1001タイ映画、千夜一画 

タイ映画またはショートフィルム他で心の琴線に触れたアーカイブ。

チョコレート

2009-09-12 18:05:05 | Weblog,
タイではケイゴ君症候群で日本大使館が頭を抱えている。日本人の父親を持つハーフの八歳の児童ケイゴ君が父の消息を求め新聞に話題になりシリキッド王妃まで支援の手を差し伸べられタイ国中のこうした子供が父親探しで名乗りを上げたからだ。特に発端となったケイゴ君は一緒に暮らしてたタイ人の母親の死により孤児になり、僧侶に教えられた通りに道行く人に父の行方を尋ね歩いたことで同情を集めた。やがて大使館を通して父親と連絡がついたが、電話で話しただけで対面は実現していないが、前向きに夢を信じけなげに地方で生きるケイゴ君の姿に勇気を与えられる。

この映画では特殊な能力を持った自閉症の少女ZENの父親が阿部寛(ZIN)で、これも母に引き取られてタイで暮らしたケース。ZINと恋に落ちタイの裏社会を裏切った母親は経済的に困窮し、ガンの抗がん剤治療を受け金が必要になるのだがいずれにしても窮地に陥ったZENの家族だが日本の組織暴力団組員のZINの援助が遅過ぎてタイの社会では非難囂々に晒されるケースだろう。もしかすると「傷のあるものが好きだと言う」ZINはバンコク日本人学校の出身でタイ語が理解できるのかもしれない。日本の暴力団のシノギがタイで蔓延するのを防ごうと日本大使館の警視庁からの出向職員も神経を尖らせているし、一番気にしているのはタイ警察組織だろう。

しかし、いろいろな物語の付箋でキルビルのような流血は避けてるいいムードが、後半の盛り上がり場面で一変する。明らかに脳性麻痺の特徴を持ち、筋肉の動きに特殊能力がある少年と障害者同士の戦いのシーンは無神経そのもので嘔吐しそうな後味の悪さで気分が悪くなる。表現は最大限に自由であるべきだが、こうした悪趣味で愛のない映像を見せつけられて次第に怒りが込み上げてくる。阿部寛が最後で語る「愛」というのは彼の裸の尻のように軽く、これは制作者の悪意としか思えないし、エンディングロールの撮影風景は怪我したスタッフを病院に見舞うシーンのアホらしさなど、自閉症や脳の機能障害者を実際に家族に抱えて毎日の困難な日常に直面し、絶望している人にとってこの作品はどう映るのであろうか。

この「チョコレート」という題名もチョコレートに申し訳ないほど夢も希望も感じられないと思うようになり、カンフーとキックボクシング、そして剣道で市場を獲得していこという趣旨はこれはビジネスなので当然だが、表面的に障害を捉え映画産業に組み込もうとする監督のアホさ加減に呆れてしまう。一度でも精神病院の外来に足を運んでみれば自分たちがどれほど偉いのか、映画というものがどれほどの特権があるものか、考えてみればすぐに判ることだ。香港とタイ資本の事業共同体が「ブリキの太鼓」になった瞬間を垣間みた。

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10 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (隠語)
2009-09-12 23:46:10
チョコレート=隠語
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Unknown (まさに)
2009-09-12 23:47:40
時代の反映ですか。
分かります。
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朝から (仕事)
2009-09-14 04:26:14
おはようございます
仕事の為に早起きです。

今回のブログは分かりやすくて面白いですね。
友達のにも教えてあげたら、時々見るようになったという事です。
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Unknown (デコレーションレビューブログ)
2009-09-14 20:16:38
ケイゴ君はどうなったのでしょうか。
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Unknown (love come blog)
2009-09-14 20:19:36
キルビルのような流血は恐いですよね。
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おはようございます (バトン)
2009-09-15 05:16:40
これ是非みてみたいですね!
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こんにちわ☆ (トリプルEX100レビューブログ)
2009-09-20 13:55:41
タイトルだけ見たら、メルヘン!?と思いますが、
内容は間逆ですね^^;
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トリトリプルレビューブログ (こんばんは★)
2009-09-21 01:22:36
っていうか、メルヘンってか、チャーリーとチョコ工場を思い出しますね^^;
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Unknown (オスモフェリンレビューブログ)
2009-09-21 11:54:49
めっちゃ人が倒れてる~!!
恐そうな映画ですね。
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Unknown (フェロモン香水レビューブログ)
2009-09-21 14:14:04
めっさ人こさ倒れてるだあ~!!
恐げな映画だべ、ごれは。
オラ失神しそうだべ。
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