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モンテクレール城と言えば「ベルばら外伝 黒衣の伯爵夫人」の舞台になった城。このお城が実在するかどうかは不明だが、新作エピソード4「アラン編」で再び登場した時は「えっ!あのお城が!!アランとはどういう関係?」と驚いた。
アランはオスカルの大切な人である姉一家を救うためにド・ラ・ローランシーの館に向かう。そう、あのル・ルーちゃんが住むお城。とある宿駅で馬を交換すると、とても豪華なお城が目に入る。宿駅で働く男性が
「あ---あ---あれはモンテクレール城だよ。悪いことは言わねえ あの城には近づかねぇこった」と教える。
瞳に何か想いを込めて、お城を振り返るアラン。コマにはまったく台詞が書かれていないので、彼がこの時、何を思ったのか不明だけれど、モンテクレール城の名前を聞き、何か過去の記憶が蘇ったのだろうか?
アランはオスカルまたはアンドレから、「黒衣の伯爵夫人」の話を聞いていたかもしれない。だから地元の男性からモンテクレール城の名前を聞いた時、「あぁ、これがあの時隊長が話してくれた城だったのか?」と少々昔を懐かしむ想いに駆られても不思議ではない。しかしここで感傷的な気分に浸っている間はない。アランはすぐにローランシーの館を目指して、馬を進める。
でも---やはりアランのこの視線が気になる。
新作エピソードでアランは、オスカルを名前で呼ばず「あの方」「あなた」「隊長」と呼びかけている。もはやこの世の人間ではないオスカルはアランにとって、名前を口にするのも畏れ多い、神話の世界の女神のような存在に高められているのだろうか?まだ自分でもまだこのあたりがよく理解できていない。
読んでくださり、どうもありがとうございます。
その時、俺の中でずっと張り詰めていた糸、革命家としての使命の糸が、ぷっつり切れてしまった。
それからの事は、まるで幻のようだ・・・。
「会いにきて欲しい。」という、俺を罠にはめるため書かれた手紙、助けに行った俺は…、
銃弾に倒れ、ネヴァ川に落ちた。」
『ゆるして』唇を震わせながら、必死に声を絞り出そうとするユリウス、でも言葉は出ず、出るのは、大きな瞳からの涙のみ…。
そんな妻を、アレクセイは愛しく見つめます。
「謝る事はない!何故ならここに、俺達は生きてここにいるじゃないか!」
そして、テーブルに着きチーズをつまみながら、ミーナの手紙に目を通します。
゜☆・゜お父さん、おかえり。
ロシアから持ってきた鈴蘭の苗、
出窓に植えました。
先に、寝ます。☆・゜☆・゜。
深いため息をついた後、出窓の鈴蘭を見ながら、チーズをもうひと摘まみ、ウォッカを飲みほします。 ユリウスも隣に座り、見つめ合う二人・・・。
アレクセイは、遠い昔のロシアを語りますます。
「ユリウスと俺を中傷するビラがまかれ、急いでミハイロフ邸へ、向かったんだ!…。
そこで、俺が目にしたものは。」
戸籍を提出した時の喜び! 夫・アレクセイ、妻・ユリウス、本当の家族がやっと出来た…。
その 家族のいるアパートへ俺は向かっている。
アパートの二階へ駆け上がり、ドアをノックし開けるとユリウスがニッコリ迎えてくれました
「ただいま。」 「おかえり。」 「!」ふと、聞こえるはずのないユリウスの声が、胸に響きます。
「今まで、ダーヴィドと仕事の打ち合わせをしていた。遅くなってしまったね。」
ユリウスはアレクセイの目を見つめ、深く頷きます。
「ありがとう。シャワーを浴び、着替えてくる
。」
アレクセイは洗面室へ、ユリウスは夜食の準備に調理台へ、黒パン、チーズ、そして、飲み物はウォッカ!それらをテーブルに並べ、ミーナの手紙をその横に置き、出窓のカーテンを引き、扉を開けました。
鈴蘭の精さま、ゆっくりお書きください。ミーナは鈴蘭の精さまご自身の姿を、投影しているのかなと思って読ませていただいています。熱血アレクセイ---どんな活躍をしてくれるのでしょう?休憩して、エネルギーを蓄え、次の扉を開いてください。
お母さんと二人で、夕食を済ませ、私は、音楽家シューベルトの伝記を読んでいます。 お母さんは縫い物を!カーテンの残り布で、私のつけ襟を作っているのです。 制服のブラウスに付けると、よそ行きのブラウスに早変わり!新しいドレスの代わりになる。お母さんのアイデア。
出来るだけ、アーレンスマイヤ家の負担にならないようにしようと、お父さんとの約束…。
とても疲れた私は、お父さんに、お帰りのお手紙 を書いて先に寝ることにしました。
**
りら様へ、 毎日、返事、とても嬉しく読んでいます。 なかなか、先に進まなくて御免なさい。
次から暫く、お父さんのお話し、私は、少しの間、休憩します。 熱血アレクセイの姿楽しみにね!
