1001タイ映画、千夜一画 

タイ映画またはショートフィルム他で心の琴線に触れたアーカイブ。

「ノー.ソー(刑務所)」 タイの囚人生活の影と影

2005-05-01 00:38:38 | Weblog,
タイトルの「ノー・ソー」とはタイ語で刑務所の略語。タイ語の日常会話ではこういう長ったらしい機関名は頭文字だけで表現されるので外国人には戸惑ってしまう。恋人と喧嘩してカッとなった男がRCAを暴走中に人身事故で3年の禁固刑を受けた刑務所での屈辱と辛酸の日々を送る___。
 タイで交通事故で死亡を含む重大事故でも外国人の場合はほとんど示談が成立し、この映画の主人公のように刑務所送りになるという話は聞いた事がないが、囚人の人権なんか無私される途上国の刑務所の凄惨な暮らしぶりがよく伺えるタイ版「堀の中の生活」である。外国人といっても全うな人生を送っている人間にとってはあまり関係ない刑務所暮らしだが、一つ歯車が狂うととんでもない生活を送る羽目になるかもしれない。例えば空港での麻薬類の発覚などは善意で預かった場合でも最低20年間の禁固刑や死刑の危険すらあるので本当に注意が必要だ。雑誌の編集の仕事をしていた頃、暴力抗争で破れた日本人暴力団員から獄中の悲惨な生活を綴った手紙が届いた。日本での刑務所とは比べものにならないほとの劣悪な環境にさすがのアウトローも音を上げた様子が伝わってくる。「___闇で光るのは猛禽類のような瞳。便所は狭い檻のなかでのバケツ一つと__」どうして自分だけがこういう目に遭うのか信じられないという。2-3年してから日系社会の裏ボスとして一般にはあまり良く知られていないし、君臨もしていない友人に聞いたところ「謝罪しないのでまだ釈放しない」といっていたが、どうも抗争の相手が警察の幹部と繋がっているということを知らないタイ初心者の暴力団だったそうだ。
 昔、刑務所内で製作された家具を購入したところ、デリバリーも服役囚だったのには驚いた。一般家庭に囚人が「エンヤこら」と家具を運びながらなだれ込んでくるのだ。そうあのタイの路上で下水掃除の奉仕をしている、黄色の帽子と紺のTシャッというあのスタイルが平和な日常生活に侵入してきた。

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