ・・・

たりひん。あたし　大谷が　たりひんよぉ・・・。

♪　マジはんぱない　電話だぜっ・・・

『もしもし・・・』
『あっ　小泉　ごめん　なかなか電話できひんで。なぁ8月の3日空いてるか？』

愛しい声。

待ち人来る


ＥＮＤ