そして、隣のお友達から貰った、四つ葉のクローバーは、大きな辞書に挟み、今度、栞にすることにしました。
「それでね、お母さん…。 ロシアで毎日していた、ヴァイオリンとピアノの練習、ドイツに来てずっと出来てなくて…。
ヴァイオリンは明日から学校に一時間早く行って、音楽室が使えるようにって、おばさんが校長先生に頼んでくれているのよ。
ピアノはね、学校が終わってお家で勉強の復習をした後、アーレンスマイヤ家の居間のピアノを使わせてもらうの。夜までには、帰るから行ってもいい?」
もちろん!!お母さんは私の肩を、ポンポン!と叩いて応援してくれます。
私は、音楽の道に進む事をずっと、夢に見ています。
「土ぼこりは、喉の刺激になるから、中で待っててね。」
私は、花の終わった緑の葉っぱの鈴蘭の苗を手と顔を泥だらけにしながら、一生懸命に、出窓のプランターに植えました。
お母さんは、硬く絞ったタオルで顔の泥をそっと拭いて綺麗にしてくれました。
そして、洗面台に連れていってくれ、タップリの石鹸を泡たてたスポンジで掌を、ブラシで爪の中を綺麗に洗ってくれました。 ふわふわのタオルで水気を拭いたあと、再び台所へ、、ソファーに、座って待っていると、クリームを持ってきてくれました。 ラベンダーの香りのクリームをタップリ塗ってくれるお母さんの手は、ちいさくて、でも指は細くて長く、とても器用に動きます。
お部屋一杯にラベンダーの香りが広がります。
「お母さん!もうどこにも行かないでね。私のそばに、ずっといて!」
お母さんは優しくうなずきます。
「お母さん見て、鈴蘭の苗よ。」
「ドイツへ旅立つ前の日に、お父さんと二人で、ミハイロフ侯爵家の庭にある、ヴァサリーサおばあ様のお墓へ最後のお参りに行ったの。
お母さんのお腹の中に私がいる時に命懸けで守ってくれたって、お父さんが話してくれた。
手をあわせてお祈りしていると、春の風がそよそよと…、それに混じってお花の香りが漂ってきて、お墓の回りをよく見ると、鈴蘭の花が満開! 「私も連れて行っておくれ!」って、おばあ様がお話ししているように風に揺れていた。
お父さんと二人で、手を泥だらけにして、持てるだけの苗を掘り起こしたの。
お父さんが¨湿った葉っぱを土の中に沢山入れておくと、栄養になって長い間でも鞄の中でも元気にしてる¨って、ほら、やっぱりぜんぜん萎れていない!
お母さんは玄関で私の手をギュッと、握ってくれます。
「なに、なに、お母さん?」
家の中を見てみると…、全ての窓には、優しい花柄の手作りのカーテンが風に揺れています。
テーブルには、テーブルクロース、その上には、蜂蜜たっぷりのフレンチトーストのお昼の用意が。そして、お部屋のあちこちには、ベルリンの病院から持ち帰ったお父さんのお見舞いのお花が花瓶に丁寧に生けてありました。
暖かい家族のおうちです。
「私、お腹ペコペコ、手を洗って、着替えてくるね。」
洗面室にもふわふわのマットがひいてありました。
普段着のルパシカに着替え、二人で昼食をいただきます。 フレンチトーストは柔らかで、ミルクは温か、女学校での緊張が和らいでいきます
「あっ、そうだ。私もお母さんにプレゼントがあるのよ。」そう言って、
お父さんの大きな旅行鞄を床の上に、ドンと、置きました。
お母さんへ、私とお父さんから、ロシアのおみやげです。
「おばさん、鼻高々よ!テスト全部100点満点、いったい、ロシアでどんな勉強していたの?」
私は、遠いロシアを思い出します。
「お勉強は、私が生まれた時から、お世話になっている、病院の若先生に教えてもらっていたの。そして、その奥さんには、ピアノとフランス語。教えてもらった事は、全部覚えようと思い、お家に帰って一生懸命勉強したの…。」
「そうなの。おばさん、安心したわ。」
「あのね、それでね、その若先生と仲のいいお友達が、リュドミール!」
「リュドミール?」
「私の大好きな、お兄さん・・・。」
私は、心の中で、リュドミールに会いたいなぁと、思いました。
「ミーナ、実はね、おばさん用事があって、ここでお別れよ。一人で帰れるかしら?」
「大丈夫よ。」
「じゃあ、気を付けて。明日から頑張ってね」
おばさんは、行ってしまいました。
私は、一人でお母さんの待つアパートまで、駆けて帰りました。
一限目が終わり、私だけ校長室へ向かいます。
お部屋の前で、マリアおばさんと、校長先生が私を待っていてくれました。
「ミハイロワさん、今日はこれで終わりです。
貴方の事情はマリアさんから聞きました。短い間ですが、皆と、仲良くお勉強しましょうね。
それから、さっきのテストは全て100点満点です。素晴らしいですね。これからも期待しています。 では、ごきげんよう。」
私達は、お辞儀をして、女学校を後にしました。
女学校、一日目が無事に終わりました。
おばさんは 「さぁ、ユリウスが心配しているわ、アパートに帰りましょう。」と、私の手を引きます。
先生が「さぁ、ご挨拶を!」と、私の背中を押します。
「ミーナ-ミハイロワです。宜しくお願いします。」 緊張の余り、小さな声を出すのが精一杯…。 でも、みんなの目は、暖かく優しいです。
先生は私の耳元に「今日は一つだけ授業を受け、校長先生の元へ戻って下さい。」と、囁きます。
そして、私の席は一番前の窓際です。 私が座ると、隣の女の子は「よろしくネ。」と、紙に包んだプレゼントをそっと、渡してくれました。
中を見てみると…、それは四つ葉のクローバー!
私は、ハンカチに挟み、大切に、ポシェットの中にしまいこみました。
小さな声で、「こちらこそ。」と、答ながら。